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初めてのひとり旅で見つけたこと
今年のやりたい事リストの中に「ひとり旅をすること」を入れていた。
これまでひとり旅をした事がなく、ずっと行きたいと思っていたけど、行けたらいいな〜止まりで具体的に考えてみた事はなかった。
今年も行かないで終わりそうな気配がしていた9月。
9月は3連休が2回もある。
なのに予定が何もない。
趣味も好きなこともこれといってない私。
このまま何となく終わってしまうのか…でもせっかく時間があるんだから何かしたい。
そう思って見返したやりたい事リスト。
「ひとり旅!!今だ!!行こう!!」
行動力だけはある。
一度行く気になればあとは早い。
なんとなく島に行きたいな〜と思っていた。
海が好きなのと、こじんまりとしてあたたかそうという自分の中のイメージがあり、とにかく色々な島を探した。
せっかくならいい宿に泊まっちゃおうかな、と「島 宿 1人」などで検索しているうちに見つけたのがここだった。
淡路島にある「hitorigomori」というお宿。
見た瞬間、決めた。
絶対ここに行く。
一棟につき一人だけ泊まれるお宿。珈琲と本も用意されていて、名前の通り一人で好きなだけこもることが出来る。
最高。
そういえば最近本読んでいなかったな。
ここで沢山の本を読もう。
系列の「こぞら荘」という雑貨屋さんにも行こう。そこにあるマフィンも買って、海を見ながら食べよう。
私の中で眠っていた心からのわくわくした気持ちが溢れてきて、胸が躍った。
1人は自由だ。
好きに計画を立てる事ができて、その計画通りじゃなくても誰にも文句を言われる事はない。
新幹線で神戸まで行くんじゃなくて、大阪で降りようかな。大阪でたこ焼きだけ食べて、あとは在来線でゆっくり神戸まで行って高速バスに乗ろう。
夜ご飯はどうしようかな。
あぁ、楽しい。
色々調べたけど、新幹線と宿の予約だけとって、あとは当日の気分に身をまかせる事にした。最高だ。
1日目
6時出発。ぎりぎりで予約した新感線は、早い時間しか取れなかった。
新幹線も初めて1人で乗った。
両隣の人達が出発した瞬間に凄い勢いで駅弁を食らい始めて圧倒してしまった。
でも何だか美味しそうだったので、私も次は駅弁買っていこう。
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大阪初上陸。
大阪のたこ焼きは想像以上にとろけて美味しかった。お店の人が話す関西弁にも1人で感動していた。
そして在来線で舞子へ行き、そこから高速バスで淡路島へ。
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明石海峡大橋を渡って、淡路島が見えてきたーーー!そして海ーーー!!
淡路島でどうしても行きたかったのがこぞら荘。
2日目が雨予報だったため、着いたらすぐに行くことにした。
山の上だから車でしか行けないところだけど、運転が出来ないのでタクシーで行くことに。
どこから行くのがいいのかもよく分からないけど、近そうなバス停でとりあえず降りてみた。
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…なにもない。
当たり前だけど。
タクシーを呼んだら「行ったことないからよく分からないんだけど何ここ」と軽く文句を言いながらおじさんが連れて行ってくれた。
島の人は皆あったかくていい人という勝手な幻想が、着いて早々崩れかけた。
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着いたーーーー
念願こぞら荘。
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この小屋の可愛さったら!!!!!
