世論調査と今後の展望。

 2024年1月に行われた各メディアの世論調査の結果が発表された。自由民主党の派閥の政治資金問題を受けて、岸田内閣の支持率は30%を下回る水準にとどまっている。一部の調査では前回よりも上昇したが、それでも「危険水域」と言われる30%よりも低い。
 毎日新聞によると、27、28日に全国で実施した世論調査では、内閣支持率は昨年12月(16%)より5ポイント増の21%であったが、不支持率は72%で高いままだった。岸田氏は首相を辞めるべきだという意見が多く、政権に対する不信感は強い。
 岸田政権は21年10月に発足してから、支持率は20%台前半で推移したが、22年10月から半年以上40%台を維持した。23年7月から再び30%台に下落し、現在まで低迷を続けている。この間岸田氏は自らの進退を判断する機会があったと思われるが、その時期を逸した。
 2月2日に至っては世論調査の結果がどうであれ、岸田氏が首相を続けるかぎり、わが国が良い方向に進むのは難しいという見方が強まっている。だから、節分の前日に岸田氏自身が退陣するか、自民党が首相交代を決断することが最善の策だと考えられる。
 しかし、岸田氏はこういった声に耳を傾けるどころか、国民や政策よりも自分の地位や利益を優先しているようで、政権を維持するために必死になっている。低支持率の原因は主に岸田氏の姿勢や能力にあると言えるが、それは能登半島地震への対応の遅れや政治刷新への意欲の欠如からも明らかである。
 本来ならば、こうした人物が政治のトップに立つこと自体が問題である。政権発足当初から新型コロナウイルス感染症への対策が不十分であり、安倍元首相の国葬や旧統一教会問題、原子力政策の転換や安全保障関連文書の改定、防衛費の大幅増額など、国民の理解や支持を得られない政策や人事を次々と行った。
 経済政策においても、コロナ禍後の経済回復やロシアのウクライナ侵攻などの困難な状況において、賃金は上昇しないまま、デフレ脱却と称してインフレや物価上昇を引き起こし、景気を悪化させた。
 岸田氏のリーダーシップには疑問が残る。自民党は首相交代を検討すべきであったが、適切な後継者が台頭しないまま、政治資金パーティーを巡る巨額な裏金作り問題と派閥解消で混乱の極地にある。
 大胆な改革と強力な指導力が必要であると言っても、それを実現する人材やビジョンが欠けている。派閥の解散などは表面的な改革であり、本質的な問題解決にはならない。岸田氏は歴史に残るべき首相ではなく、わが国を危機に陥れる存在である。われわれは彼とその一派である自民党を批判し、新しい政治を求める必要がある。
 それが再生のための唯一の方法である。

いいなと思ったら応援しよう!