日本語探偵【コ】コロナカタカナ語メリットもあるんです|飯間浩明
国語辞典編纂者の飯間浩明さんが“日本語のフシギ”を解き明かしていくコラムです。
【コ】コロナカタカナ語メリットもあるんです
2020年に突然「コロナ時代」が始まり、世の中が一変しました。ニュースに出てくる新語もわけのわからないカタカナ語ばかり。というわけで、人々の批判の矛先はことばにも向かいました。
私たち辞書関係者が毎年行うイベント「今年の新語」でも、この年、参加者から新語候補として大量のコロナ関連語が寄せられました。「ソーシャルディスタンス」「ステイホーム」「クラスター」など。もっとも、結局は大方の予想を裏切り、コロナと関係ない「ぴえん」ということばが大賞になったのですが。
それはともかく、私自身も「迷惑なカタカナ語にひとこと言ってほしい」という趣旨のインタビューを受ける機会が多くなりました。でも、あまりにもカタカナ語が批判されているので、かえって弁護してやりたい気にもなります。
世の中の変革期には、大量の新語が生まれます。明治維新の頃もそうだったし、終戦直後もそうでした。テレビやインターネットが普及する時代には、その関係のことばが溢(あふ)れます。社会の変化の度合いと、ことばの変化の度合いが連動しているのは当然のことです。
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