オペラ「イオランタ」岩河智子訳詞
「イオランタ〜盲目の姫」
上演日時:2010年11月19日、20日
会場:札幌市教育文化会館大ホール
原作:アンデルセン童話に基づく「レネ王の娘」
作曲:チャイコフスキー
構成編曲:岩河智子
訳詞:岩河智子
音楽監督:岩河智子
演 出:沢則行
■出演
イオランタ人形:FAT!S(フィギュアアートシアター札幌)
ヴォデモン人形:FAT!S
盲目の姫イオランタ:百島吾弥子(19日夜、19日昼)、松嶋 瞳(20日夜)
騎士ヴォデモン:橋本卓三(19日夜、19日昼)、安田哲平(20日夜)
ヴォデモンの友、騎士ロベルト:石田まり子
娘を溺愛する父王:石鍋多加史
アラビアの医師ハキア:竹澤嘉明(特別出演)
乳母、マルタ:松田久美
姫に仕える乙女ブリギッタ:三浦志緒理
姫に仕える乙女ラウラ:萩原のり子
姫の女友だち:倉本真理、森千絵子、遊佐悦子
ピアノ:吉村美華子
弦楽アンサンブル:
Fl,Picc/蠣崎路子
Vn/富岡雅美
Va/前南有
Vc/川崎昌子
キーボード、合唱指揮:時岡牧子
コレペティトゥーア:後山美菜子、土屋益子、時岡牧子
音楽アドヴァイザー:駒崎志保、則竹正人
■日時料金
日時:2010年11月
19日(金)午後7時開演 (6時半開場)
20日(土)午後2時開演 (1時半開場)
20日(土)午後7時開演 (6時半開場)
┌─────────────以下 N:ナレーション
父王語り1: N / 「恐れを知る者は引き返すべし、立ち入る者は死刑に処す」
N / イオランタは、このわしが守る。
N / わしはイオランタに全てを与えた。
N / 岩山の中に、楽園を作り、
N / 豪華なこの住まい、沢山の召使い、
N / 話し相手の遊び友だち、
N / 幼い頃に婚約者も決めた。
N / ありとあらゆる物を、私は娘に与えた
N / ただ一つの物を除いて。。。
N / 「光」だ。
N / イオランタは目が見えないのだった、、、
No.1 序奏
No.2 女たちのシーン
マルタ: 可愛いイオランタ、疲れたの?
イオランタ: 疲れ‥‥、
いえ、ちがう。
ああ、教えてよ、ばあや。
マルタ: どうしたの?
イオランタ: 何かが足りないの。何か‥‥それが知りたいの。
お父様、マルタ、それにお友達のみんなも、
いつも、優しくしてくれる
なのに、お返しが出来ないの
マルタ: 召使いの務めですもの
イオランタ: いえ、違うわ、お友達よ
何かが欲しい、何か分からない
マルタ: 可愛いイオランタ、よして、、
イオランタ: ちょっと待ってこちらへ、もっと近く
(マルタの目を触る)
泣いている、、どうして?
マルタ: だって、可愛い子が泣いているから、、
イオランタ: ばあや、なぜ泣いていると分かるの?
なぜ鳴き声も聞かないし、私の涙、
触りもせず、なぜ分かる?
ああ、なにか秘密が、
マルタ: もう止めて、
ブリギッタ: この音楽のせいよ
マルタ: そうそう、これが悪い
さあ、終わり。
ラウラ: こんな暗い曲は、、、
イオランタ: やめて。
ありがとう、お友だち。
とても奇麗だった、でも今はもう良いわ
そう、お日さまが沈む頃、また来て
お願いね。
ブリ・ラウラ: 何をしましょう。歌やおしゃべり。
女友達: 糸つむぎ
イオランタ: いえ、なにもいらない。つかれたわ。
花を摘んできて。
花びらの香り、触れていたら、この心も
安らぐでしょう。
眠れない夜でも、、
本当に目というものは、泣くためにだけあるの?
教えてよばあや、
No.3 アリオーゾ
イオランタ: なぜかしら知らずに居たの、悲しみや涙を
バラの花、空の響き、幸せに包まれ
鳥たちのさえずりや、林の揺れる音は
喜びが鳴り渡る、厳かなコーラス
でも、今はこの胸を、何かが咎めるの
この命責め立てる、せせらぎの水の音
なぜ夜の涼しさが、こんなにも愛おしく
なぜ夜泣き撮りの声は、今はむせび泣きに変わったの?
