相変わらず、世間は嫌中の声が大きい。

 中国と聞くと血相を変える人が多いようだが、中国は隣の超大国で、わが国とも長い付き合いがあり、複雑で多面的な側面がある。1月20日に米国ではトランプ政権が成立して、同氏の意外性から国際的に不確実性が高まっており、今のところ米国の東南アジア、わが国と中国に対する具体的な方針は分からない。
 政治的には、前の岸田政権は米国一辺倒だったので、両国間には緊張が存在し、冷たい関係が続いている。石破内閣が成立して間もないが、両国間の外交や交流は新型コロナ禍による中断もあり、ここにきて長い間途絶えていた対話の機運が高まってきた。先日の与党交流協議会の再開は、両国間の対話と協力を促進する重要なステップで、疎遠な関係を改善しようとする動きである。
 自由民主党の森山幹事長と公明党の西田幹事長らは、2024年1月13日から3日間
の日程で北京を訪問し、「第9回日中与党交流協議会」で会談を行った。6年3ヶ月ぶりの再開で、森山氏は今回の会合を日中政党間交流の新しい一章の幕開けにしたいと仕切り直しの挨拶をした。
 会談の相手は王中央政治局常務委員・人民政治協商会議(政協)全国委員会主席で、両国間で政党間交流を強化していく方針で一致した。わが国は産水産物の輸入再開なども求めたが、中国側がどういった反応を示したかは明確ではなく、例によって、わが国のメディアは今回の訪中を盛り上げたが、中国では報道はほとんどなかった。
 今回の協議会の実現は、昨年11月に石破首相と習国家主席、翌月の岩屋外相と王共産党政治局員兼外相の会談に続き、ハイレベルの対話が回復したその一つである。今回の協
議会に併せて、森山氏らは李首相らとも会談し、率直な意見交換ができたと語ったが、対
話の必要性を再確認したに過ぎない。次回(第10回)は、本年の晩秋にわが国で開催することで原則的に一致し、本格的にポストコロナ時代の新しい外交が始まるが、それほど期待できるものだろうか。
 経済関係についても、中国は最大の貿易相手で、わが国を含めて東南アジアは中国の経済圏にあると言える。財務省の統計によると、23年の日中間の貿易の総額は42兆1822億円で、輸出は17兆7647億円、輸入は24兆4175億円で、貿易収支は6兆6528億円の赤字を示した。
 一方、中国の24年の貿易黒字は155兆円で、前年に比べると21%増加し、過去最大を記録した。貿易の規模は500兆円程度で、輸出は3兆5772億ドル、輸入は2兆5850億ドルであった。自動車や家電、パソコンの輸出が好調で、かつてのわが国の貿易を彷彿させる。

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