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のんほいパーク カイジュウ博2023ですよ

19日に。タイトルに掲げているのはのんほいパークの中にある豊橋市自然史博物館の特別展ですが、今回本当はそれだけではないのです。

ソシャゲ「けものフレンズ3」のイベントでのんほいパークとのコラボが実現し、その一環でツチブタのフレンズが登場したんですね。
ツチブタは私が特に好きな哺乳類のひとつです。ブタと付いているのはブタに近縁だからではなく鼻と皮膚の漢字がブタに似ているからというだけで、実際にはゾウやジュゴンの遠い親戚であり、ブタが属する鯨偶蹄目ではなく管歯目に属する唯一の種なのです。
こういう珍獣は割と早くフレンズ化しそうな感じがしますが実際には今回初のフレンズ化です。おそらくのんほいパークで夜行性動物館でサーバルと肩を並べる存在なので今回のフレンズ化に至ったのでしょう。
私も天井の恐怖に震えながらガチャを引きましたが(まあけもフレ3のガチャって比較的優しいんですが)、なんとか50連でツチブタを仲間にすることができました。
イベントのストーリーはまだ明日完結という段階ですが、自分達の理想の居場所を作り上げていくというけものフレンズの王道のようなお話ですし、全国の動物園の中でものんほいパークこそが特に良いと思っている私にとっても非常に心を打つ内容です。

まあ現地ではグッズ展開以外あまりコラボらしいことはないのでのんほいの良さは普通に動物園部分の写真でご覧いただくとして、カイジュウ博について。

ヘッダーで思いっきり怪しき獣の頭骨に見えかねないものを載せてしまったので以前のポケモン博物館みたいに豊橋自然史がまた架空生物の特別展をやったみたいに見えなくもないですが、もちろん海獣の特別展です。
意外と海から遠くない立地に基づく身近な海から次第に海獣という大きくて遠そうなものの世界につなげていき、鯨類を中心に個々のグループの多様性を切り取って丁寧に解説すると同時に、ところどころで身近なところに戻ってきたり研究の手法を見せたりして見学者とのつながりを確保する内容です。
普段は現生の大きな生き物の展示をしていない豊橋自然史で海獣という大型動物について詳しく展示する貴重な機会ですし、かなりマニアックな面白みを秘めた展示が紛れ込んでいて、マニアも見る価値のあるものです。

……という、久しぶりにのんほいに来る機会を作ってくれたイベントはさておいても、やはり自分は一時期名古屋に住んでいた頃にのんほいパークに支えられ、動物園の楽しみかたを教え込まれたのだということを改めて実感しました。年一といわず秋にでもまた行きたいところですが……。

動物園部分

猛暑なせいか人出はあんまりありませんでしたね。あ、熱中症対策は万全でした。

パネルとかは特になくて入場門と夜行性動物館の前にこれが。ゲームのイベントにもホッキョクグマやキングペンギンなど、のんほいに関係のあるフレンズが登場しています。

朝ドラの影響でどこの植物園も最近活発ですね。この盛り上がりが持続すればと思います。

アオノリュウゼツランが花茎を高く伸ばしていました。いつも植物園を見る時間が足りなくなってしまいます……。

サーバルのうち最近やってきたしょうさんは落ち着いていなくて撮れなかったのですが、もうすっかり立派なレディになったステルさんはのんびりしていました。

ツチブタのアユミさんも東山で生まれた頃から知っていますがもうすっかりご両親と同じサイズの大人です。こちらものんびり。

夜行性動物の食事を展示していたコーナーは何かを作る途中の状態になっていました。見た感じモグラの飼育ケースに見えますが……?

さて、森を通り抜けてサバンナへ。展望塔の基部が遺跡に見えます。

カバが池に横たわり、その向こうには草原。

グラントシマウマがちょうどいい動きをしたのでじっくり見てみました。
普段は私の好きなエランドより注目を浴びているので自分があえて見なくても……という気になってしまうのですが、実際のサバンナではエランドのようなレイヨウのほうがはるかに多数派です。
レイヨウだらけのサバンナにあってレイヨウと同じような体型でなおかつ構造や生理が異なるウマが、しかも謎の縞模様をまとって存在することは動物の歴史の神秘です。