なぜなの?なぜか、、なぜか、、
教えてばあや
No.4 花の合唱
マルタ: さあ、止めましょう。
訳もの無いのに涙やため息
神様におこられる
合唱: バラの香り、花たば、
ミモザも綺麗に、金鳳花も
春を告げるスズラン、溢れる香りはジャスミンの花
さあ、その手を触れて、きよらな花びら
香りに包まれて、優しい夢を見て
苦しみを忘れて、疑いの気持ち
悩みも捨てて、幸せな夢の中で、忘れましょう
バラの香り、花たば、
ミモザも綺麗に、金鳳花も
春を告げるスズラン、溢れる香りはジャスミンの花
もう悩み消え去り、そう夢は安らか、
春の花よ、春の花よ
No.5 子守唄
イオランタ: ブリギッタ、あのね、、
ラウラ: いえ、私はラウラ。
(イオランタ、ラウラを離さず、ブリギッタも触り)
イオランタ: お礼を言わせてね。
ああ、なぜ私を愛してくれるの?
ああ、どのようにお礼をすれば、、
ブリギッタ: あなたの愛を、、それで充分。
イオランタ: どこ?ばあや
マルタ: ここよ、可愛い子
イオランタ: ねえ、来てよ
子どものころのように頭をお前の肩に、、
そして歌って。
わかる?ねえ、大好きな、、
マルタ: あの歌を、、
(ブリギッタとラウラに)
一緒に歌いましょう、
イオランタ: いえ、二人には退屈よ
ブリ・ラウラ: まあなに、どうしたの?やめて?
眠りを守る天使はどこ?
優しい羽は夢を運び、、
ねんね、ねんねんよ、ねんね、ねんねんよ
眠れよ愛し子、夢は何?
良い子が祈れば、神様は
この地上に、平和と幸せくれるでしょう
この地上に、平和と幸せくれるでしょう
やさしい夢の中で、お休み私の天使よ
(繰り返し)
父王語り2: N / 見つけたぞ!
N / イオランタの目を、直してくれる医者を!
N / 世界中を探しまわって、
N / とうとう見つかったのだ。
N / アラビア人の、エブン・ハキアという男だ。
N / 娘は今、眠っている。
N / エブン・ハキアは、そっと診察している。
N / ああ、神よ!
N / わしはどうしても、娘に光を見せてやりたいのです。
No.6 王のアリア
父王: 主よ、この私の罪だというのですか
きよらな瞳の、光が消えたのは
もし、今喜びの知らせを下されば
もう何もいりません、冠もこの国も
幸せも、安らぎも全部投げ出して
主を讃えましょう
大地にひれ伏して、全てをささげて
だがあの娘を、暗闇の世界から救わせたまえ
全てをささげて願う、ああ、神よ、
我が神よ、聞けよこの祈りを
No.7 医師ハキアのアリア
父王: N / 医者の顔は冷たく無表情だ。やつの科学のように
N / ああ、読み取れない、どんな答えが出せたのか?
ハキア: お任せ下さい、アラーは偉大なり。
N / まことアラーは偉大なり
では、結論を申しましょう。
確かに直るかもしれません。
ただし、条件が
父王: N / 言ってくれ、いくら欲しいんだ
N / この国全部をやっても良いぞ。
N / 姫に光を見せてくれるなら。
ハキア: 条件は、姫が全てを知ることです。
父王: N / 目の見えないことをか
N / 必ず直せると?
ハキア: 神様だけが知っておられます。
誓いは出来ません。
父王: この私があの子に真実を話すのか、
惨い、現実の全てを。直るとも言えずに、、
ああ、ひどい奴め。お前に父親の苦しみが分かるのか。
わしの期待は裏切られた。
もう、だれも頼みはせぬ。さがれ!
ハキア: あなたは何でもお出来になる。
でも、まず私の話を聞いて下さい。私の忠告を。
この世には二つの大切なものが。
精神と肉体の、二つの世界が、
互いに結びつき、全てを司る。
ものが見えるためにも、精神の力が、
姫の死んでしまった目を開くために
肉体だけではだめです。
姫が、心から見えるようになりたいと、強く望むなら、、
そう、それで直るのです。
そう、強く望むことが、光を呼び戻す。
父王: N / 神よ、私は間違っていたのでしょうか?
