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カンダさんちのBuFF

今回「カンダさんちのBuFF」としてお送りするのは、このBuFF(バフ)という名の鞄についてです。

カンダさんち、というくらいですので、紛うことなく正真正銘、カンダさんのところで作られています。

カンダさんちは神戸の山手にあります。オシャレな街はずれのオシャレなアトリエです。カンダさんはそのアトリエで、オシャレな革鞄、オシャレな革小物をお作りになられています。

カンダさんちのお鞄は、このBuFF以外にも、taupe(トープ)という子を先に持っておりまして、ソチラは持ち手の長さをカスタマイズしてもらった以外はほぼ標準仕様です。(インナーをピッグスエードにしてもらっていますが、これはほぼ標準オプション仕様といってもよいですからね)

手持ちのtaupeとBuFF

ということは、そう、コチラのこのBuFFは【標準的】なBuFFではなく、カンダさんちでカンダさんとあーだこーだとお話しして作ってもらった特注品、その名もBuFF_petal(バフ・ペタル)という子になります。

BuFF_petal

本日は、このBuFF_petalを最終目的地にして、そこへ至る道程をつらつらと弾き語りならぬBuFF語りしていきたいと思います。

そのためにもまずは本家本元の正調BuFFについて語らねばなりますまい。

と言いますのも、BuFF、というよりBuFFシリーズ、あるいはもはや、摂津ノ國カンダ一家バフ一系、と言ったほうがよいのかもしれません、なかなかに込み入ったモデル、なのです。

そもそもBuFFという鞄ですが、カンダさんがカンダさんのお父様に使ってもらえるような鞄、いわゆる昭和のセカンドバッグ、の代わりに持ってほしい、ということを考えてデザインされた鞄です。

柔らかいフォルムが特徴なカンダさんの鞄は女子向け、と思われるものが多いなかで、めずらしく男子向けを出自に持つ鞄、となります。

基本となる最もベッシークなデザインは、特徴的な付け根・サル革にT字のハンドルを採用されており、また、まるッと一枚革をベースに底材も使われていないため、とても軽く仕上がっています。

なお、こちらのハンドルは、下に押し込んで縮ませることができます。このあたりが、セカンドバック的な使用、つまり脇に抱える持ち方も想定されたところかと思われます。カンダさんの鞄の魅力の一つである、機能面からデザインが創られている、ということを窺い知ることができますね。

なお現在はドイツ・ぺリンガー社シュランケンカーフで作られており、ころんとしたどこか可愛らしい雰囲気ですが、大元も大元の大始祖BuFFはクラシコバッファローという革で仕立てられていたようでして、同じシボ革でもよりワイルドな感じで、確かに男性向けな鞄であったことがわかります。

そして派生種として、カン付き丸手ハンドルのBuFFがあります。

思うに、オリジナルから、よりフォーマルであったり、あるいはハンドルの可倒性を求められて、でしょうか? オプション扱いではありますが、もはや【定番】化している様子です。こちらはとてもシックで、「ザ・バック」という面持ちですね。

またさらには、オプションで両サイドの引き手をオミットして、代わりにDカンをつけてショルダーベルトを装着できる仕様もあります。

極め付けは、ファスナーポケット付きまであります。

あらためて整理しますと、大枠ではこんな感じになります。

なぜ【大枠では】かというと、こんなのだったり、

こんなのだったりが、あるからですね。

いかにBuFFシリーズが個性豊か、バラエティーに富んだ鞄であるか、お解りいただきましたでしょうか?

そしてここで、最終目的地であるBuFF_petalへ至るにあたって、強調しておきたいことがあります。

カンダさんちの他の鞄をぜひご覧になっていただけるとお解りいただけるかと思うのですが、カンダさんのデザインは、縫製や機能性から導かれて創られているので、実に弄る隙がないのです。ですが、このBuFF、なぜだかオーダー主の要望に応じて弄られまくっている、ということです。

方やハンドル長ぐらいしか弄る要素・隙のないtaupe

理由は定かではありませんが、どこか不完全さが漂うのか、なぜだか弄ってみたくなる、そんな魅力のある鞄なのだから、ではないかと思うのです。

なので、BuFFの存在はかなり気になっていたのですが、どこか決めてしまう(オーダーしてしまう)には至らずに、そのままアタマの片隅に置いておいたままだったのですが、ある日、(たかはし的に)トンデモナイ作例がアップされたのです。「嗚呼、こんな手があったのか!」と。

