日本の「庭」とヨーロッパの「庭園」⑯
30年前の長文レポートにおつきあい下さいまして、まことにありがとうございます。
本文は終わりましたが、もうしばらく続きます。
前回はこちらでした。☟
結びにかえて
日本の庭とヨーロッパの庭園は、全く対照的な性格を備えている。自然と人工の関係はその端的な例であり、また根本的な点でもある。
しかし、日欧の庭園は、単に両極をなすだけなのだろうか。庭園と築造物という観点から考えた場合、ヨーロッパでは庭園が築造物に歩み寄り、日本では反対に、木造を主とする建築物が歩み寄りをみせている。
結局のところ、庭園と築造物との調和に向かって、日本とヨーロッパの庭園は、両端から中央に向かって進んでいるのである。
庭園とは、人間が自然と人工の適度な融合を求めた結果なのではないだろうか。
あとがき
非常に大まかではあるが、以上が私なりの庭園比較論である。このレポートを書くに当たって様々な文献を調べてみたが、日本とヨーロッパの庭園の比較をテーマに書いている著述には出合うことがなかった。文献に付されている写真を眺め、実際に庭園を訪れた時のことを思い出しながら作成するように心掛けたのだが、論の展開が拙いものになってしまったことを残念に思っている。
しかし、いろいろな角度から分析し検討を重ねるという作業は、大変貴重な経験になった。そして何よりも、日本の庭を以前よりも深く知ったことによって新たな魅力を見出せたのは、喜ぶべきことである。
このレポートを通じて、「日本の庭らしさ」だけでなく「日本らしさ」の原点 ー なぜ「日本らしさ」が生まれたのか ー にも近づくことができた。このことが、私にとって最大の収穫であったのだと思う。
さらにこのあと、
補説 日本人とイギリス人の自然観 ー 色名をもとに ー
が綴られていました。こちらの内容は、また改めて。