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詩|若松英輔

天耳(てんに)

啼(な)く鳥の 声に慣れた
わたしの耳は
音も立てずに 哭(な)く人たちの
声にならない声を
聞きとれて いるだろうか

波の動きで 海を確かめる
わたしの目は
誰もいない場所で ひとり
ひざをかかえ 呻(うめ)く者たちの姿を
見過ごさずに いるのだろうか


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