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冷え性の私が冬パフェを楽しむ㊙️作戦とは
この世界には
「当たって砕けろ」と「石橋を叩いて渡る」
という二種の人類が存在する。
無論、私は後者の方である。
それが如実に表れているのが
パフェの食べ方だ。
私は昔から驚く程の冷え性だ。
冷えと共に生まれてきたと言っても過言ではない。
歩く冷蔵庫とあだ名を付けられ、年中冷えているために、夏は好かれるが冬は嫌われる始末である。
32℃という驚異的な体温を出した経歴があり、
冷え性ギネス世界記録というものがあるのなら、唯一胸を張って挑めるであろう。
しかし、神様は何を思ってか
そんな私にパフェ好きという称号を与えた。
私が冬にパフェを食べるとき、
その戦いは店に到着する前から始まっている。
ヒートテックにカイロを貼り付けるという戦闘着のため、暖房がきいている電車で汗などかいてはならぬのだ。
汗でこの身が冷えてしまえば、緻密に計画した作戦が台無しになってしまう。
なるべく交感神経を刺激する行動を避けるのがコツである。
この電車の中で、パフェへの貪欲のために僧侶のように悟りを開いている人物がいるとは、一体誰が思うであろうか…。
ついにパフェが登場してきたら、
安易にすぐ食らいつくなんて真似はしない。
キンキンに冷えたパフェが油断して、店内の温度と調和し身を委ねた隙を狙って、さくっとスプーンを入れる。
そして我が相棒であるカイロの力で生み出された、僅かな自分の口の温度で少しずつ転がしながら食べていく。
よーし。いいぞ。体が冷えてきたら、もうこっちのものだ。
冷えきって麻痺した体は寒さを忘れ、言わばランナーズハイのような現象になるからだ。
私にとって冬は、生きるかやられるかのサバイバルゲーム。
今まで社会の荒波を乗り越えてきたから
この冬も乗り越えられると
自分を信じている。
無事に冬をクリアできたら
頑張ったご褒美で、大好きな千疋屋のパフェを食べに行くのが毎年の恒例行事である。
あ、そうそう。
この世の中を無事に生き抜くための攻略法としては、私みたく自分の相棒(味方)をつけること。
人は1人では生きていけないときが必ずある。
だから私は、千疋屋のパフェの日を楽しみに、今宵もカイロを買いに行く。
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