財務省への批判。

 2024年10月27日の衆議院議員選挙の前は、10件か20件程度のコメントが来る状況だった。選挙後はそれが大幅に増加し、数百件、日によっては2千件を超える場合もあり、多くは批判的な内容である。SNS上には財務省が日本経済を衰退させ、日本国民を苦しめているとか、もう我慢の限界などという声も投稿されている。このうちで国民民主党の玉木代表を応援するコメントも見られる。
 この異変のきっかけの一つと考えられるのは、選挙中に同党は所得税の基礎控除額を103万円から178万円に引き上げる政策を掲げた点にある。消費税の減税を含めたこういった経済政策が大きな得票に結びつき、今回の選挙で大躍進した。自由民主党と公明党の連立政権は少数与党となり、政権の運営には野党の協力が必要な事情もあり、かぜんこれが脚光を浴びた。
 注目すべきはこのまま行けば、わが国は自壊するところであったが、今回の選挙でようやく増税路線から減税路線への転換期の兆しが見え、国民は民意を反映できる手応えを感じた。住民税非課税世帯に限定した3万円給付金や各種補助の段階的打ち切りなどの報道も重なり、やり場のない鬱憤が飛び火したのだろう。批判的なコメントが増えることで、危機感を持って、国民の目線で仕事をするようになれば幸甚である。
 自民党の税制調査会は、11月6日に非公式の幹部会合を開き、国民民主が強く主張する「年収103万円の壁」の解消に向けた制度改正の是非を討論した。政府は年収の上限を178万円に引き上げた場合、税収が約7兆6千億円減少し、そのうち地方税収は約4兆円減少すると試算した。地方税を管轄する村上総務相は、地方税の減収について国民が現実的に議論する必要があると述べた。
 この30年間緊縮財政と増税、物価上昇を推進し、その結果、国民の可処分所得は減少し続けた。これが経済成長しなかった根本的な理由である。最近の物価高ラッシュの連発と今回の選挙で、経済停滞の主犯が暴かれ、こういった認識が一挙に広がった。これらの長年の不満と怒りが自民党と財務省に対し、爆発した。
 財務省は新しい法律や規制が次々に作られ、これを管理する仕事が増え、その他に根回しとかご説明とか接待など本来の業務以外の仕事も多く、何をやっているのかわからなくなっている可能性がある。
 それに官僚といっても、その場かぎりの仕事で、省益や自分の出世は考えても、本気で国民や国の将来などは考えない。次官や局長などの幹部は、不要になっている法律や制度、税金や補助金の廃止を検討し、公務員の仕事を減らし、増税しなくてもやり繰りできる対策を考える必要がある。
 自民党は旧態依然としており、財務省に権力を委ね、国民からむしり取ることばかりに専念している。経済成長を通じて税収を増やすという考え方を軽視し、むしろ短期的な財政収入の確保に固執している。

いいなと思ったら応援しよう!