まあ落ち着けよ、宇宙のない頃に人もルールもないしさ
髪の毛の一本だけが結ばれてて、指が引っかかった。俺は結んじゃいない。俺以外に結ぶ人もいない。何がって、髪の毛が自ずからそうなった。家庭科の授業であんなに四苦八苦してやった玉結びが、放っておいたらできたって。
学校のプールに部品を浮かべてたら、風が吹いたか自分でかき混ぜたかしていつしか時計が組み上がった…そのくらい、宇宙…地球だったかな…それか生命だったかもしれない…が生まれたのは奇跡的…文字通り天文学的なんだって聞いた。宇宙ができた確率なんて俺からしちゃ100パーセントもいいとこで、宇宙がない世界なんて無いんだから1分の1で答えは1。
そりゃあ宇宙がない頃は、プールを必死にかき混ぜることしかできなかったろうし、もしかしたらかき混ぜるのもダメだってルールになってたかもしれない。ただ縁側に座って、風を待って、途方に暮れて、時計が組み上がるのを待つしかないなんてさ。でも途方もない確率を聞くと途方にも暮れられないのかな。だって途方がないから。まあいいか。もういいよ。ありがとうございました。