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"読んだ本のこと、書いとかないと忘れちゃうから" 6冊目 『翻訳できない 世界のことば』
これはぜひ紙の本で読んでみて。
色と形と大きさと。ページをめくるわくわく感。
図書館のカウンターで受け取ったときに、きゅんとする感覚。
今回の記事は、一冊の絵本から結構遠くまで飛んでいきます。
よかったら最後まで読んでみて。
【きっかけ】
最近立て続けにアメリカっぽい本を読んでて(『SELFISHNESS 』アイン・ランド、『情動はこうして作られる』リサ・フェルドマン・バレット)、言葉としての意味とか著者が伝えたいことはわかるんだけど…なんかその前提にある文化的な基礎がわかんない🌀
…ということがあって思い出した本。
最初は子ども向けのおすすめ本リストか、プレゼントにおすすめ本のリストでみた気がする。
【ひとつの言葉に入っているさまざまなもの】
言葉には、その言語が生まれた土地の気候とか歴史とか、何を大事にしてるかが色濃く現れる。
日本語には『雨』を表す言葉がたくさんあるけど、『羊』は1つしかない。みたいな。(羊はChina・唐からの輸入品だった…しれっと十二支に入ってるけど日本でポピュラーになったのは明治時代に北海道で育て始めてから)
アラビア語のGURUFA(片方の掌にのせられる水の量)は水へのすごく強い思いを感じるし、スウェーデン語のMÅNGATA(水面に映った道のように見える月明かり)は月への愛とともに夜闇の深さや恐れを感じさせる。イヌイット語のIKTSUARPOK(誰か来てるのでは?と期待して何度も外に出てみること)はすごく人口密度が低くて(とてつもなく広い)誰かと会うのはすごくレアな喜びなんだな…とか。ウェールズ語のHIRAETHとポルトガル語のSAUDADEはちょっと似てる。民族的に歴史的に大きく"失う"体験があったのかな…それともこの感覚は言語化されてないだけで、"定住する人"共通のものなのかな?
日本語のBOKETTO(なにも特別なことを考えず、ぼんやりと遠くをみているときの気持ち)!…いやー…世界中の数億-10億の単語(chatGPT調べ)の中から、これを選んでくれてありがとう。定住してて効率のいい農耕(稲作)文化×狭い地域に海とか山とか変化に富んだ地形のなせる言葉なんだよー…実は禅の瞑想にも繋がってて…(大嘘)
自動翻訳の精度が高まったら言葉の壁が溶けるのでは?…という説もあるんだけど、2025年の今のところいろいろと英語ベースで作られてるので、AIが普及すればするほど英語的言語とアメリカ的文化に"統合"されていく感じがする。
【流転する言葉に流されていく楽しみ】
言葉って(特に話し言葉)って流転してくとこが面白いので、ついでに言葉に関するエピソードをいくつか。
こないだ食べたコース料理は"シェフのみた夢"を元に組み立てられたストーリー仕立てのメニューだった。(なかなかのお値段だったけど、メニュー絵本の執筆×目の前で調理してくれる料理ショー×視覚と味覚のギミック×参加型舞台みたいなエンタテイメントだった…もはや料理の概念超えてて興味深かった)
シェフは漢字名で日本語で話してくれたけど、"メニューは何の言語で考えるんですか?"って質問したら"英語ですが生まれはカナダです"とのこと。
日本語タイトルは、母語が日本語の人と壁打ちするとか。
こちらAppleTVでみた『パチンコ』は、"在日コリアン"と呼ばれる韓国人女性の一族の壮大なサーガ(原作未読だけどかなり面白いらしい)
ドラマは、英語と日本語と韓国語がまぜこぜに飛び交って聞いてるだけでも面白かった。(ドラマは完結してないので課金注意⚠️)
原著は英語、著者ミン・ジン・リーは韓国生まれだけど英語話者。
最後に鈴木大拙の生講演
なんとも心地よい"明治日本言語の和芸"おじいちゃん声がいい。
文字に書き起こせば『ございます』なんだろうけど、『ござんす』と『ごんす』の中間をただようくぐもった音声。日本語だと思って聞いてるとフランス語とか英語の単語が混じってて脳がバグる感覚がたまらない。
著書の原文は英語。…考える時も英語で考えてたんじゃないかなぁ…。
今まで取り上げた本の中で1番文字数が少ないのに、1番長い記事になった。
"余白"って抽象化(妄想とも言う)はかどる。
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