【エッセイ】違う世界を生きる人たち

陽キャはこわい。

「喋ってみたらそんなことないよ~!」
なんて言う人もいるけれど。

やっぱりこわいのに変わりはない。

友達と歩いていたときのこと。
夜の21時ぐらいだっただろうか。

何を喋っているのかは分からないが、
とにかくすごい音量が聞こえてきた。


これは…陽キャだ。
しかもおそらく酔っ払い。

声が近付いてくる。
いやだな。

その時、私たちは絶賛夜桜の撮影中。
だからその場から離れる、という選択肢は
考えていなかった。

だって…綺麗な写真は撮りたいじゃん。
もうちょっと粘ったらさ、
いいの撮れそうだったんだよね。

陽キャ集団よ、どうか通り過ぎてくれ…
と祈るばかり。


どんどん声が近付いてくる。

こわい。


「きゃーーー!ここめっちゃキレイやん!やばー!」
「それな!やばすぎ!!!」

いや、語彙力皆無か。

そんなことより
陽キャ軍団が私たちの真後ろにきてしまった。



こわい、立ち去りたい。
でも後ろを振り向く度胸もない。
はぁ、、こんな時だけでも超ポジティブ人間になれたなら上手く対応できたりするんだろうか。


友達に目配せで「もう行こう」と訴える。
もう10年来の長年の友達、
さすがの阿吽の呼吸で察してくれる。


そして言葉を発さずに移動を開始、
しようとした。

「すいませ~ん、
写真撮ってくれませんかぁ~?」

ギギギギギ、と音がなりそうな
ほどぎこちなく振り返ると、
予想通りすぎる陽キャ集団。

5人。
あっ5人だったんだ~。

立ち去ろうとした時は
なるべく視界に移さないよう、
相手の視界にも映らないよう
足元しかみてなかったので。

そうして私が考えることを放棄している間に、
友達がいいですよ~、
なんて言いながら対応してくれたようだ。


友達が撮った写真をみて、
「もうやばいっす、天才!
ありがとうございまぁ~す!」
って言って去っていった陽キャ集団。

風のような人たち。

私とは人種がもはや違う。
住んでる世界が違う人たち。

1歩どころか一気に100歩ぐらい
下がってしまった私をみて
友達がケラケラ笑っていた。

仕方ないじゃん、
接し方が分からないんだよ。
未知の世界はこわい。

ヘラヘラすることしかできない自分が情けない。
でも、自分を変えようとも、
変われるとも正直思っていないのも事実で。

あの人たちのようなテンションで
生きることはできないだろう。

自分は、自分のこの性格のまま、
突き進んで行くんだと思う。

私のことを理解してくれる人達と、
狭い世界の中で。

それだって悪くないじゃない。

ああいう人たちもいるんだなぁ。
それが再認識できた日。

世界は広いし、私は知らないことだらけだ。

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