第8波の感染拡大。

 7月初旬から始まった新型コロナ感染症の第7波の収束は高止まりのまま、10月下旬から新規感染者数が増加した。11月15、16日と2日連続で10万人を超え、予測されていた第8波の感染拡大が到来した。
 「またか」という感じだが、18日に各都道府県知事は「対策強化宣言」を出し、大人数の会食などの自粛を要請した。現在の時点ではまん延防止等重点措置に基づく飲食店の営業自粛要請などは行わず、社会経済活動との両立を図る。
 再び医療危機と騒がれそうだが、欧米から見ればコロナの罹患者は圧倒的に少ない。それにも関わらず病床大国と言われるわが国ではどうしてあれほどまで病床確保ができないのか、いまだ明確な説明がないまま、第8波の危険性ばかりが強調される。
 COVIDー19に関するAIの試算によると、東京都については、今週から来週にかけて、本格的に増加していく。感染のピークは1月中旬の予測が出ているが、感染規模についてはよく分からないようだ。厚生労働省の新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボードは、11月9日現在の感染拡大が第7波と同等か、それを超える感染拡大につながる可能性はあるとした。
 新規感染者数の年代は10代や10代未満の感染がとくに多いのが特徴で、子どもから大人への感染も増加の傾向にあり、高齢者の新規感染者数も増えつつある。しかし、新規感染者数について増加のスピードが下がっている地域もあり、実際に感染拡大は10月下旬から始まっていることから、現時点で第7波のような急激な増加は認められない。今冬大流行すると言われる季節性インフルエンザは、今のところ横ばいの状況が続く。
 また新しい変異株について、全国的にオミクロン株変異のBQ.1系統が確認されている。今後複数の亜系統が併存する可能性があり、欧州や米国などですでにこの系統の割合が増えている。
 BQ.1はBA.5から発生した亜系統の1つの変異株で、22年9月にナイジェリアから報告され、今回の感染拡大の主流になると想定される。第7波で主役を演じたBA.5株と比べると、免疫をすり抜ける力が高く、感染力は20%程度強いが、重症度についてはまだ臨床の実績が乏しい。
 一般に症状は嘔吐や下痢などの消化器症状、咽頭痛、高熱、くしゃみ、鼻水、倦怠感、関節痛、頭痛などでインフルエンザ感染症と見分けがつかない。新規患者数に対する死亡率は、第5波、6波、7波と低下しているが、0.1%程度の致死率は覚悟する。

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