とはいえやっぱり私にとってはエランドこそがいくらでも見ていられる動物です。こののんほいのサバンナではなおさらです。
中央左寄りの木の下にキリンがいますが、エランドほどうろついていません。エランドは半砂漠にも生息する動物ですが、ここは蒸すというよりただ暑いので、砂漠の動物のほうが活発なのかもしれません。
唯一のオスであったガラムさんが亡くなってしまったので、今いるのは全てほっそりとしたメスです。

しかしガラムさんのお子さんは今もここに暮らしています。一番右のメープルさんです。

特にここではですが、エランドは草を食んでいたり歩き回っていたり水を飲んでいたりとのんびりながら何かしていることが多く、引き締まった体と優美な角のおかげで大変絵になり、見飽きることがありません。いや見飽きないと思っているのは私だけかもしれませんが、少しでも綺麗だなと思っていただければそれでいいです。
……のんほいに来るといつも、あまりにエランドに見飽きないのでここで時間を費やしてしまいます。

立派なレッサーパンダ舎が完成していました。床を掘り下げた中に建てられた高いやぐらの上で、快適そうに眠っています。

極地動物館でうまいこと泳ぐジェンツーペンギンの流麗な姿が撮れました。元々ペンギンの中でジェンツーペンギンが一番泳ぐ姿が美しくて好みだったのです。

広い放飼場に呼ばれているアジアゾウのチャメリーさんとアーシャーさんですが、特にアーシャーさんが渋っています。

出るなり水をかぶったアーシャーさん。やっぱり暑くておっくうなんでしょうか。充実した放飼場ですが日陰は少ないですからね。

干し草を水につけてから食べるチャメリーさん。アジアゾウの間ではかなりポピュラーな食べかたなので、はっきりと食感が変わるんでしょうね。

アジアゾウ放飼場の隣の大沢池(というか大沢池を仕切ってアジアゾウ放飼場の池にしたような造りですが)のコイに混ざってスッポンが。
カメから全く別の遊泳性爬虫類に進化したようにも見える不思議な生き物です。

博物館を見る時間がなくならないうちに先を急ぐことにしました。ブラキオサウルスが木々の間から頭を出して待っています。

博物館 カイジュウ博

無事博物館に辿り着きました。残り2時間!

しかし特別展会場はとても空いていました。これなら難なく見て周れます!……いや、よくはないですよね。近隣の皆さん会期中に是非ご覧ください!
最初は渥美半島に漂着した生き物の展示です。のんほいパークは渥美半島の根元のところにあり、渥美半島は太平洋と三河湾に挟まれて様々な生き物が沿岸に現れます。

カツオノカンムリを乾燥させた標本。生きているときも基本的に帆の立った円盤のような姿だったはずです。

漂着した種子も色々。

浮遊生活を送る貝や頭足類も流れ着きます。

長い尾で小魚の群れを叩きつけて捕らえるマオナガの尾鰭です。カジキと同じような餌の捕え方をするにしてもあんな角を生やしづらいサメの採った方法はカジキとは異なるのですね。(ノコギリザメなどはいますが)

ウミガメの頭骨の比較。頭骨の比較はこの後も何度も出てきます。

そろそろ漂着物の種類が海獣に移行していきます。これはコマッコウという小さいけれどもイルカとは呼び難い顔付きの鯨類の頭骨です。
コマッコウは同じ愛知県内の南知多ビーチランドに生きた状態で保護されたことがありました。愛知県沖に生息しているようです。

ミンククジラの後頭部のみになった状態の頭骨。中央に見えているのは鼻孔の後ろのところですが、薄い板が重なったようになっているのは鼻甲介でしょうか。こんなふうになっているんですね。
……このあたりの標本は図録にはすべて打ち上がったときの全身の写真が載っています。このミンククジラは特にすごい状態になっていました。

漂着したクジラの死体を解体して標本にするための道具ですが、動物一般の解体に用いられるものを除く大きな包丁や鉤などはおそらく鯨肉加工用のものを流用しているのではないかと思います。

学芸員のかたの体を張った展示解説。

このように。

本格的に鯨類に関する展示に進みます。鯨類が哺乳類であることを表わす胎児の標本。

魚とは鰭の構造が全く違っていて内部に骨がないことを示す、断面の見える鰭の標本。

特に珍しい展示が、この鯨類の頸椎を並べた展示です。鯨類は他の哺乳類と同じく7個の頸椎を持ちますが、頸椎がごく短くなっていて種によっては癒合が進んでいるというのはよく知られています。
しかし、その癒合の進みかたなどを細かく説明し、見比べられるようにしている展示はめったにないものです。