映画に出てきそう。本当にきゅんとした。
雑貨もマフィンも買って大満足。
帰りのタクシーを呼んだら、また行きのおじさんだった。
同じ番号で掛けたらまた同じおじさんだったらどうしようと、わざわざ調べ直して違う番号で掛けたのに、なんの意味もなかった。
でもおじさんは出発してすぐに「どこから来たの?」と話を振ってくれて、そこから島の話を沢山してくれた。
おじさん、愛想ないとか思ってごめんなさい。
確かに話し方は少しぶっきらぼうだったけど、島への愛が強い、優しい方だった。
おじさんと別れてから、スーパーで夜ご飯の買い出しをした。
色々夜ご飯のお店も調べたけど、結局地元のスーパーでその土地のものを買うのが至高なのでは。
お刺身とか島のものを使ったお惣菜とかゲットして、いざ念願のお宿へ。
派手な柄の地元のローカルバスに揺られながら、海を眺めていた時に「将来は海が見えるところに住みたい」とふと思った。
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元々海が好きで、これまでも定期的に海が見たくなって時々小田原や江ノ島に行って海を眺めに行っていた。
ここに来て、どこを歩いても海が見えることがこんなに幸せなんだと初めて知った。
自分にとって海は心を浄化させる存在なのだと分かったのは、一人旅での気付きの一つだった。
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着きました!hitorigomori。
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早速ラウンジが素敵な事…
爽やかお兄さんがウェルカムドリンクで珈琲を入れてくれた。
これがまた飲みやすくて美味しい。
本も詩集・エッセイ・小説・自己啓発などジャンル幅広く置いてあって、何冊か宿用に持って帰った。
私は4棟あるうちの「歩々」というお部屋を選んだ。
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はぁぁ…
ここを選んだ自分を褒め讃えたい。
静かに流れる素敵な音楽と
窓から見える景色と
全部が好みの家具や小物に
机にはお香とラウンジで選んだ本たち。
まだ16時。
ここで明日までゆっくり出来る。
なんて贅沢なのか。
荷物を整理してから、お兄さんにお勧めされた本を読んだ。
本を読むなんていつぶりだろう。
綺麗な表紙の詩集で、紡がれた言葉は綺麗で繊細。
暗くて深い夜から静かに朝になっていったような。すっと空気が澄んで落ち着くような。
上手く言い表せないけど、不思議な心地よい感覚。
綺麗な言葉たちにもっともっと触れていたいと思った。
そして、時間を忘れて本を読んだ。
そこで思い出したのは、私のルーツは読書から来ていたという事。
学生の頃は、司書さんに「いつも沢山読むねぇ」と声を掛けられるくらい図書館に通っていた。
いつも上限まで借りて、それを期限までに読んでまた続きを借りて読むの繰り返し。
本を読んでいる時の没入感が好きだった。
あの忘れていた感覚をまた思い出した。
その日は少し夜更かしして、気が済むまでゆっくり本を読んだ。
2日目
朝日を見ようと思ったのに、起きたら7時半だった。
でもまだチェックアウトの11時まで時間はある。
のんびり外を散歩してみた。
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チェックアウトをしてからは、またローカルバスに乗って岩屋まで。
岩屋でお土産買おうと思ったけどあんまりなくて、30分くらい歩いて淡路SAへ。
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この後は高速バスに乗って、無事帰宅。
ひとり旅で見つけたもの
結果的に、初めてのひとり旅は大成功だった。
自分で全て決めて、本当に心躍ることしかやらない。
そうする事で、「自分にとって本当に大切なことは何か」と考えさせられた旅になった。
いつも仕事をして、疲れて休みの日はベッドで寝るかスマホを触るかのダラダラとした生活を繰り返していた私。
生活がつまらない訳ではないけど、張りがある訳でもない。
これといった趣味もない。
自分はつまらない人間だとどこかで思っていた。
でも、私にも好きなこと・好きなものはちゃんとある。
浄化したい時は、綺麗な言葉に触れる。海を見に行く。本に没入する。知らない街をカメラを持ってお散歩するのもいい。それらが私を満たしてくれる。
あとは、経験はお金には変えられないという事。
行きたい所には死ぬまでに全部行こう。
この目で色々な景色を見て、感じた事が全部自分に溶け込んできっとまた新しい発見が生まれていく。
それが分かっただけでもひとり旅に来て良かったと思った。
そして、帰ってから1番変わったのは、図書館に通うようになったこと。
読むペースは決して速くないが、「期限までに読むぞ」という嬉しい忙しさを感じながら過ごしている。
毎日余裕がある訳ではない。
忙しくて自分の軸がずれそうになった時は、自分を自分自身の感覚に戻せるように修正すればいい。
また旅にも出よう。色々な景色を見よう。
…将来の結婚相手は海が好きな人だと嬉しいなぁ。