短歌|鈴木晴香
言ってしまえよ
青色のコンビニエンスストアへ花火を買いにずっと海沿い
ライターの冷えてゆく夜じゃんけんをしないほうの手ぶらさげている
ろうそくが溶ける はじめの一滴のそれはあまりに静かな合図
くちびるを離せば話すしかなくて夢中にならないように刺す釘
引き合いに出されることの悲しみにかまきりの雄と雌は抱き合う
夏の夜の躰めあての雨の窓こころが目当てと言ってしまえよ
遠くまで行く人から乗るタクシーできみは最後のひとりになった
(2020年9月号)
ここから先は
0字
noteで展開する「文藝春秋digital」は2023年5月末に終了します。同じ記事は、新サービス「文藝春秋 電子版」でお読みいただけます。新規登録なら「月あたり450円」から。詳しくはこちら→ https://bunshun.jp/bungeishunju
文藝春秋digital
¥900 / 月
月刊誌『文藝春秋』の特集記事を中心に配信。月額900円。(「文藝春秋digital」は2023年5月末に終了します。今後は、新規登録なら「…