次世代のエネルギー政策について。

 2024年12月17日、経済産業省は有識者会議(総合資源エネルギー調査会・基本政策分科会)を開催し、今後のエネルギー政策の方向性を定める次期の第7次エネルギー基本計画の原案を公開した。
 焦点となっている2040年度における電源構成は、再生可能エネルギー(再エネ)が40~50%、火力発電が30~40%、原子力発電が約20%となっている。現行の第6次エネルギー基本計画による30年度の電源構成では、火力発電が56%程度、再エネが36~38%、原子力が20~22%である。
 次期エネルギー基本計画では、初めて再エネが火力を上回り、電源構成の中で最大の電源となる。これにより、再エネの位置付けが一段と重要性を増した。40年度の電源構成における内訳は、太陽光が22~29%、風力が4~8%、水力が8~10%、地熱が1~2%、バイオマスが5~6%となる見込みとなっている。 
 原子力は第二次世界大戦後の第3次産業革命を支えた基幹技術だが、現代においてはその評価が分かれている。わが国の電力会社は原子力発電の扱いやその発電所の運営に慎重な姿勢をとっている。
 それににもかかわらず、日本経済団体連合会(経団連)は、原子力発電を強力に推進している。原子力発電は安定的な出力を可能にする脱炭素電源として価格競争力があると主張し、経済産業省に原発推進を促している。
 わが国は広島と長崎で原子爆弾の被害を受け、福島原子力発電所事故の教訓を踏まえている。福島の事故処理は現在も続いており、莫大な費用がかかっている。これらの経験は再エネの重要性を強調するものである。
 21世紀に入って、世界は電子科学、グローバル化、再エネを中心とする第4次産業革命の時代を迎えた。地球温暖化の影響もあって、再エネの普及が急速に進んでいる。再生可能エネルギーの主な利点は、エネルギーの安定供給、地球温暖化対策、エネルギー自給率の向上である。
 今後も科学技術の進歩により、水素、蓄電池などをはじめ新しいエネルギーの開発が期待できる。当面の電源は太陽光、風力、水力、地熱などで賄うべきである。これらの電源は初期投資と送電線の維持費が必要であるが、長期的には電気料金は格安となる。
 再エネの普及は、持続可能なエネルギー社会を築くために不可欠であり、二酸化炭素排出削減やエネルギーの地産地消や自産自消は地域経済の活性化に寄与する。蓄電池の発展によって電気の供給安定性が高まれば、生活の安全保障の向上にもつながる。
 四方を海で囲まれたわが国は、太陽光と風力という自然の恩恵を最大限に活用できる条件を備えている。電気料金の高騰が続く中、私たちはこれらの自然エネルギーを利用し、電気の節約をさほど意識しなくてもよい豊かな生活を享受したいと思う。

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