普通のふりして生きてきた~ちょっと病気がちな奴が健康なふりをしている回想録⑫~
5年以上前に、突然強い吐き気に襲われる事が増えた。
安静にしていてもずっと治らなかったから調べたら、褐色細胞腫とかいう訊いた事無い病気だった。
おばちゃん「あら、おめでたかしら、うふふ」
ふざけるんじゃねぇよ。
そんな覚えも無いし予定も無い上に、こちとらトイレに駆け込みながらも顔面蒼白で戻ってきて再び労働してるんだぞ。本当におめでただと言うならすぐに休ませろや。
それでも我慢してその後も仕事に従事していたら、時々どうしようもなく目の上が痛くなって仕事が手に着かなくなってきた。これはヤバい。
それでも全ては疲れのせいだと思って、夕食にレトルトのサムゲタンとケンタッキーフライドチキンを買ってきて貪っていたら、本格的に具合が悪くなってきた。
その内仕事を早退する事が増え、休みがちになった。少しでも動いたら吐きそうな日々が続き、夕食は小鉢のうどんしか食べられなくなった。
職場にあんまり迷惑をかけるものではないぞ、と母親と姉に叱られながらも、体調が落ち着いている日に頑張って近所のクリニックを受診した。何故市立病院の方に行かなかったのかというと、大した不調ではないと思ってたし、十歳らへんから十年間は健康そのもので病院のお世話にならなかったからだ。あと、そこまで運転していたら確実にハンドルを握りながら吐く確信があった。
そんな訳で適当に近所のクリニックを受診した私だったが、熱も無いし症状は吐き気と目の上の痛みだけだったので、「今日はどうされましたか」と聞かれても正直にそう答えるしかなかった。
「熱は?」と問われてその場で計るがそれも無し。ヨボヨボおじいちゃんドクターは困った様に笑ったが、おいおい、私の方が困ってるんだよ、しっかりしてくれ。
首を傾げるおじいちゃんドクター、苦肉の策で血圧を測ったら、二十代女性にしてはやたら高い数値が出た。
ドクター「ちょっと高いかもね。いつもどれくらいの数値なの?」
いやぁ~、血圧なんて毎年の会社の健康診断でしか測らないし、正直数値も覚えてないですわ。高いかも? とは思うけど、詳細な数値を聞かれると答えられない。
色々頭を悩ませるおじいちゃんドクター。
「うう~ん、ちょっと二十代女性の血圧数値としては高い気もするけど、まぁ、吐き気がして気持ち悪いから血圧も高くなってるんでしょう。熱も無いし、胃腸炎だと思います」
その時期、ウイルス性の胃腸炎が流行っていた。なので私もその診断を特に疑問に思わず、胃腸炎のお薬を貰って家に帰った。
しかしそれから数日間、薬を飲んで横になっていても一向に症状は良くならず。職場からもせっつかれるし、本来味方であってくれるはずの母と姉からの対応もどことなくきつい。自分で運転して市立病院には行けないけど、多分救急車を呼ぶ程大事でもない。そこまで散々仕事を休んだ後、私は母の休みの日に運転してもらって市立病院を受診した。
待合室でぶっ倒れる
総合診療科の様な物が無い病院は、通院以外の場合にまず何かを受診すればいいのか本当に困る。
私も受付のお姉さんに「こうこうこういう症状があって、何科を受診すればいいのか分からないんですけど」と説明するのに苦労した。お姉さんも困っていたが私も困っていた。
結果、消化器内科を案内されて、その後何故撮ったのか忘れたけど、レントゲンを撮った。結果的にそれが大正解だった。
撮った後に診察を待っている間、待合室で座って待つのもしんどくなって長椅子で横になっていたら、通りすがりの看護師さんに声をかけてもらって、具合が悪くて座っていられない事を言ったら処置室のベッドを開けてくれた。
処置室で横になって診察の順番を待っている間に点滴を一本打った。その内に診察室に呼ばれたのでよろよろして診察室に移った。一緒に来てくれた母と一緒に座ってお医者さんから話を聞くうちに、また気持ちが悪くなってきた。しかも今回は強烈に。
見かねたお医者さんが慌てて、診察室のベッドを開けてくれた。
お医者さん「原因は分からないんですが、さっき撮ったレントゲンに影が写っています……」
お医者さんが母に説明する中、寝ている私をそれはそれは強い吐き気が襲った。次の瞬間、私は上と下から凄い音を立てて嘔吐いた。上からは何も出なかったが、下からはすごく長い屁が出た。先生、看護師さんごめんなさい。
何かしらの腫瘍があるかもしれないから、精密検査をした方がいいという話になった。幼少の頃の脳炎でお世話になった大学病院で検査をしたいとの母の希望で、大学病院に紹介状を書いてもらう事になった。
一日がかりの病院受診が終わって、今度は遠くの大学病院に行く事になった。思ったより大事かもしれなかったが、とにかく原因かもしれないものが分かって良かった。
その日嘔吐いて大変だった私は、後日母に付き添われて遠くの大学病院を受診した。っていうか私の嘔吐きっぷりを見てただ事ではないと思った母が、私を一人で行かせなかった。どちらにしろ運転もできない状態だから助かった。
ずっと座っているとたびたび吐きそうになったので、車内ではほとんど横になっていた。
大学病院で色々な検査をすると、左の副腎に腫瘍が出来ている事がわかりました。
腫瘍!?……とかいう前に副腎とは??
副腎(ふくじん、ラテン語: Glandula suprarenalis, 英語: Adrenal gland)は、哺乳類などに存在する内分泌器の1つである。腎臓の傍に位置することから、この名があり、腎上体(じんじょうたい)とも呼ばれる。 (ウィキペディアより)
悪性か良性かは摘出してみない事には分からないらしいので、検査入院と、手術の為の入院をする事になりました。
次回、「検査入院」にご期待ください!
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