N / 娘に真実をしらせなかったことが、
N / 私の罪なのでしょうか?
ハキア: N / 決心なさいませ。
N / イオランタ様が、ご自分が目が見えないと言うことを知り、
N / 直ることを強く望まないうちは、
N / 私にはどうすることもできません。
N / 夜まで待ちましょう。
N / あなたの決断を
(ハキア退場)
父王: N / わが娘よ、
N / 可愛いイオランタよ、
N / いいや、そんなことは出来ない。
N / 姫に秘密をあかすものは、命が代償‥‥
N / そう決めたのだ。
N / 医者も父親には勝てないのだ。
N / マルタ、誰もいれてはならぬ。
N / 立て札をしっかり立てておけ!
No.8 間奏曲
(二人の男たちの登場)
ヴォデモン: やっと道が開けた。
ああ、ここは天国か
ロベルト: 見ろよ、立て札だ。
N / 「恐れを知るものは引き返すべし、
N / 立ち入るものは死刑に処する」
ヴォデモン: ロベルト、なんだそれは?
ロベルト: さっぱり分からぬ
ヴォデモン: 戻ろう
ロベルト: いや、御免被る。
ようやくたどり着いたここを出て、
また道に迷い、へとへとになる。
いだだね、御免だよ。
ヴォデモン: N / でも、イオランタ姫に会うのが遅くなっても良いのかい?
N / 君の婚約者の姫に。
ロベルト: N / やめてくれ、婚約者だなんて
N / ずっと昔、小さい頃、顔も知らずにかわした約束なんて!
N / レネ王に、絶対取り消してもらうのだ!
ヴォデモン: N / そうか、
N / でも、彼女がもし魅力的だったらどうする?
ロベルト: N / ばかな!
N / スペインの修道院にいるんだぞ!
N / 尼さんだぞ!
N / アーメンとか、祝福を、とか唱えていれば良いさ!
ヴォデモン: N / そこまで言うなら、この婚約は無理だな。
ロベルト: N / それに、僕には好きな人がいるんだ。
ヴォデモン: N / 君に?
N / 名前はなんと言うのだ?
ロベルト: N / マチルダさ!
No.9 ロベルトのアリア
ロベルト: わが恋人、マルチダよ
黒く輝く瞳は、夜空に輝く星か
熱い情熱満ちた、甘い酒の様なその愛の仕草
見つめられて燃える血潮、稲妻の激しさよ
また、微笑み歌いかけて、口づける幸せよ。
可愛い魔女の誘惑、情熱の時よ来よ
No.10 ヴォデモンのロマンス
ヴォデモン: いや、魔女の誘いなど、心は動かぬ
悩ましい目つきも、熱いため息も、
そう、静けさに包まれ、眠る天使よ
それこそ夢に見たきよらな恋人
美しい女神、気高き姿
まなざしは優しい心を伝え
春の雪よりも、ま白く光り
森のスズランか、野原のユリか
ああ、やさし香り
ああ、恋人、早く来てよ
心の糸をかき鳴らせ、
空の果て、雲の彼方より、来れよ早く
来れ、輝く幻、来れ、ああ、ただ君を待つ。
ああ、早く来れわが手に、ああ、早く、ああ早く
輝ける天使、来れ、さあ。
No.11 寝姿発見
ロベルト: ヴォデモン、見ろよ、小さな足あとが、、
ヴォデモン: 扉が開いた
ロベルト: 何か見えるか?
ヴォデモン: ああ、ロベルト、凄い。
あれは何だ?天使だ、それとも女神なのか?
ロベルト: 俺も見るぞ、、
娘が一人。。
ヴォデモン: それだけか?素っ気ないな。見たまえ!
(間奏)
ああ、ロベルト、目を覚ました!来るぞこっちへ。
ロベルト: 怪しいぞ、危ないぞ、早く逃げよう。
ヴォデモン: いや、僕は残る。
イオランタ: だれ?
ヴォデモン: ブルゴーニュの騎士。名前は、ヴォデモン。
イオランタ: どこにいるの? 初めての方ね?
