消費税の増税について。

 23年9月11日、日本経済団体連合会経団連(経団連)は来年度の税制改正要望を正式発表した。岸田政権が掲げる異次元の少子化対策を含めた社会保障政策の財源について、消費税率の引き上げは「有力な選択肢の一つ」と明記した。しかし、この提案はさらに国民の負担を増やし、反発を招く。
 これに対して、「困っている人の力になりたい」が信条の前明石市長の泉氏(60)が、同日X(旧ツイッター)を更新し、「こういう方々が中枢にいるので、日本だけが30年間、経済成長もせず、給料も上がらず、国民は苦しみ続けている。国民がお金を使えるようにしないと、経済は回らないのに」と苦言を呈した。
 ご承知のように泉氏は11年5月から23年4月まで兵庫県明石市の市長を務めた。1963年に同市の漁師の家に生まれ、東京大学教育学部を卒業後、NHKやテレビ朝日でディレクターとして働いた。その後司法試験に合格して弁護士になり、03年に民主党から衆議院議員に当選した。05年落選した後は、弁護士事務所を開設し、11年に明石市長に初当選した。
 市長として市民目線の改革を推進し、中学生までのこども医療費の無料化、犯罪被害者等支援条例、離婚後のこども養育支援、法テラス窓口を市役所内に全国で初めて設置した。また子育て支援や少子化対策に力を入れ、明石市を子育て先進シティへと導き、減少傾向にあった人口を増加させた。
 その手腕は全国的に注目されている。現在の弛緩したわが国では中央でも地方でも、市民のために熱意のある政治家が多く出現することが切望される。今後の泉氏の活躍に期待する声は高く、現在の政党政治から市民政治への転換が進む勢いが見られる。
 経団連は消費者の支出を増やして経済を活性化させるのが本来の使命であるはずなのに、消費税を上げて消費者の財布を締め付けるという自己破壊的な行動に出ている。経団連は製品や商品を作って売って、経済の成長と国民の暮らしの向上に貢献する企業の代表である以上、増税がどれだけ経済に悪影響を及ぼすかは十分に理解している。それなのに自分たちの法人税は下げてほしいと言いながら、消費税の増税を支持するのは、国民に対して敵対的な態度を取っているとしか言えない。
 消費税は89年4月に景気の過熱を冷ますために導入されたが、政府や日本銀行の金融政策の失敗がバブルの崩壊を防ぐことができなかった。しかし、バブル経済は崩壊しても、消費税は廃止されずに続けられており、現在まで30年以上も長期にわたって経済停滞の一因となっているという見方もできる
 社会保障政策の財源は将来への投資であるからこそ、国民負担を最小限に抑える必要がある。政府は国債を国民の借金と言いながら、支出を削減し、多くの補助金型予算を使わずに、特別会計に積み増している。このような現状を見ると、消費税の増税は不要であり、減税や廃止が望ましいと考えられる。

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