40秒
40秒にひとり。
その瞬間瞬間に、彼らは何を思っていくのだろう。
無感情のまま、表情もないだろうか。
赤ちゃんみたいに泣き叫び、暴れながら?
これまでを振り返り、静寂に包まれて穏やかに?
最愛の人を想い、涙をしくしく流しながら?
怒りの炎に支配され、絶望と怨嗟に身を燃やしながら?
その瞬間、彼らは、誰かや自分や、何かを恨むだろうか。
思いのほか幸せな心持ちだろうか。
それとも全くの無、だろうか。
少なくともその瞬間が、彼らにとって、何かからの「解放」である事を願う。
だけど、それを初めから願っていた人なんて、絶対にひとりもいない。
願わくばみな、目を開いたままの「解放」を求めていたはずだ。
40秒にひとつの、計り知れない事情がある。
非力な僕には、その40秒を40.1秒にすることすらできないかもしれない。
でも、40秒に1度、想う事は出来る。
顔も名前も性格も信条も場所も生い立ちも知らない彼らだけど、想像はできる。
だからせめて心だけは寄り添わせてほしい。
その為にきっと、心には形も重さもないのだろうから。
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