No.12 二重唱
ヴォデモン: ここです、あなたを目覚めさせたのは、この私です。
天使の清らかな幻の様に、 -1
あなたは現れ、私の目の前に
呼び声に目覚め、大空の天使は地上に降りてきた
もう、幻ではない、あなたは生きて、愛し愛され、、
イオランタ: 何んのお話なの? -2
分からない、でも不思議。
聞いていると、心地よく、頭がしびれて、、
ああ、このむねの喜び。
また恐れるのです、あなたの言葉はなぜ、なぜ、
この私を褒めて下さるのか
ヴォデモン: あなたの望みこそ、私の掟です。 -3
情熱秘めておきましょう。でも、これが、ああ、
決して夢ではないこと、あたなたの思い出に、
赤いバラを下さい。
(イオランタ、白いバラをヴォデモンに手渡す)
赤いのが欲しいと、、、 -4
イオランタ: え?どんなの?分からない、、、
ヴォデモン: 赤いバラを一つ、、
イオランタ: え、どんなの? 分からない、、、
では、それを(返して)下さい。
そして、別のバラを、、
ヴォデモン: いや、白く輝くあなたの思い出。
この花に添えて、赤いのを下さい。
二つを胸に戦い、また散りはてましょう。
イオランタ: 別のバラを、さあ、上げましょう
(また白いバラをとる)
ヴォデモン: なぜ、また、白いバラを、、、
(イオランタ、さらに白いバラをとる)
赤いのを下さいと、、
イオランタ: 赤いって何のこと?
ヴォデモン: これは一体、、、?
(バラを何本か手折り)
答えて、これは何本?
イオランタ: 簡単よ。さあ、下さい、、、
どこ?、、、ふざけているの?
すぐ当てるわ、
ヴォデモン: いや、触らずに
イオランタ: 触らずに? それは無理よ
ヴォデモン: ああ、目が見えない!
可哀想に!
イオランタ: ね、どうしたの?早く花を、、
あ、騎士様はどこ?どこなの?
なぜ黙っているの? -5
私の言葉が、あなたを怒らせたの?
教えて、ああ、どうぞ
知らないことばかり、
出会いが無いので至らないこの私
教えて下されば、、
黙っているのね、ああ、嫌なのね
ええ、かまいません。
あなたの望みこそ私の掟です
悲しみは秘めておきましょう
でも、これがああ、けして夢ではないこと、
あなたの思い出に、、
ヴォデモン: ああ、どうか、泣かないで
イオランタ: 居てくれたの
ヴォデモン: 哀れな、、
聞かせて。
本当に一度でも考えはしなかったのですか?
運命の悪戯が、大切なものを奪ったことを
あなたの死んだ瞳が、何のために輝くのか? -6
何のために、、、
イオランタ: 泣くためでしょうか、、、
ヴォデモン: 闇の中で泣くためとは、、、
イオランタ: 知らないのね?涙は悲しみをすぐ消してくれる。
夏の日も夕立でさわやかになる。同じよ。
ヴォデモン: 望みは無いのですか?
輝く宇宙を見てみたいとは、
イオランタ: 「見る」って何?
ヴォデモン: 神の光を知ること
イオランタ: 「光」、ああ、それはなに?
ヴォデモン: 神が作られた素晴らしいもの。 -7
世界の初めの神の恵みよ
空や太陽や星の輝き
妙なる光、この世は満たされ、
ああ、もしも光を知らずに居たなら
神様のことを愛せるでしょうか?
美しい乙女、まさにあなたも
神が作られた素晴らしいもの。
そう、世界の初めの、神の恵みよ
イオランタ: 嬉しい言葉、ああ、なぜなの? -8
幸せをくれる言葉だけど。
間違いがある! ええ、そう!
神を讃えるのに、光はいらない -9
恵みは果てなく広く溢れて、
香る夏の日に、水の響きに、
胸の中にも見えない神様
鳥のさえずりが、見えるでしょうか?
川のせせらぎが見えるでしょうか?
ヴォデモン: ああ、その通り。
神の恵みは果てしなく広く溢れていて、
確かに、そう、確かに
イオランタ: 雷のとどろく音が見えるでしょうか?
あなたのその声、あたなのその言葉が?
神を讃えるのに、光はいらない。
ヴォデモン: 真実の光で輝くあなた -10
この世の光を超えてきらめく
イオランタ: あなたと同じに、太陽が見たい
神が作られた素晴らしいもの
世界の初めの素晴らしいもの
ヴォデモン: 讃えるために光はいらない、
恵みは果てなく広く溢れて
二人 神の恵みよ
(舞台裏から)
父王: N / 立て札が倒れているぞ!
N / 誰か来たのか?
N / マルタ!
No.13
舞台裏 イオランタ!イオランタ!イオランタ!
