急ぎ足で歩いてみること
うまいことできているもんだ。
やるべきことが増えすぎると、逆になにもできなくなってしまう。
かれこれ何年もの間、この現象に悩まされている。
普段は比較的アクティブな僕である。おそらくこの時点で、キャパシティを超えているんだと思う。とりあえずなんにでも食いついた結果、いつの間にか口のなかから溢れている。間抜けな食いしん坊だ。
ちょうど今日の夜も、なんにもやる気が起きなかった。目の前に積み上げられたことに手をかけなくちゃいけないのはわかってる。一歩が出なかった。
それなのに、帰り道を急ぎ足で歩いただけで、やれるような気がしてきた。
少しでも前に進もうとする。地面をすべるように進む足。上がる息。体に生がみなぎってきたような気がする。血が流れはじめた感じがする。
体とはなんと単純で、よくできたものなのか。複雑なつくりに対して、しくみにはあまりに捻りがない。
やりたくないなら、とりあえず急ぎ足で歩いてみようか。派手に手を動かしてみようか。「できてない」自分に嫌気が差しても、「できた」体がなんとかしてくれるかもしれない。
「とりあえず一歩踏みだそう」ってよくいうけど、こういう意味だったのだろうか。心まで変えちゃう体の動きが、憎たらしくて愛らしい。
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