給付金。
2022年8月14日山際・経済再生担当相はNHKの討論番組で、物価高騰への対策について、生活が苦しい人たちへの新たな給付金支給を検討する可能性に言及した。
同氏は物価高を受けた新たな給付金の必要性を問われ、15日に政府の「物価・賃金・生活総合対策本部」を開いて物価高対策などを議論し、実行することが「我々としてまずやらなくてはいけないことだ」と強調した。
普通給付金と言えば、個人や世帯に対して支給されるものだが、巧言令色の政治家の発言である上に、内容が具体的ではなく、引っかかるところがある。時期が遅れたが、とりあえず国民一人につき50万円の給付金を配布するのはどうだろうか。
この10年間は異次元の金融緩和によるインフレ基調で、2年以上にわたるコロナ禍によって物価は上昇しつつあった。2月のロシアのウクライナ侵攻が合図で、大幅に物価が高騰し、少なくとも年内まで続々と値上げが予定されている。
スーパーやデスカントショップに出かけると、コロナ感染の拡大が心配になるほど大勢の買い物客で混雑している。不景気の中で大変結構な光景だが、客は品定めに懸命のようでも、品物には手が出ないようで、店内をうろうろするばかりである。
インスタントラーメン5袋で100円ほど値上がりし、以前は100円のブロッコリー1個が200円に近くなり、夏の風物詩であるスイカも1玉1000円以下のものはない。一人前の量が少なくなった製品もあり、全体食費は2~3割ほど膨らんだようだ。
一方、賃金は低下し続けているか現状維持で、多くの勤労者の世帯は生活が困窮している。15日の内閣府の発表によると、この大不況でも4~6月の実質GDPは年換算で542兆円に達するようで、新型コロナウイルス感染拡大前の水準に回復した。
項目別ではGDPの半分以上を占める個人消費が前期比1.1%増で、政府は3月下旬に蔓延防止等重点措置が解除されたことによると自画自賛するが、実は物価の値上げラッシュが押し上げた結果ではないだろうかと内心では思っている。
今は屁理屈で固めた新しい資本主義などは必要ない。それよりも、国民の窮乏を救うために懸命に働くところである。企業に対する補助金や助成金は大判振る舞いでも、個人に対する給付金は10万円の1回きりだった。
これまでに国民の窮乏と給付金の配布が叫ばれてきたが、なしのつぶてだった。本当は1回50万円、年に2回ほど配布するのが良かったと思われるが、そうであったら景気も民心もここまで落ち込むことはなかっただろう。