イオランタ: みんなが呼ぶわ、
ばあやも、
私を捜しているわ
父王: 娘よ!
イオランタ: お父様の声、
裏 どこ?
イオランタ: ここ!
父王: イオランタ!
イオランタ: ご紹介を
(女たち登場)
女たち まあ、だれなの?
父王: ああ、どこだ?
(父王登場)
イオランタ: お父様
父王: ああ、娘よ!
男が!
なぜ、どうしてここに?
お前はだれだ?!
ヴォデモン: 道に迷い、立ち寄ったのです
ブルゴーニュの騎士です。
父王: N / 娘になにも話さなかっただろうな?
イオランタ: お父様、
話してくれました。
初めて知ることばかり
楽しそうに、その声は「光」のことを語り
可哀想だと、目が見えなくて
城の皆 主よ!
父王: ひどい!これは!
ああ、神よ、どうしてこんな罰を!
ハキア: 罰どころか、救いの主だ
(以下コンチェルタート)
★ハキア: 過ちの心で事実を隠したけれど
伏せるのは無理だ
間違いを認め、私を信じて
今娘は目覚め、全ては明らかに
望めば光は戻る、望めば光は戻る
★イオランタ: 晴れた空の輝き、きらめくその様子
哀れみとともに本当のことを
語らいは楽しく、優しいその言葉
心の目を開けてくれたの
この心の目を
★マルタ: 秘密をあかしたの? ひどい人
この悲しさ、この罪の償い、お前の命で
神様助けて、どうぞ
神よ、我らを守れよ
★ラウラ: 秘密をあかしたの? ひどい人
この悲しさ、ああひどい人
ああ、なんて悲しいこと ひどい人
神様、お護りを!
★ブリギッタ: 秘密を明かした
この悲しさ、ああひどい
ああ、なんて悲しいこと ひどい人
神様、お護りを!
★ヴォデモン: ああ、あの熱い言葉が招いたこの悲しさ
美しい人が辛い目に
なんということ、ああどうぞお許しを
神様、彼女を守りたまえ
(以上、コンチェルタート)
父王: 娘よ聞け
ここに医者を連れてきた
光を取り戻すために。
どうだ、光が見たいか?
イオランタ: わらかないことです。
強くは望めない
ご命令があれば、従いはしますが、、
ハキア: これはとても直せない。
あなたのせいです。
強い望みが無い。光を見たいという。
No.14 一計を案じる
父王: N / お前が正しいことが分かった。
N / だがまだ救う望みがあるぞ。
N / 良い考えが浮かんだのだ
始めてくれ、医者よ。治療を頼むぞ。
主よ助けたまえ。
(ヴォデモンに)
この無礼者!
お前、立て札を読まなかったのか?
ヴォデモン: N / いえ読みました。
父王: それなのにここへ入った。
ヴォデモン: N / その通りです。
父王: それじゃ覚えているだろう、、
ヴォデモン: N / 覚えています。
父王: N / こういうことだ。イオランタの治療が失敗したら、
N / お前は死刑だ!
全員: ああ、惨い定めよ!
ハキア: 何を言うのか!
イオランタ: 待って!お父様!
分かりません、死ぬなんて
ああ、なぜ?
父王: N / 決まっている。死刑だ。
イオランタ: いいえ、違う。信じません。
お父様はお優しい方、こんなひどい
父王: N / やつは死ぬのだ。お前の目が直らなければ。
マルタ: お気の毒に、辛いでしょう。
ああ、娘にどうぞ哀れみを、どうぞ
ラウラ: 可愛いイオランタ、お辛いでしょう。
清らな天使。哀れみをどうぞ、どうぞ
ブリギッタ: 可愛いイオランタ、つらいこと、
哀れみを、娘にどうぞ
ハキア: 分かりました
直る望みが出てきた
父王: N / 何を言っても無駄だ。やつは死刑だ。
イオランタ: 医者よ、どこ? 教えて!
我慢するのは何?
痛み?それとも‥‥
ハキア: いえ、ただ光を見たいと強く願うのです。
イオランタ: ああ、苦しみも痛みも、
ああ、この方のためなら何でもします。
大事な方よ、
教えてくれた、神様の光
私は信じます、それは、
そう、神様が作られた素晴らしいもの。
世界の初めの神の恵みよ。
ヴォデモン: 気高い天使よ。
たとえあなたが見えないままでも、
この愛は永遠に!
