ドライバー不足。
2023年10月15日、札幌市と北海道の各都市を結ぶ高速バスの運休や減便が相次いでいると報じられた。運転手不足に歯止めがかからず、路線維持に必要な人数が確保できないため、運休や減便が発生している。
バスドライバーの不足は北海道全体で顕在化している。札幌市を含む各地域で高速バスの運行に支障をきたしており、道都への直通ルートを失い、道民の帰省や通院、観光などへの影響が懸念される。
この問題は北海道だけではなく、全国的な傾向である。近年、わが国では業界や業種にかかわらず、深刻な人手不足に悩むが、すでに経営や業績に影響が出て困っている企業も多い。これには労働力不足の地方から都市への若者の人口流出、少子高齢化による人口減少、人気業界・職種への偏在などの要因がある。
どういう訳か知らないが、全国的なドライバー不足は安心、安全を金科玉条とする運送業、タクシーを含めて、賃金が低いのに長時間の過酷な労働が原因である。さらに休日出勤も当たり前となれば、多くが退職し、募集しても誰も来ない。
彼らの基本的な平均年収は約310万円で、全職種より約100万円低く、残業や休日出勤などの手当てを合計しても430万円程度である。せめて、500万円以上の年収があれば、もう少し人手不足は解消するとも言われている。多くのバス運転手は生計を立てるため、手当を増やそうとし、無理に仕事をして、体力が追いつかず、退職に追い込まれるパターンが多い。
そのため労働体制と賃金の改善が求められるのはむろんのこと、運転手の確保に向けて、新規採用や、既存の運転手に対する待遇の改善なども行う必要がある。一方、バスの利用
客は減少しており、財政状況が悪化し、不採算路線は減便や廃止を判断せざるを得ない状況がある。
また過疎地区ではすでに自動運転バスが運行しており、いずれは運転手不要の自動運転バスが導入される雰囲気も高まっている。このような状況下で、ドライバーの給料を上げたり、労働環境を改善するのは難しいかもしれない。今後当分の間、減便や廃止が続出し、生活路線の運休もあり得る。
いずれにしても、労働力の不足は企業には様々な影響が出る。例えば、いくら仕事があったとしても、運行や生産や交渉を担う社員が足りなければ仕事を引き受けることができない。無理に仕事を受けた場合、社員1人にかかる負担が増し、さらに労働時間は長くなり、労働環境の悪化を招く。
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