その衝撃のBuFF、、、をご紹介する前に、私がBuFFをイイな、と思ったポイントについてを、お話ししておきたいと思います。

まず一つには、シュランケンカーフの鞄で、かつ、取り扱われている色数も豊富、しかも仕立て方が、ボディをまるっと一枚で仕上げてある贅沢仕様であること。

そして次に、イチバン重要な、サイズ感になります。実は、このBuFF、A4サイズが入りそうで入りません。もう一度言います、微妙に入りません。なので大手メーカはまずやらないはずなので、量産既成品にはないサイズ感になっています。

ここからは、たかはしの鞄考やバック観になるのですが、紳士鞄でこのサイズ、いわゆるミニバッグと言われるレンジでは未だ決定的なスタイルというのはなく、また、最近になってようやく各社が本格的に取り組み出したようなイメージです。

というのも、キャッシュレス化が進んでいるにも関わらず、スマホを筆頭に男の持ち物が増えており、紳士用小鞄というものにスポットが当たるようになってきたのではないかと思うのです。

ただしこのレンジは、ジェンダーフリーな【トートバッグ】が圧倒的王者として君臨しており、紳士用としてスタイルを確立した鞄は現出しておらず、依然決定打に欠く、状況にあります。

だいたいが、このサイズの紳士向け鞄は企画・製作されても定番化することなく、廃番の浮き目となる、百花徒花な様相です。

そんな中、このBuFFは(たぶん)ブランド設立初期から、(途中で微妙にサイズアップされているものの)継続して製作されている息の長いモデルでして、それもサイズ感が絶妙なのと、一枚まるっと仕立てによる軽さ、ちょっとキレイめなデザイン、という要素が大きいのではないかと思うのです。

ちょっとキレイめなデザイン、というのをもう少し掘り下げますと、スーツスタイルやジャケパンスタイルといったときに、紳士鞄と言えばブリーフケース、になるわけですが、オンビジネスであればベスト、なのですが、そうでない場合、カジュアル・ジャケットであったときに、ブリーフケースではデカすぎる・イカつすぎるのです。

ならばトートバッグ、な訳なのですが、ご承知の方はご承知の通り、ジャケットスタイルに肩掛け鞄は、「本来は」ノーグッド、なのですよね。また個人的にも肩掛け可能な長さのハンドルは、手持ちにしたときに、どこか間延びした印象が拭えないように感じるのです。

あるいは各種ブリーフケースをスケールダウンしたデザインの、ミニバッグも数多存在するのですが、単純にサイズダウンしたら良い、というものではないらしく、妙に仰々しいか、逆にどこか滑稽な風、のどちらかに振れてしまって、コレジャナイ感じ、なのです。

またもう一回りサイズダウンすると、クラッチバッグやセカンドバッグがあるのですが、これは賛否両論、非常に取り扱いのムズカシイ、オシャレ上級アイテムになる上、そもそも容量がなさすぎます。

そういう中で、このBuFFはなかなか都合の良いサイズ、それもそのはず、繰り返しになりますが、セカンドバッグに代わる持ち手ありの紳士用鞄、というものをデザインコンセプトに企画されたからだと思われるのです。

ただ、完全に個人的な好みの話なのですが、オリジナルのTハンドルは、可倒式でないので、折れてしまうのが怖い、カン付きハンドルが望ましい、というのがありました。

この点については、オプション対応で、taupeデザインのハンドルに付け替える、Dカン・モデルが定番化されていたのですが、縦横比の縦が短いtaupeだと完璧なこの根本の雫型パーツをBuFFにもってくると、ちょっとボディ下方が間延びするきらいがあるように感じられて、二の足を踏んでいたのですね。

そういった状態のところで、ある日、(たかはし的に)トンデモナイ作例がアップされたのです(大切なので2度言いました)。「嗚呼、コレ思いついた人天才だわ!」と。

それではお待たせいたしました、トンデモナイ作例というのはコチラになります。

ジャングルグリーンと呼ばれる目の眩むような緑色のシュランケンカーフを用いたBuFFです。まずもってこのフレッシュなグリーンをBuFFに持ってくる素晴らしいセンスに度肝を抜かれたわけですが、よーく見ると、これまでご紹介したBuFF達とは様子が異なります。

