見出し画像

【読書記録】2024年5月

一ヶ月が風のように過ぎた。
今月の読書記録は、22冊。
月末は失速してしまったが、GWのおかげで冊数は積めた。あんまり冊数は気にせず、ゆるりと読みたいんだが、何だかんだ気になってしまうのは、性格ゆえか。困ったもんである。


『あつかったらぬげばいい』 ヨシタケシンスケ

珍しく絵本である。母がヨシタケさんが好きらしく、実家に転がっていたものを勝手に読んだ。刺さった。
この絵本は、タイトルのとおり、「〜たら、…ばいい」の構文が見開きで展開されている。

むずかしく かんがえすぎてる きがしたら
シャンプーで あたらしいじぶんになればいい

『あつかったらぬげばいい』 ヨシタケシンスケ

つかれているのか どうか よくわからなくなったら つかれていることに すればいい

『あつかったらぬげばいい』 ヨシタケシンスケ

↑あたりが、僕のお気に入りだ。深刻に悩みガチなことに対して、クスッと笑えるけど、どこか的を射た答えを与えてくれる。そこがまた良い。

『地球行商人 味の素グリーンベレー』 黒木亮

味の素の海外営業マンたちの奮闘が描かれたノンフィクション作品。エジプト、インド、ナイジェリアなどの国々で、いかに地元の人々(もちろんここにはお客様だけでなく、従業員も含まれる)の心を掴み、ビジネスを広げていくか。読んでいて引き込まれてしまった。特に気に入ったのは、素行不良でクビになった従業員が、賃金を受け取るために営業所にやってきて、揉めた末、催涙弾を投げ込むシーン。無茶苦茶すぎる。「人生は小説よりも奇なり」とはこういうことに違いない。

ちなみにこの本は、僕の大好きな「積読チャンネル」で紹介されていて知った。それにしても、メインパーソナリティの飯田さんの本に対する嗅覚がすごいの何の。特にドキュメンタリー系の本の紹介がずば抜けていて、他にも『ヤクザときどきピアノ』や『金は払う冒険は愉快だ』など、ちょっとアングラなものが僕に刺さりまくっている。
どう頑張ったら選書センスが磨けるのか、その極意を喋る動画をそのうち作ってほしいな……なんてね。

『あの時売った本、売れた本』 小出和代

紀伊國屋書店新宿本店で、長年、文芸書担当をしていた書店員さんの回顧録。本が好きだけど書店で働いたことのない僕は、読んでいて、書店の裏側を覗くバックヤードツアーに参加したような気分になった。

「この本は誰が書いて、どんな人が読むのか。この本を好きそうな書評家は誰で、どこの書評を担当しているか。どんな賞の候補になりうるか。審査員は誰で、この作者を今までどのように評価してきたか。売れ行きが伸びるのはいつか、その頃出版社に在庫はあるか。逆算して、何冊発注しておけばいいか。ひとつひとつ先の売れ方のストーリーを考える」

『あの時売った本、売れた本』 小出和代

売った本一冊一冊に、歴史や思い出が詰まっていて、「一度でいいから、本屋でバイトしておけば良かったな〜!」なんて、ちょっと後悔している。

『死のやわらかい』 鳥さんの瞼

こちらは、出版社さんのツイートを読んで気になって買った短歌集。詳しくはこちらのブログにも書いた。

「死」がテーマであるところからも推測できる通り、この短歌集は全編を通して薄暗い。なのに、死と生の間で揺れ動く心理が、どことなく心地よく感じられてしまうのは何故だろう。

この部屋で死体の腐っていく私、
冷凍室で生き延びる鮭

『死のやわらかい』 鳥さんの瞼

月半ばからの二週間、低空飛行を続けていた僕のメンタルにとっては、ゆりかごのような安心感を与えてくれる作品だった。


5月は以上である。
祝日のない6月だから、適度に力を抜いて、のほほんとやっていきたい。

いいなと思ったら応援しよう!