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[第五話]春。弓道経験者だとバレたくない。しかし、その思いは虚しく…

高校に入学。

合唱部(伴奏要員)や漫画同好会などの誘いもありましたが。
オリエンテーションも、そこそこに、ソッコー弓道部の入部届を出しました。

ただし、4月の公式戦開幕〜8月のインターハイが終わるまでは3年生と2年生の主力選手達は1番追い込みをかける時期。

1年生の相手はあまりしてもらえないので、部活に参加できる時間が短かったり、お休みだったり…。
そこで経験者あるあるの
”アホらしい、早く弓引かせろや。”
…と言う感情は一切無く。
”まぁ、そうなるよねぇ〜”
と、かなーーり、あっけらかんと構えていました。
それよりも、みんなで並んで、正坐せいざや何も持たない射法八節しゃほうはっせつの練習がとても懐かしくて。
この期間は、結構…というより、だいぶ楽しんでいました。

0w0(仮)「1年生、みんなで仲良く射法八節やってる時に、1人だけ大きな大きな先輩達に混じって的前とか……考えただけでも寂しすぎる!!みんなと一緒の練習出来てよかったぁ〜!!」

…と、まだまだ”孤独”を受け入れきれないお年頃でもありました。

そもそも、大事な大会前の先輩を差し置いて、1年生の一発目から、的前に立たせて貰おうなんて、最初っから思っていないですし。
1年生のうちから大会に出させて貰えると思えるほど、高校の部活をナメてはいなかった。

だけど“他の先輩の誰よりも、他の部員の誰よりも自分が上手い”なんて勘違い一度でいいから、してみたかった!!
(結果的には、幸運な事に、高校3年間は団体戦も個人戦も、殆どの試合出してもらえ、殆どの練習試合や遠征も連れて行ってもらえました。本当に幸運な事だったと、当時も今も思っています。監督に感謝です。)

それよりも、自分は3年も弓道連盟に所属していたのに、全然上手くない事は自覚していたので、経験者である事が顧問の先生や先輩にバレてしまうのが凄く嫌でした。恥ずかしいので!!
後は、無意味に敵を作る可能性は排除したかった!!

経験者が、実際の実力に関係なく、脅威に感じてしまう気持ちは、中学の部活で経験していました。
ただでさえ、人間関係は得意ではなく、敵を作りやすい性格なので、尚更、その可能性に気づける時は、なるべく排除したかった。

それに、G高校が強豪校である事は、中学生の頃に弓連の先生に教えて貰っていましたし、現在の県弓連の会長の娘さんもG高校の先輩……
インターハイとは口先で言っても、試合に出して貰えるのか?勝てるようになるのか?と、割とガチで思っていました。


“インターハイ”や”勝ちたい”と、アホみたいに言いまくっていたのは、不安の裏返しでしかなかったです。

なので、中学の弓道連盟時代のお話は、入部〜現在に至るまで。
先輩、同期、後輩、先生方、他校の弓道仲間には、自分の方からは一切語った事はありません。
振られれば……ほんの少しだけ…と言う感じですが、もっとも、そんなものに興味がある人なんて高校の部活にはいなかった(と思う)ので、自分から進んでベラベラ喋ることではなかったです。

だけど、楽しかった地元弓連時代の出来事を語り合わずとも、共有できる人。1人は高校時代に欲しかったなぁ…と、ほんの少しだけ、思っていたのは事実です。あの頃はあの頃で、とても楽しかったので。

ここだから書ける話ですし、今だから書ける話です。
今後、弓道部の愉快な仲間達との楽しい飲み会が開催されたとしても…
自分からは中学時代の弓道の話を語る気は、未来永劫ございません!!

というわけで、弓道連盟の先生方には、県の弓道連盟では役職のある方ばかりなので、申し訳なかったのですが、中学卒業時に全員に口止めをしていました。

……しかし、どこから情報が漏れたのか。
顧問であるT監督には、私と直接会話をする前に、既にバレていましたし。

1つ上の同郷S先輩(経験者)は、1日目から他の先輩に目の前で言いふらしていました。

中学の頃なら、”ただの同じ中学の先輩、後輩”でしかなかったので、

0w0(仮)「ちょっと!!同郷S先輩くん!!バラさないでよ!!」←中学時代はタメ口でお話していました。

と、すかさずツッコミを入れていた所です。
同郷S先輩は、G高校の弓道部だと言う事は、中3の時に、OBS先輩から聞いていましたが。
幽霊部員だと聞いていたので、完全に油断していました。

しかも、入部開始10分にして、G高校の明確な上下関係の厳しさを指導されてしまっていた私は、とにかく入部一発目から、波風立てたくなかったので、何も反抗できず……

この”経験者である”という事実だけで、余計な敵を作ってしまう事は、この頃は既に理解をしていましたが、開き直るしかない……と、腹を括る事になるのでした。

ハァー(*´Д`*)やれやれ…事実だけど、これはこれで、面倒くさいねぇ。


案の定、過剰反応する人はいて。一部の人に“経験者”というワードを出される度に、腹の中ではそう思っていました。

好きでやってるだけですぅ〜!!って感じなのにね。

[副顧問の数学の先生のお話。]
中学2年生?3年生の時だったか。
O先生が、一般射場で弓を引いている、1人の女性を指差して言いました。
O先生「あそこの若い方、新婚さんだよ♡国体にも出てるから上手なんだよ。」

私はその女性にさして興味はありませんでしたが。
2年歳の離れた妹が中学生になり、弓道教室にほんの少しだけ通っていました。
その時に、よく妹の射を見てくれていた女性が、そのO先生の仰っていた、新婚さんでした。

月日は流れ、私は無事にG高校入学。
まだ、まじめに授業を受けている、高1の春。

1回目の数学の授業。優しくて、解りやすい授業をする教科担任が私のクラスを受け持つ事になりました。
部活のオリエンテーションにて。その数学の教科担任が、副顧問の先生になる事を知りました。
2回目……忘れもしない…
方程式の授業を受けている途中から、何かがピンときて、その瞬間、いきなりその教科担任が”誰なのか”を知りました。

0w0(仮)「(……O先生の仰っていた、新婚さん!?高校教師なんて、聞いていない!!G高校にいらっしゃるなんて、聞いてない!!面識のある人だ。うわぁー最悪だぁーー。)」

兎にも角にも、中学の頃の自分を知る人は、最小限に留めたかったのですが”教師側”にも、面識のある方がいらっしゃるのは盲点でした。(中学時代、何回かは目は合ってた気はしたが、殆どお話をした事はない…と思う。)
…何故、すぐに気づかなかったのか……

気づいてからは、何故か血の気が引いて、変な汗まで出ていました。
あまり意味がないのに、その瞬間、1人で勝手にパニックになり、1人で勝手に存在感を消そうと…教科書で顔を隠しながら、その日の授業は終了しました。



G高校のOBS先輩も、中学生の指導で弓道連盟にいました。当然ですが、OBS先輩にも口止めをして、中学は卒業しました。

結局、T監督に、私の事を話したのは誰なのか……
割とバレてしまえばどうでも良かったのと、どちらにせよ弓道の世界はとても狭く、どこからでも情報漏洩はあるので。
くだらない犯人探しはしませんが、世の中、本当に思い通りにならないものだ…
……と。15歳ながら考えた春でした。

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