こちら有楽町、耳でつながる25時

自分はよくラジオを聴く。

特に好きなのはオールナイトニッポン系列で、最も多い時には、一週間で8つのオールナイトニッポン(ZERO)を聴いていた頃もあった。

深夜のリアタイをすることもよくあったし、radikoのタイムフリー機能を駆使しながら大学の授業の合間を縫って聴いていた。

最近は就職活動などの関係であまり聴けていなかったが、そろそろまた聴いていこうと思っている。ラジオにはそれほどまでに惹きつけるものがある。


ラジオと言えば、リスナーからのメールと掛け合い。いわゆるハガキ職人たちの送り出す言葉たちはどれも秀逸で、パーソナリティーがそれを面白おかしく読み上げるあの瞬間は最高のひと時だ。

メールの数・質ともに職人の域までは到達していないものの、自分もそこそこメールを送っているリスナーの一人となっている。

何度もメールを考えては送ってを数年繰り返したことで、ありがたいことにメールを読んでいただける回数も増えた。


特に印象に残っている出来事がある。数年前、たまたまリアルタイムで聴いていた「星野源のオールナイトニッポン」。その日のメールテーマは「最近悩んでいること」だった。

まともな悩みを送ってもしょうがないと思ったので、「トイレの水を流そうか迷っています」と適当なことを書いて送った。

布団にもぐってウトウトしながら源さんの声を聴いていたところ、部屋中に爆音の緊急地震速報が鳴り響いた。

びっくりして思わず飛び起きたが、特に大きな被害はなく事なきを得た。

地震の後のCM明け、源さんは優しい声でこう言った。

「皆さん大丈夫でしたか?まだ余震があるかもしれないので気をつけてくださいね。あ、ここでテーマメールですね、**県ラジオネーム○○。」

自分のメールが採用された。採用自体は初ではないが、緊急地震速報で既にバクバクしていた心臓は、源さんに名前を呼ばれたことで完全に飛び出た。

「『~迷っています』…フハハ!いや流せよ!汚いから!さっさと!さっさと流してください!笑」

源さんだけでなく作家さんまで笑ってくださったのが嬉しくて、その後なかなか眠れなかった。しかたなくTwitterのタイムラインを追っていると、「なにその話(笑)」「汚ねえなあ!!笑」と送ったメールに笑ってくださる方々がいた。

そのとき賑やかなタイムラインの中にこのようなツイートを見つけた。


「地震の震源近くに住んでいる者です。さっきの地震がとても怖かったんですけど、トイレのメールですごく笑いました。ありがとうございます!」


自分の送ったメールが誰かの役に立つなんて。しかもあんなネタメールが。


この日、改めてラジオの魅力を発見できたような気がする。パーソナリティーからリスナーへ、リスナーからパーソナリティーへ。そしてリスナーからリスナーへ、ラジオは電波を通じて目には見えない力を飛ばしている。


「オールナイトニッポン電波よ夜を飛んでいけ」


その日を境に、星野源が口ずさむこのジングルが妙に心に響くようになった。



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