ちなみに、カンダさんに伺ったところ、このジャングルグリーンのBuFFの画像をホームページにアップしたところ問い合わせが増えた、とのことでした。やはり色のインパクトはスゴイですね。

検討用に先ほどの画像を回転させ、鞄を正立状態に見立てたのが、こちらなのですが、どこが違うかという、ハンドルが大きく異なります。

色とフォルムが完全合致しておりますねスバラシイです

このハンドルは【bocco】というコレまたカンダさんのステキなセンスが全開な鞄なのですが、それと同じ意匠のハンドルが付けられているのですね。

一見するとそのまま移植したものかと思っていたのですが、わざわざ型紙を起こして、サイズダウンしたものを取り付けているとのことでした。流石です。

前にも述べたとおり、既存のDカン付きハンドルのBuFFはtaupeのハンドルを移植しており横長のtaupeでは完璧なのですが、それ比べて縦に伸びるBuFFだとシックリこないと申し上げました。ところがやはり似たような縦横比のboccoのハンドルですね、とても収まりが良いように思ったのです。

雫型(taupe)

ですので、私から見ると、このジャングルグリーンのBuFFは、カラーとデザイン、二重で衝撃を受けたワケなのです。これオーダーした人、天才やん!!!

元からこういうデザインの鞄だったのではないかというくらいの出来栄えに、このまま色違いでオーダーをかけようかとも思ったのですが、これも先ほど申した通り、直付けハンドルが苦手でして、さぁどうしたものかと、思案の為所、、、いや安直に、コレをDカン付きに変更してもらえばよくね!?!?と閃き。。。

というわけで、安直に、Dカン付き【花弁型】ハンドルに変更してもらったのが今回のBuFF、その名も、BuFF_petal(バフ・ペタル)です。petal=花弁、ですので、ネーミングも安直です。スミマセン。

花弁型(BuFF_petal)

大好きなシュランケンカーフのバイオレットの外装に、内装は、あーでもこーでもないとカンダさんと色々検討したのですが、やはり安定と実績のテッパン、パープル・ピッグスエードで拵えていただきました。

パープル・ピッグスエード

ステッチ糸は、BuFF自体ステッチが全面に出ないデザインですので、目立ちもせず、かといって埋没もせず、というビミョーな色目を選択しております。なお、このステッチ、定番のビニモだと色目が浮く感じになるので、わざわざシュランケンカーフと同じドイツ製(だったと思います)の糸を入手されたとのこと。たしかにステッチの色の収まりが良いと思います。

そして、ココがイチバンの見どころ、イチバン見ていただきたいところが、ファスナー&ボディの引き手のデザインです。標準だと雫型と盾型なのですが、今回のハンドルの意匠に合わせて、同じく花弁型にしてくださっております。おかげで鞄全体の統一感が素晴らしいのです。

引き手3枚の重なりが花びらのよう

単純にハンドルだけを換装するにとどまらず、細部にわたって、カンダさんの心意気というか、クリエイター(造物主)魂、そしてなによりも本当に鞄がお好きなんだなぁっと、この仕様に気がついたときに感動してしまい、うるっと来てしまいました。もはや記念品です。宝物として大事に使わせていただきたいと思います。

お宝ですね

BuFF_petalは、この角度からの眺めが、イチバン美しいと思っておりまして、引き手3枚の重なりの雅、三角形のフォルムが袴姿のシルエットを想起させ、縦横比が白銀比の鞄正面と合わせ、和テイストなのですよね。そして真骨頂は底面底材を入れずに設計と縫製でこのフォルムを形作るギミック!です。

美しいフォルムです

最後になりましたが、このBuFF_petalの創造主カンダさんこと、カンダミサコさんに厚く御礼を申し上げて、今回の筆をおきたいと思います。

ぜひ、皆さんも、BuFFはもちろん、他にもとっても魅力的なバッグ、アイテムをお作りになられていらっしゃいますので、一度ホームページや、Instagramをご覧いただければと思います。そして、ぜひ現物を手に取ってみてほしいのです。本当によく作り込まれている、【作品】だということがお分かりいただけるかと思います。

Instagram:https://www.instagram.com/kandamisako/

【2023年7月追記】
ついにBuFFバリエーションが整理され正式化されました!👏👏👏

taupeと同じ雫型の根革のは、BuFF_雫。
boccoと同じ一体型ハンドルのを、BuFF_amand。
そして花弁型は、BuFF_petal。ネーミングが正式採用されましたですぞ😂


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