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【読書記録】2024年4月

いつの間にか桜が散り、初夏の陽気を感じている。
気に入っている春物コートの出番は一瞬で終わってしまった。
そんな4月の読了冊数は18冊。
読み始めたものの、思っていた内容ではなく、途中で断念した本もあるため、20冊の大台には乗らなかった。
……まあ、読んだ量より質を大事にしたいところなので、どうでもいい話ではあるのだが。
今月も、読んだ中から、面白かったものを何冊かピックアップしてご紹介しようと思う。


『JK、インドで常識ぶっ壊される』 熊谷はるか

ご家族の仕事でインドに引っ越すこととなった、JKのインド滞在記。「本当にJK?」と聞きたくなってしまうくらいの、深い洞察。そして、機知に富んだ文章は、読んでいて全く飽きることがなかった。
これはTwitter(現X)でも言ったのだが、章のタイトルが「ぴえん超えてぱおん超えて真顔」などJKらしいワードを使ったものとなっているのに、「ジレンマどころではない、トリレンマに襲われた」等、大人でもなかなか出てこないウィットに溢れるフレーズが本文に登場したりする。ピリッとしたスパイスを舌先に感じる文章だった。

わたしが糸口を見つけようとしていたもやもやに答えがあるとすれば、そのもやもや、つまり「これはおかしい」という気持ちを持ち続けなければいけない、ということだ。

『JK、インドで常識ぶっ壊される』 熊谷はるか

4月末のインド旅行の予習として、たまたま手に取った本だったが、色々な意味で常識をぶっ壊される良い作品だった。

『私の顔は誰も知らない』 インベカヲリ★

多くの女性のポートレートを撮影してきた、インベカヲリ★さんの初エッセイ&インタビュー集。
人間誰しも、社会に適応するために、本心とは違う自分を演じている。そんな普段は心の奥に押さえつけられている人々──女性たちの本心を、インベカヲリ★さんは、会話や撮影を通して引き出していく。
普段なかなか聞く機会のない、人の欲求や衝動がふんだんに詰まっており、読んでいて、ゾクゾクしてしまった。

「私思うんですけど、メンヘラは全般的に、ぶつかってぶつかって全力で傷ついて生きてるからメンヘラになるんですよね。ぶつかることを避ける人だったら、そもそもメンヘラにならない」

『私の顔は誰も知らない』 インベカヲリ★

皆それぞれ正論で生きているのだから、相手の考え方や行動を変えようとしてもできるものではない。もしも、相手のことが許容できないのなら、何も言わず縁を切ればいい、と私は思っている。
そういう意味では、私はまったく他人に期待していない。自分を含め、人間はそこまで立派なものだとは思っていない。人類は皆クズで、許せるクズとだけ仲良くすればいいと思っている。

『私の顔は誰も知らない』 インベカヲリ★

こんな生々しい言葉、滅多に聞けるものじゃない。もしかして、普段よく話すあの人も、仮面をかぶっているのだろうか?そのことに気づき、一抹の寂しさを感じた。まあ、そんなことを言いながら、僕自身も仮面を外せずにいるのだが。

何を経験したかではなく、何を考えたか。思考こそが、”その人”だと思っている。

『私の顔は誰も知らない』 インベカヲリ★

『たやすみなさい』 岡野大嗣

GWに岡野大嗣さんの短歌教室に参加した。その予習として読んだ一冊。『うれしい近況』『音楽』『サイレンと犀』は読了していたのだが、『たやすみなさい』はまだ手にしていなかったのだ。
安直な感想だが、岡野さんの短歌は読む度に、「日常の切り取り方が、やはりいいな〜」とため息が漏れてしまう。

人間はしっぽがないから焼きたてのパン屋でトングをかちかち鳴らす

『たやすみなさい』 岡野大嗣

note上では再現できないのが残念なのだが、「組版」もこの歌集の魅力だと言える。短歌に合わせて横組になったり、文字が大きくなっていたり、文章が乱れていたり……。口ではうまく伝えられないので、気になる方はぜひ手に取ってほしい。


今月は以上。
5月もどんな本に出会えるか楽しみである。

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