内閣支持率が低迷している。

 2023年7月に行われた朝日新聞、共同通信、産経新聞、FNN(富士テレビ系)の4つの世論調査によると、内閣支持率は30%台から40%台に下落し、不支持率は50%台に上昇した。
 世論調査は岸田内閣が直面する政治的課題や国民の不満を客観的に捉えていると考えられる。また結果が公表されることで、人々の意見が変化したり、政策に影響があったりする場合もある。
 これまでの内閣の業績を振り返ると、新型コロナ感染対策、安倍元首相の国葬、防衛費倍増、旧統一教会問題、原子力発電、ジェンダー問題、相次ぐ増税、インフレ、マイナンバー制度を巡るトラブル、少子化対策、福島第1原発処理水の海洋放出、木原問題など、短い期間に何かと問題が多かった。
 むろん、世論調査はこれらを反映した結果である。支持率低下の最大の要因は新型コロナウイルス対策の失敗による国民の不満だという見方も有力で、岸田氏は感染拡大を防ぐために緊急事態宣言を発令したが、その効果は限定的であり、経済活動や社会生活に大きな影響を与えたとする。またワクチン接種の遅れや変異株の出現に対しても、十分な対策を講じていないという批判もある。
 朝日新聞による世論調査(電話)によると、21年10月に発足した岸田内閣以降30%台で推移していた自由民主党の政党支持率が28%に低下し、無党派層が51%に増加した。この数値は政権交代の可能性を示唆しているが、国民は生ぬるい自民党に倦んでいると言える。とくに相次ぐ利権政治、拙劣な経済対策、女性には木原問題が大きな影響を及ぼしたと思われる。
 マイナーカード一つとっても、岸田氏は多くの国民があまりに性急な保険証の廃止を反対しているにもかかわらずに、そうした意見に共感することもなく、あくまでも自己流ので政策を強引に進めていく。
 また豪雨災害地域を見舞うことなく、そしてそこでの被害者に向き合うことなく、外交成果による支持率の回復を優先し、被害者への連帯が乏しい。これでは選挙で勝利を収めるはずはなく、先細りの内閣のように思われる。
 一方、無党派層の増加は、野党や新興政党に対する期待や関心が高まっている点を示唆している。しかし、無党派層は政治的に不安定で流動的な層であり、どの政党に投票するかは選挙直前まで変わる可能性がある。したがって、来年の衆議院選挙では各政党は無党派層を取り込むためにどのような政策や戦略を展開するかが重要である。

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