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詩|建畠晢

昭和の恋

誰かが、きっと若い女が、階下で三味線を弾いている
壺や皿が盗まれた街では季節が滞り
亜硫酸料理の店を営む叔父は
百年の歳月を無駄にして泣いている
後家は両切り煙草を吸いながら豚足を茹で
「ゆめ、まぼろし」と呟いた
昭和茫々、豚足の湯気
叔父の恋は終わったのだ

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