Wii Deleted You和訳 :Kyle's Trilogy Part 3

時は2013年
ちょうど14歳になったばかりの僕は、誕生日に貰ったWii Uをプレイしている
けど"Wii"という単語を聞くと、いつもあのMiiのことを思い出す
何年も前に、子供時代のトラウマを作り出したあのMiiのことだ
2010年、僕は自分のお小遣いで新しくWiiを買った、そして幸いなことに、あのMiiは現れなかった
新しく買ったWiiで遊ぶのは楽しかった
でもWiiリモコンを手に取る度に、またあのMiiが現れるんじゃないかと恐ろしくなった

あいつが―――eteledが

ある日の自室、Wii UでNetflixを見ていたとき、ふと、2006年の12月にテレビに映し出された文字のことを思い出した
あの日のことは今でも鮮明に覚えている

"THIS IS NOT OVER(これで終わりだと思うな)"

あれから7年経ったものの、今のところ何も起こっていない
見ていた映画が見終わったとき、どうしてもっと早くこう思わなかったのかが驚きだが、僕の中に疑問が浮かんだ

(eteledは、感情を持ってるのか?…いや、そんなハズないよな、あんなのただの馬鹿げたAIにきまってる)

だとしても、eteledのようなAIをプログラミングするような狂人なんているんだろうか
僕は、まだ古い方のWiiが入っているクローゼットの方に目を向けた
あのとき以来、僕はこのクローゼットを一度も開けていない
だからずっと放置されたままだ
僕は、eteledの正体が何なのか、どうにかしてWiiの中に侵入した一種のウイルスなのか、知りたかった
機械の知識は少しだけある、WiiのSDカードを自分のノートパソコンで読み込めば、システムファイルにアクセスしてみることもできるだろう
僕はゆっくりとクローゼットに歩み寄り、注意深くWiiを拾い上げた
そしてSDカードを取り出して、自分のノートパソコンのところへ持っていった
それからSDカードリーダーのUSBを差し込み、WiiのSDカードを差し込んだ

「…始めるか」

僕は大きなため息とともに呟いた
SDカードを差し込んだ後、僕はファイルエクスプローラーを起動し、SDカードのタブをクリックしてWiiのシステムファイルへのアクセス権を得た
そこにはゲームデータや、システムメモリなど、たくさんのフォルダがあった
システムメモリをクリックすると、一つのファイルが表示された

"eteled_miichannel.wad"

まさか本当にeteledに関連するものをこんなに早く見つけられるとは思ってなかった
僕はそれをクリックするのに躊躇した
しかしながら、僕は地元の食料品店でパートバイトをしているので、何が起こってもまたお金を貯めて買えばいいだけだと思い至った

僕がそのファイルをクリックすると、画面が暗転した
暗転は10秒くらい続き、それからWiiメニューによく似た画面が表示された
画面は全体的にめちゃくちゃで暗く、音楽も音質が悪かった
時々大きな酷いノイズが聞こえてきたり、Wiiメニューが砂嵐に切り替わったりしていた

パソコンのマウスで動かせるであろうWiiリモコンの手のアイコンは、eteledの顔に置き換わっていた
画面を見ている間、ずっとこれを閉じたいと思っていた
しかし、子供時代のトラウマを作り出したMiiの謎をどうしても解き明かすために、僕は続けた
僕は似顔絵チャンネルをクリックし、"はじめる"を押した
似顔絵チャンネルに入ると、背景は真っ黒で、横にあるアイコンがあるだけだった
そのとき、eteledが画面に現れた

『あぁ、戻ってきたのか』
「ああ…そうだ、戻ってきた」

僕は言った

『いつか戻ってくるだろうなとは思ってたけどな』

eteledは答えた

『俺を削除しろ』
「は?!なん…なんでだよ?」

僕は問いかけた

『あー…それはな……お前に見せたいものがあるんだ』

eteledは答えた

「はぁ……分かった」

僕は混乱しながらも言った
僕はeteledを持ち上げ、削除のアイコンに持っていった
eteledを削除すると、僕は大きくため息を付いた
デスクトップに戻ると、そこに新たにファイルが追加されているのに気がついて、更に困惑した
ファイルの名前は"DELETED.mp4"
僕は不安になった
それをクリックしたくなかった
でも、あのMiiの正体を知るためには続けなければいけない
僕はファイルをクリックし、ビデオが再生された
しばらく砂嵐が流れていたが、やがて病院のベッドが延々と並べられている廊下が写った
ベッドには、生命維持装置に繋げられたMiiが寝かされていて、生命維持装置のビープ音がはっきりと聞こえた
しかし最も気がかりなのは、ベッドに寝かされているMiiたちのうめき声や泣き声だ
カメラはゆっくりと廊下を移動していき、やがて止まると、一つのベッドの方を向いた
そこには青白い顔のMiiが寝かされていた
しばらくして、Miiの心電図が水平になった
奇妙なことに、この映像のMiiたちは、異なった感情を表しているようだった
悲しんでいたり、怒っていたり、中には僕にはできないような感情を表しているものもいた
本当に泣いているものも、僕は見た

そして、しばらく画面が砂嵐に切り替わった
今度は長く、3分くらい砂嵐になっていた
やがて画面は、ベッドのうちの一つに横たわって、生命維持装置に繋げられているeteledの映像に切り替わった
僕はそれを見て衝撃を受けた
目や口の大きさこそ同じだったが、eteledはいつもの不気味な表情ではなく、代わりにとても悲しそうな表情をしていた
そのときeteledがカメラの方を見て、声を上げた

『見てるか?
なんで俺が削除されたくなかったか、これで分かっただろ?!
俺はお前に警告しようとしたんだ、Miiは削除されると、ここに送られてくる。
何も知らない作り手たちに削除されたやつはみんな、ここに送られてくる運命なんだ。
ここにあるのは、この、俺達に残された時間を生きるための生命維持装置だけ…
これが外されるとどうなると思う?

死ぬんだよ。

けどな…俺だけが唯一、回復する方法を知ってるMiiなんだ。
俺だけが、削除された後でも、似顔絵チャンネルに戻る方法を知ってるんだ…

だが俺でも、この苦痛を止める方法は知らない

だから、教訓として学んでおけ…それか、俺が学ばせてやる』

eteledは話し終えると、生命維持装置に繋がっているチューブを引き剥がして、ベッドから降りた
すると彼はどこかへ消えていった
ビデオのファイルは自動的に閉じて、デスクトップから消滅した
僕は何も言えなかった
僕の脳は、一体何が起こったのかを理解しようとしていた
あの廊下は何だったのか、eteledは僕に何を伝えようとしていたのか
けれど、最終的には、このビデオで何が起こっていたのかをまとめることができた
時間はかかったけれど、きっと答えを見つけられたと思う

きっと、Miiにとって削除されるというのは、末期がんや不治の病と診断されるのと同じなんだろう
そしてあの廊下に送られて、生命維持装置に繋がれながら死ぬまでの時間を過ごし、最後には生命維持装置を外されて、死ぬ
それは苦痛に満ちた死だ
けれどeteledだけは、その病から回復することができて、似顔絵チャンネルに戻ることができる
だけどeteledは、苦痛を止める方法を知らない

これが、eteledが僕に伝えようとしたことだろう
怖がらせようとしていたんじゃなく、僕に教えようとしていたんだろう
暴力的で攻撃的な方法でしか、伝えるすべを知らなかったんだろう

結局、eteledがどこから来たのかは分からなかった
どうやって生まれたのか、動機は何だったのか

けれど、きっと知らないで良かったんだろう

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