【エッセイ]癖
今日は歩き回る1日だった。
疲労困憊。
この一言に尽きる。
歩いている最中よりも、
帰り道の方がドっと疲れを感じている気がする。
疲れきって自分の体とは分離してしまった足を
必死に必死に前へと動かす。
ああ、健康な足と交換できればいいのに。
この疲れ具合をどうにかして欲しい。
だれか持っていませんか。
歩くことを渋る足を諭しながら
たどり着いた駅のホーム。
よくやく腰を下ろすことができた。
車内の椅子で一息つくと、
よくやく見えてきた周囲の様子。
どうしても
疲れると注意散漫になってしまう。
周囲を見渡すと、
パッと視界に入り込んできた白ネイル。
サンダルに、白ネイル。
男性の足だ。
珍しい気がして、
そこから徐々に視線を上に動かす。
和服だった。
和服の男性。
そして手にするスマートフォン。
透明カバーに挟まっている1000円札だ。
クセがすごい。
和服で白ネイルという組み合わせを
初めてみたからか、感動すら覚える。
これが今どきのオシャレってやつ…?
和服×流行りのネイルって今の流行なの…?
色んな疑問が頭の中を駆け巡る。
クセ、と人が誰かに言うのは何故なんだろう。
自分の考える"普通の基準"と外れているならば
"クセ"だし、想定の範囲内なら人はそこまで反応することは無いと思う。
そもそも普通ってなんなんだろう。
"普通が良い"と思って生きている私だが、
その基準は未だに分からない。
白ネイルと和装の組み合わせが
珍しくて注目した。
私の考える基準とは離れていたから。
脳が勝手に「これはクセだよ」だと
教えてくれる。
出会った男性だって、
本人からすればクセでもなんでもない
ただの日常なんだろう。
クセってなんだろうね。
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