AIロボットの進歩について。

 わが国はアジアで第2位の経済大国でありながら、人口減少と高齢化の二重の課題に直面している。人口は13年連続で減少しており、現在は約1億2495万人でも、国立社会保障・人口問題研究所の推計によると、48年に9900万人と1億人を割り込み、60年には8700万人まで減少する。
 また世界一の高齢社会で、人口に対する65歳以上の割合は約30%を占める。高齢人口の増加に伴い、医療や介護などの社会サービスの需要が増大し、医療・福祉関係の職員の不足、社会保障制度の財政不足、労働力減少による経済活動の鈍化、高齢者のQOLの低下などが山積し、とくに社会保障制度の持続可能性が懸念される。
 また40年までに労働者が12%も減少し、1100万人の不足が予測されている。この労働力の低下はわが国の経済発展と社会機能の運営に深刻な状況を与え、将来、甚大な影響を及ぼす可能性が高い。若年者の減少は社会の革新と経済活動の低下を招く恐れがある。
 こうなると、適切な労働力を確保し、生産を維持し、場合によっては高める必要がある。昨今、ロボットとAI(人工知能)の進歩が著しく、どれほどの労働を補充できるかが大きな問題として脚光を浴びている。
 これらの進歩は労働不足の問題に対して、一つの解決策を提供する。単純作業の自動化の普及、生産性の向上、さらには医療や介護の現場での職員不足に貢献する。しかし、以前からロボットやAIの導入が進むにつれて、人間の仕事が奪われるという懸念が以前から指摘されている。
 これは低スキルの仕事に従事する人々にとっては不安の種になる。したがって、AIの導入を進める際には、失業率の増加を防ぎ、労働者に労働市場の変化に適応できるような教育と訓練の機会を提供し、AIロボットと人間の協働を促進する必要性がある。
 すでにコンピューターとロボットの導入は、産業界において革命的な変化をもたらし、労働構造にも大きな影響を与えたが、AIロボットの進化は、私たちの生活や働き方にさらなる革命をもたらす可能性が高い。
 AI技術は画像認識や音声認識などの単純な認識作業を効率化する段階にあり、将来、より高度な作業を自律的に実行できるようになる。現在でも、警備ロボットはすでに自分で行動し、またシステムのマルウェアの感染や不正アクセス、あるいは機密情報の流出など、セキュリティ上の脅威となる事故の検知などを行うことが可能で、スーパーや無人コンビニではレジ打ちが不要になるなど、多方面で効率化を実現している。
 さらにAIペットのように人間の感情に寄り添うロボットも開発されており、将来的には人間と共生するAIロボットも現れる。こういったロボットの進歩は、人間を超える頭脳を持ち、彼らは自律的に判断し、行動する能力を持つ。
 そこまでいくと、人間の存在はどうなるだろうか。

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