既存メディアに関する世論調査。
2024年10月13日、公益財団法人新聞通信調査会は「第17回メディアに関する世論調査」の結果を発表した。調査は全国の18歳以上の5000人を対象に、7月19日から8月18日まで訪問留置法により実施され、58.1%(2906人)の回答率を得た。
この結果を参考にして議論を進める。各メディアの情報の信頼度に関して、新聞は100点満点中65.9点と評価され、購読率は53.8%で、2008年度の88.6%から約30%も減少した。ニュースの接触率では、民放テレビが85.1%、ネットが74.3%、NHKが71.7%、新聞は53.7%を示した。
現代においてとくに若年層での新聞離れ、テレビ離れが顕著である。プロの記者や新聞社による事実確認を経た本質に迫る記事よりも、SNSで個人の思い付きや推測が一つの
世論を形成する時代となった。これが今回の兵庫県知事選でも顕著に見られた。
SNSはニュースを知るための主要な手段として隆盛を極め、情報の取得方法が多様化した。一方で、若年層を中心に報道を避ける傾向がある。SNSの利便性の向上、購読料や視聴料金の高騰、国民の貧困化などが要因として挙げられる。
一時期の既存メディアは政治と新型ウイルス感染症(COVIDー19)の報道ばかりで、飽きられる原因となった。最近も検察のリークと思われる自由民主党のウラ金に関する話題が続いた。
報道に対して信用できない、偏っているという意見が多い中、情報に無力感を抱く人もいる。とくに若年層や低学歴層は、記事の内容が理解できないため、報道を避ける傾向がある。SNSでは好みの動画ばかりを見る傾向があり、これではニュースの重要性や位置付けが分からない。
第二次安倍政権以降、政権がメディアをコントロールしたことで、大手新聞社やテレビは権力の監視役としての役割を放棄した。メディアに対する信頼性が低下し、活字離れが加速している。
ジャニーズ問題、統一教会問題、新型ウイルス感染症、ウラ金問題、兵庫県知事選挙などを含めて、社会的に重要な問題であっても、既存メディアは報道を避けるか、報道合戦を演じるなど表面的な報道に終始した。このために社会の認識が遅れ、実態や真実が伝わりにくくなっていた。
SNSの普及により情報の取得方法が多様化したが、信頼性に欠ける点や偏向が強まるリスクが指摘されている。情報の速さと拡散力に優れる一方で、虚偽報道や誤情報が広まりやすいという課題が残る。利用者は多様な視点を持つことが難しくなり、情報の偏向が生じる可能性が高まっている。