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ごめいわくをおかけします

マンションの工事中に

これは、とあるマンションの一室でのリノベーション工事中の出来事です。このマンションは階段室型と呼ぶ構造で、階段の両側に部屋が1室ずつある形式でした。工事をしていた部屋は1階のため、上の階に行くには工事中の、この部屋の前を通らざるを得ません。

ドアプレート

室内の工事ですが、職人さんの出入りや騒音などで他の住戸の方々に全く迷惑を掛けていない訳ではないため、この部屋の玄関戸のドアノブにかわいいキツネのキャラクターが黄色いヘルメットを被り「ごめいわくをおかけします」とのセリフとともに頭を垂れた絵が描かれたドアプレートをぶら下げていました。

マイブーム

保育園に通うA君の祖父母は、この部屋の上階に住んでいたのですが、A君は、両親とともに時々、祖父母の家に遊びに来ていたそうです。丁度子供の目線の高さにぶら下がる、かわいいキツネを見つけたA君は、ここを通る度に、そのドアプレートの格好を真似て「ごめいわくをおかけします」と頭を垂れるのがマイブームだったそうです。しかし、当時のA君には「ごめいわくをおかけします」の意味が全く理解出来ず、そのキツネの恰好を真似ることが楽しかったそうです。

ファミレスにて

子供の成長は早いもので僅か数か月後、言葉の意味を理解したある日、A君は両親とともにファミレスに出掛けたそうです。注文が決まり、食事が運ばれてくるまでの時間は、子供にとって待ち遠しいもので、目の前に置かれた水の入ったコップを時々口に運びながら、脚をブラブラさせたり、落ち着きのない素ぶりを見せていたその時、手を滑らせコップの水をテーブルにばら撒いてしまいました。「あっ!」、両親は慌てて店員さんに布巾を持って来てもらうように頼みました。


頭を垂れる(^^

急場を知り、急いで布巾を手に取りテーブルに駆けつけた店員さんに対し、

「ごめいわくをおかけします!」

とテーブルの傍で頭を垂れていた保育園児A君の口から発せられたセリフに、両親はクスッと笑わずには居れなかったそうで、布巾を持ってきた店員さんも微笑みながらA君に布巾を渡してくれました。

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