春3 引き出しの中

「大学で何を勉強してるの?」

そう問われたら、自分がしてきたこと、していること、分野。用意している言葉をつらつらと並べることはできる。そして、そのどれもが、社会的な課題が絡められている。

だけど、気付いてしまった。

本当は、社会課題の解決の方法よりも、心に傷を抱えたたった一人への寄り添い方を知りたい。知りたかった。

今はまだ子どもの私が。未来の為にどうすればいいのか、見つけられずにいる私が。
早く誰かを勇気づけたり頼られるような大人になりたいと思う癖に、そんな気持ちに矛盾するように、安心できる人に甘えていたいとも思う私が。

いつか、その術と。
迷いなく信じれる、そんななにかを。
見つけられた、そんな時は。

今まで言えずにいたことを、言葉にしようと思う。

人が発する言葉なんて、きっと誰かの寄せ集めで。いつかどこかで聞いた誰かの言葉たちが、私の引き出しに溜められて。いつか引き出される。

いつか誰かが私に気持ちや想いを込めて投げかけてくれた言葉があるように。私が今度違う誰かに同じ想いを投げかける時には、そんな誰かの一部が、私の言葉の一部になったりするんだろう。

そうだとしたら、私が発した言葉も、誰かの一部になるかもしれないということだ。引き出しにしまっておきたいと、大切にしたいと思える言葉に。

「落ち込んだ時こそいいことの兆しが見える」

この春、大切にしたいと思える言葉に出会ったように。私も、私が発した言葉が誰かにとって大切にしたいと思える言葉になれたら。そんな風になれたらいいな、と思う。

だからまずは、言葉に落とし込もうと思う。引き出しの中にある言葉たちを紡ぐ。

言葉で、寄り添えることができると。いつか。



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