衆議院選挙の官僚への影響。
自由民主党の総裁交代と解散により、2024年10月27日に投開票が行われた今回の選挙で、自民・公明両党の連立与党は大敗し、過半数を割った。
その瞬間、官僚たちの顔色が一変した。少数与党では政権運営が困難となり、野党の影響力が増大し、政治が不安定化し、法案成立にも支障が出るようになる。官僚の負担が増え、政策実行に時間がかかり、迅速な対応が求められる場面での遅滞が懸念される。
これまでのメディア報道は氷山の一角に過ぎなかったが、それ以上に政官財の癒着、縁故主義、旧統一教会、裏金問題、その他の不正などの腐敗と怠惰の事実が明らかとなり、黒塗りや偽造の文書も白日の下に晒されるかもしれない。
霞が関の各省庁の官僚たちは、この10年間自民党独裁体制の下、以心伝心の与党と閣議決定で決めてきた法案の策定プロセスが変わることから、その対策に大童である。国会での各委員会の委員長も野党が占めるようになり、国民無視の方針から少しは国民の利益を考慮する必要が出てくる。一方、省益や自分の利権や天下りシステムを一段と固く守る必要が出てきて、戦々恐々としている。
もともと党と官僚だけで何事も決まっていく仕組みがおかしい。外遊と称して他国へ大金をばら撒いても、国内では賃金は低く、物価の上昇や光熱費、社会保険料などは高騰している。その上、米国からの武器購入、万国博覧会、道路工事、マイナンバー一本化などへの多額の無駄遣い、そこへ増税の連発である。
自民党は少数与党になっても、国民民主党や維新の協力を得てこれまでの方針を通したいと考えているだろうが、野党はこれを押し止めようとする。こういった動乱の時こそ、一癖二癖もある官僚の腕の見せ所となる。
政策の立案、調整、実行において、より大きな職務を担い、その存在意義を高める機会が増える。そこで国民の実情に熟知した政策を立案すると、官僚の評価が上がり、働きがいも増すだろう。また今後、与野党間での協議や調整が増え、政策の多様性が広がり、政策の立案や修正においてより大きな役割を果たすようになる。
そうなると、政治の透明性が高まり、国民の信頼も回復する。そこで野党は官僚を踏み台にして積極的に政策の提案を行うことで、政策の質が向上する。物価高、消費税減税、子育て政策、社会保障などの国民の生活に直接影響がある具体的な施策が実現される可能性が高まる。