内閣改造で見えてきたこと。

 2023年9月13日に発足した第2次岸田再改造内閣は、自由民主党の人事とともに、刷新と安定を両立させる政権を目指している。女性閣僚の人数を過去最多に並ぶ5人に増やし、若手を抜擢し、女性や若者へのアピールを高めた。
 一方、松野官房長官や茂木党幹事長など政権の骨格はほぼ維持し、派閥幹部らを要職に配置し、来年秋の総裁選挙での再選に向けた支持基盤を固めた。外務大臣には堅実な仕事で期待されていた林氏に代わって、上川元法相を起用し、意外性を発揮したが、岸田氏のライバル外しの結果である。
 今回は岸田首相が自身の信念と戦略を反映させた人事と言われるが、政策の継続性や経験豊富な人材の活用などに問題があり、「適材適所」と自画自賛するが、「たらい回し」とか「待機組処理」と受け止められ、実際は年内に公算が高い国会解散、総選挙を睨んだ緩やかな布陣とも言える。
 緩やかと言えば、世界平和統一家庭連合(旧統一教会)と濃厚な関係が目立ち、「常識外れ」という批判が強い。それもそのはず、岸田氏自身統一教会の関連団体とされる全国教育問題協議会の会合で、国際勝共連合幹部や元世界日報記者と会い、一緒に記念写真を撮っている。
 旧統一教会への対応を担当する文部科学大臣の盛山文科相は、旧統一教会の関連団体に出席している。来月中旬にも行う可能性がある解散命令請求については、法律に基づき、最終判断を検討していくと述べ、曖昧な態度を見せた。
 その他に鈴木総務相、伊藤環境相、木原防衛相の3氏は、教団関係のイベントに会費を支出したり、教団関連団体の会合に出席し、あいさつをしていたことなどが確認されている。本来なら、彼ら5人は大臣どころか自民党から離脱するのは当然で、国会議員の辞職にも値する。
 15日に内閣改造に伴って発表された54人の新しい副大臣や政務官には、女性が一人もいない。そのうち旧統一教会との関係を公表している国会議員は26人(約46%}もおり、まさに旧統一教会のオンパレードと言える。
 岸田首相は解散命令請求を念頭に、「しっかりとした結論を出すべく、最終の努力を進める」と強調した。一方、現役の信者は我々が助けてきた政権に教団を解散しろと言われるのは許せないと息巻いている。
 それにはそれなりの理由がある。政府が東京地方裁判所へ解散命令を出しても、刑事事件は1件もないという理由で、僅かながら却下される可能性がある。政府としてやる事はやったが、司法には逆らえない。どうも最初から共に末長く歩んでいこうと言う筋書きが準備されていたようだ。
 いくら何でも「変化を力にする内閣」は冗談が過ぎる。

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