鯨類が哺乳類であることを示した次は、哺乳類の中でも偶蹄類と同じグループに含まれることを示します。
(鯨偶蹄目と表記することが多くなりましたが、鯨偶蹄目の中は「鯨類と偶蹄類」に分かれるのではなく鯨類は偶蹄類の中の1グループにすぎないので単に「偶蹄目」と書くべきだという主張もあるようですね。)

ヒゲクジラのうち餌の採りかたが異なる3通りの種類の頭骨を示す展示です。
2010年に国立科学博物館で開催された「大哺乳類展-海のなかまたち-」を彷彿とさせる懐かしい展示です。標本も同じかも。それまでナガスクジラ科以外のヒゲクジラにはあまり魅力を感じていなかったのが大哺乳類展でセミクジラの面白さを知り、ここ数年になってアキシマクジラがきっかけでコククジラも面白く感じています。
左から、餌ごと海水を吸い込んで口を閉じることでクジラヒゲで餌をろ過するナガスクジラ科のミンククジラ、
口の先端を開いて泳ぐことで海水を取り込み、それをクジラヒゲでろ過してから口角から排水するセミクジラ科のセミクジラ、
そして水ではなく海底の泥をろ過してその中の生き物を捕らえるコククジラ科のコククジラです。
このあたりの話もアキシマエンシスに初めて行って以来何回も書いている気がします。
セミクジラだけはまだ幼い個体のようです。手前に見えているのが成体のセミクジラのヒゲですからね。
海水を多く取り込むミンククジラとセミクジラでは頭骨全体の幅が広くて下顎がカーブしていること、砂泥を掘り起こすコククジラでは頭骨の幅が狭く下顎が直線的なこと、上顎の高さや幅、曲がりかたはそれぞれ異なることが分かりますね。

こちらはハクジラ同士とさらに他の哺乳類の歯の比較。餌(胃内容物)も示しています。

マッコウクジラの頭骨。この前日野郷土資料館で見たヒノクジラの化石が上顎の骨であることが実感できました。

スナメリの調査についての展示です。先程コマッコウが愛知県沖にいると書きましたが、スナメリは沿岸にいるので外洋性のコマッコウよりはるかに目にする機会の多い鯨類です。

鯨類の皮膚などに貼り付いている外部寄生虫です。ハイザラフジツボにさらにクジラジラミが載っているのが驚きでしたが、まあ人を選ぶ標本なので詳しい写真はひかえましょうか。

展示は鯨類以外の海獣に移ります。まずは鰭脚類ですが、これは近年岐阜県の瑞浪市で発見されたミズナミムカシアシカです。
瑞浪といえば今いない海獣である束柱類のデスモスチルスやパレオパラドキシア、現生の鯨類よりほんの少しだけ原始的なイサナケトゥスが発見されていますが、それらと同時期に今とそこまで変わらない鰭脚類も現れていたんですね。

クラカケアザラシ。鰭脚類の頭骨は陸生の肉食動物と似ていますが、嗅覚があまり使えないので視覚が発達しているという違いがあるんですね。

ラッコは鰭脚類ではなく、食肉目の中でもイタチ科カワウソ亜科です。
のんほいパークでは以前ラッコが飼育されていましたが、再びラッコが見られる機会が……。

海牛類のジュゴンとアマゾンマナティーです。生きているときはそんなに顔付きが違うように見えないものですが、実は食べる植物の生えかたによって口が下向きか前向きかという大きな違いがあるんですね。

海水ではなく淡水に適応している哺乳類、コツメカワウソと……なんとカモノハシです。コツメの骨格だってそんなに見る機会あるわけではないですが、カモノハシの骨格をよく見る貴重な機会です。

この後、縄文の貝塚から出土した海獣の骨や戦後の海獣の捕獲と利用、海洋プラスチックについての展示で終わります。

常設展示のミンククジラとドルドンです。ナイトズーがある都合で昼の部の閉園時間が早まっていて、泊りでもないのでかなり急ぎました。

おっと、中庭の生きた化石の植物の展示からメタセコイアとイチョウが亡くなってしまっています。大きく育ちすぎてしまったんでしょうか。再び植えられるとよいのですが。

並木のメタセコイアは元気でした。

結局いつ来てもゆっくり見られないのんほい、毎月のように来ていた頃が懐かしいです。
特別展やコラボがなくてももっと訪問する機会を作らなくては。

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