令和のコメ騒動について。

 2月8日にコメの高騰についての一文を提示した。その際、農林中央金庫の巨額の赤字と価格上昇の関連性を強調しすぎたため、誤解を招く表現があったことを反省している。遅ればせながら、半年が経過した2月14日に政府が備蓄米21トンを放出する方針を決定し、事態は収束に向かうと思われた。
 しかし、それがそうでもないようで、現在、スーパーではコメ5キロ当たり、3280円から5000円で販売されており、平均は4000円くらいで、高値が続いている。この2週間で3280円のコメが出回るようになったが、大きな変化は見られない。
 令和の米騒動と呼ばれる今回のコメ不足は、依然として影響を及ぼしており、販売価格は高止まりの状態が続く。この背景には、コメの流通における主要な農業協同組合(JA)の影響力の低下がある。
 農林水産省のデータによると、2022年産の国内コメ生産量は727万トンで、そのうち約350万トンは農家による直接販売や自家消費に回った。残りの部分は集荷業者が扱い、その中で303万トンが「主食用」として使用された。
 主食用米の284万トン、つまり90%以上を全国の506のJAが取り扱った。JAが高い集荷力を維持できたのは、「無条件委託販売」と「共同計算」という特権があったためである。
 無条件委託販売は、全国農業協同組合連合会(JA全農)が農家に代わってコメを販売する仕組みで、同年は集荷量の約80%にあたる220万トンを無条件に委託販売した。共同計算は農家への精算を一定期間の平均価格で行うもので、条件の違いによる不公平を防ぐシステムである。
 JAの組合員の多くは零細な兼業農家であり、自ら販売や精算を行う能力が限られている。これらの仕組みは組合員からコメを集荷する上で有利に働いてきた。しかし、最近ではJAの集荷率が低下し、2004年の45%から22年には39%に減少した。一方で、農家による直販は04年の26%から22年には32%に上昇した。
 コメ農家の高齢化が進む中で、農業からの離脱が増加する一方で、残っている農家は経営の強化に努めている。24年の米騒動は、デフレ脱却に便乗したマネーゲームと見なされ、その結果、JAの集荷率はさらに低下した。それ以上に政府は価格を調整するどころか、マネーゲームを放置し、コメの狂乱価格を招いた。
 当然、JA以外の新しい買い手が高値を提示し、次々と市場に参入したため、JAは計画通りにコメを集めることが難しくなった。関係者の話によれば、流通全体における集荷率は24年産では前年より約10%も減少すると予測されている。
 コメの市場では市場原理が長年働かないとされてきて、現物市場や先物市場が誕生しても、JAの反対により潰されてきた経緯がある。これもコメ不足を引き起こした要因の一つである。
 全体に東洋経済の記事を紹介する形となった。

いいなと思ったら応援しよう!