価格設定の問題。

 2024年8月22日、この物価高の中、公正取引委員会は食品メーカー大手の「日清食品」に対し、独占禁止法違反のおそれがあるとして警告し、販売価格を制約しないことや再発防止策を求めたと発表した。
 もともと同社は値上げを牽引し、商品の高額さが目立つ。今回の警告の対象になったのはカップヌードルやシリーズの「カレー」「シーフードヌードル」のほか、「日清のどん兵衛きつねうどん」「日清焼そばU.F.O.」の主力5品目で、22年6月と23年6月に希望小売価格を5~13%に引き上げる際、全国のスーパーなど数百社に値上げ額を指定し、値段を引き上げさせた。
 また引き上げの要求に応じれば、「特売セール」を行う際、商品を安く卸す価格交渉に応じると伝えていたが、その一方で価格の下限を要求していた。同意しない業者に対して、8回以上にわたり要請を繰り返したり、値上げした他の業者の価格表の写真を見せたりして、強引な手段で値段を引き上げさせていた。
 公正取引委員会によると、同社は15年から社内で小売価格を決定しており、「ガイドライン」と呼んで、卸業者や小売業者に引き上げを要求してきた。今から思えば、この頃からメーカーが価格の設定の主導権を握るようになり、サービスも薄くなったように思われる。
 メーカーが小売店に販売価格を指定する行為は独占禁止法に違反する。消費者が本来なら、より安く買えるはずの商品を高く購入しなければならないことになり、消費者のメリットを奪うとして、法律で禁止されている。
 日清食品は業界のトップメーカーで、これら5種類を知らない人はほとんどいない。公正取引委員会はこういった身近な商品で、消費者の利益を損なう行為は、強く非難されるべきで、非常に悪質な行為と批判した。
 販売価格は本来、小売店が自由に決めるものである。それにもかかわらず、最近はどこのスーパーでも同一商品は同一価格で販売されており、メーカーや卸業者が主導権を握っていると推察できる。
 スーパーや小売店は消費者のために値上げの要請が来ても、現行価格で販売したいと主張するべきである。メーカーの連動値上を拒否すれば、卸売業者の利益が圧縮されるので、卸売業者からメーカーに値下げ圧力がかかることになる。
 日清食品創業者の安藤百福氏が最初にインスタントラーメンを発明したかどうかについては異論があるが、世界的に同氏が発明したと認めている。1958年(昭和33年)8月に日清食品は「チキンラーメン」を発売し、一大革命を起こした。
 インスタントラーメンは学生の夜食とか昼飯として始まったもので、手軽で安価な食品として普及した。インスタント麺やカップ麺などは、1個あたりの分量を増やして、価格が手頃でなければ売れない商品である。

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