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真夜中、息子の足をさする

子どもが生まれて、隣にれる生活になってはや4年。

毎回自分にびっくりするのが、息子が泣いたり寝言を言ったりすると、1秒で意識が覚醒する事。

私が小さい頃は寝る事大好き。移動中の車ではよく寝ていて、家に着いたから起こされると、気持ちよく寝てたのにとギャン泣きし毎度ブチギレていた私。あの頃の私はややこし過ぎて、両親もさぞかし疲れた事だろう。ごめんね。

そんな私が、息子のふぇと泣き出す瞬間に起きて、大丈夫だよと声を掛けられていることが、いまだに信じられないのだ。


はたまた自分の幼少期、小学生低学年くらいまで私は夜中よく喉が渇く子だった。先述の通り、寝汚い私は寝ている途中で喉が渇いたからと言って、起き上がって水を飲みに行くのは嫌だった。だって眠いから。その当時、襖を隔てて二間続きの部屋に片方は私、片方は両親と弟が寝ていたのだが、そこに向かって、か細い声で呼び掛けるのだ。

「みずーーみずくださーーい」

掠れたような私の訴えに、母は必ず気づいて水を持ってきてくれた。父と弟は絶対気づかないのに、母だけは毎回気づいてくれるのだ。

その話をすると、あなたは昔からみーみー言ってたわと言われる。おそらく記憶にない小さい時から、水が欲しくてみーみー言ってたのだろう。


そして思う、やはりこれは母にだけ授けられた特殊能力なのかもしれない。

そして小学生くらいまでは間違いなくこの能力は続くという事。


彼が私の事を求めてくれるうちは、ちゃんと気づいてやりたい。たとえどんな小さい物音でも。彼にとって安心する存在でありたい。ちゃんと気づいてくれる人がいると思ってもらえるように。


なぜか真夜中、声もなく静かに涙を流し始めた息子の足を摩りながら、そう思った。

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