名誉にかけて、ああ、ここに誓おう。
そう、あなたのために死にましょう、きっと‥‥
イオランタ: いいえ、いけません。
さあ、生きるのです。そうです生きて下さい。
私の目はなおる。きっと!
手を、そして顔を触らせて、、、
‥‥良いわ
さあ、お医者様。始めて下さい。
ああ、お父様抱いて。
希望を持って、私の目は直り、彼も生きる
全員: 神様を信じて!
父王: N / わしは信じている。
N / お前は見えるようになる。わしの天使よ。
N / 苦しみに向かって歩く姿は、神の子羊のようだ。
うた)ああ、神よ!
(イオランタ、医者、マルタたち退場)
父王:
(ヴォデモンに)
N / 済まなかった
N / 死刑というのは、娘を決意させるための嘘だ。
N / 君は自由の身だ。
ヴォデモン: N / 改めてお願いします。
N / イオランタと結婚させて下さい。
父王: N / 否、あなたの真心はよく分かる。
N / しかし、娘は子供のころ許嫁を決めてあるのだ。
(ロベルト登場)
ロベルト: N / 王様、レネ王!
N / お願いがあって来ました。
N / 私はイオランタ姫と、婚約しましたが、
N / 別の女性を愛してしまいました。
N / どうか、婚約の約束を取り消して下さい。
N / 私の運命は、あなたの手の中に有ります。
父王: N / 騎士ヴォデモン。
N / 神様は、あなたをイオランタの夫と定めた
N / 娘はあなたのものだ。
No.15 フィナーレ
(マルタ登場)
マルタ: N / 王様!
父王: N / マルタ!
N / イオランタの治療は!?
マルタ: N / 終わったところです
父王: N / イオランタの目は!?
マルタ: 分かりません、とても最後まで見られはしない
涙で石も溶ける
羊の様におとなしく、岩の様に揺るがずに
小さな声でつぶやいて「ああ、騎士様、生きていて」
王、Vo、Rb 主を哀れみたまえ
合唱 見えたわ、見えたわ、見えたわ、
目が見えたわ
全員: ああ、なんて嬉しい幸せでしょう
父王: 静かに、娘が救世主の医者とやって来る
全員: しずかに
父王: 神よ、この命を捧げます
イオランタ: ここは?
医者よ、どこに行くの?
ああ、もう一度みせて、あの素晴らしい光を
(ハキアが目隠しをとる)
これよ、また見える、見える、目が痛い、、
これは?
ハキア: あたなの庭、あなたの木です、あなたの花、、
イオランタ: いえ、ちがう。知らないものよ。
ここは初めてよ、怖いわ、医者よ
どこ?ああ、周りのものが押し寄せる
ほら倒れるわ、崩れて来るわ
全てが死んでしまう、ああ、助けて!
ハキア: 上を見てご覧
空は脅さない
イオランタ: ああ、なんて明るい、神様かしら
これは何?
ハキア: 光と、空
イオランタ: ああ、これが、これが空。神様のいる。
主を御前に、、
あなたは暗闇で守ってくれた
ああ、導きたまえや、光の国でも
ハキア: さて、周りを
イオランタ: これは、、分からない
ハキア: みんなが?
イオランタ: ええ、それは、、?
ハキア: 皆、知っている方です
イオランタ: 知らないわ
父王: N / 娘よ、わしじゃよ
イオランタ: ああ、神よ、ああ、これは
(王の顔を触る)
お父様、お顔に触れて分かった
これからも私を守って
父王: N / 天使よ、わしも歳を取り、力も弱ってきた
(ヴォデモンを導き)
N / これからは彼がお前を守る。
ヴォデモン: 一生守ります。
イオランタ: ああ、友よ、あなたはくれた、
光と愛を
ヴォデモン: 愛の光は永遠に輝き
No.16 神への讃歌
全員: たたえよ恵みの神、讃えよ
Magnificat anima mea Dominum 私の魂は主をあがめ
Et exultavit spiritus meus 私の霊は
in Deo Salutari meo. 救い主である神を喜び讃えます。
Quia respexit 主は、この賤しい主の卑女にも
humilitatem suae 目を留めて下さったからです。
Hosanna in excelsis Deo いと高き所の神にホサナ!
Magnificat、Magnificat
└────────────────────以上
#オペラ #イオランタ #チャイコフスキー #札幌室内歌劇場 #札幌
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