オペラ「イオランタ」岩河智子訳詞

「イオランタ〜盲目の姫」

上演日時:2010年11月19日、20日
会場:札幌市教育文化会館大ホール

原作:アンデルセン童話に基づく「レネ王の娘」
作曲:チャイコフスキー
構成編曲:岩河智子
訳詞:岩河智子

音楽監督:岩河智子
演  出:沢則行

■出演

イオランタ人形:FAT!S(フィギュアアートシアター札幌)
ヴォデモン人形:FAT!S
盲目の姫イオランタ:百島吾弥子(19日夜、19日昼)、松嶋 瞳(20日夜)
騎士ヴォデモン:橋本卓三(19日夜、19日昼)、安田哲平(20日夜)
ヴォデモンの友、騎士ロベルト:石田まり子

娘を溺愛する父王:石鍋多加史
アラビアの医師ハキア:竹澤嘉明(特別出演)

乳母、マルタ:松田久美
姫に仕える乙女ブリギッタ:三浦志緒理
姫に仕える乙女ラウラ:萩原のり子
姫の女友だち:倉本真理、森千絵子、遊佐悦子

ピアノ:吉村美華子
弦楽アンサンブル:
Fl,Picc/蠣崎路子
Vn/富岡雅美
Va/前南有
Vc/川崎昌子 
キーボード、合唱指揮:時岡牧子

コレペティトゥーア:後山美菜子、土屋益子、時岡牧子
音楽アドヴァイザー:駒崎志保、則竹正人

■日時料金
日時:2010年11月
19日(金)午後7時開演 (6時半開場)
20日(土)午後2時開演 (1時半開場)
20日(土)午後7時開演 (6時半開場)

┌─────────────以下 N:ナレーション

父王語り1:   N / 「恐れを知る者は引き返すべし、立ち入る者は死刑に処す」
  N / イオランタは、このわしが守る。
  N / わしはイオランタに全てを与えた。
  N / 岩山の中に、楽園を作り、
  N / 豪華なこの住まい、沢山の召使い、
  N / 話し相手の遊び友だち、
  N / 幼い頃に婚約者も決めた。
 
  N / ありとあらゆる物を、私は娘に与えた
  N / ただ一つの物を除いて。。。
  N / 「光」だ。
  N / イオランタは目が見えないのだった、、、
 
No.1 序奏  
 
No.2 女たちのシーン  
 
マルタ:   可愛いイオランタ、疲れたの?
イオランタ:   疲れ‥‥、
  いえ、ちがう。
  ああ、教えてよ、ばあや。
マルタ:   どうしたの?
イオランタ:   何かが足りないの。何か‥‥それが知りたいの。
  お父様、マルタ、それにお友達のみんなも、
  いつも、優しくしてくれる
  なのに、お返しが出来ないの
マルタ:   召使いの務めですもの
イオランタ:   いえ、違うわ、お友達よ
  何かが欲しい、何か分からない
マルタ:   可愛いイオランタ、よして、、
イオランタ:   ちょっと待ってこちらへ、もっと近く
  (マルタの目を触る)
  泣いている、、どうして?
マルタ:   だって、可愛い子が泣いているから、、
イオランタ:   ばあや、なぜ泣いていると分かるの?
  なぜ鳴き声も聞かないし、私の涙、
  触りもせず、なぜ分かる?
  ああ、なにか秘密が、
マルタ:   もう止めて、
ブリギッタ:   この音楽のせいよ
マルタ:   そうそう、これが悪い
  さあ、終わり。
ラウラ:   こんな暗い曲は、、、
イオランタ:   やめて。
  ありがとう、お友だち。
  とても奇麗だった、でも今はもう良いわ
  そう、お日さまが沈む頃、また来て
  お願いね。
 
ブリ・ラウラ:   何をしましょう。歌やおしゃべり。
女友達:   糸つむぎ
イオランタ:   いえ、なにもいらない。つかれたわ。
  花を摘んできて。
  花びらの香り、触れていたら、この心も
  安らぐでしょう。
  眠れない夜でも、、
 
  本当に目というものは、泣くためにだけあるの?
  教えてよばあや、
 
No.3 アリオーゾ  
 
イオランタ:   なぜかしら知らずに居たの、悲しみや涙を
  バラの花、空の響き、幸せに包まれ
  鳥たちのさえずりや、林の揺れる音は
  喜びが鳴り渡る、厳かなコーラス
  でも、今はこの胸を、何かが咎めるの
  この命責め立てる、せせらぎの水の音
  なぜ夜の涼しさが、こんなにも愛おしく
  なぜ夜泣き撮りの声は、今はむせび泣きに変わったの?
  なぜなの?なぜか、、なぜか、、
  教えてばあや
 
No.4 花の合唱  
 
マルタ:   さあ、止めましょう。
  訳もの無いのに涙やため息
  神様におこられる
 
合唱:   バラの香り、花たば、
  ミモザも綺麗に、金鳳花も
  春を告げるスズラン、溢れる香りはジャスミンの花
  さあ、その手を触れて、きよらな花びら
  香りに包まれて、優しい夢を見て
  苦しみを忘れて、疑いの気持ち
  悩みも捨てて、幸せな夢の中で、忘れましょう
 
  バラの香り、花たば、
  ミモザも綺麗に、金鳳花も
  春を告げるスズラン、溢れる香りはジャスミンの花
  もう悩み消え去り、そう夢は安らか、
  春の花よ、春の花よ
 
No.5 子守唄  
 
イオランタ:   ブリギッタ、あのね、、
ラウラ:   いえ、私はラウラ。
(イオランタ、ラウラを離さず、ブリギッタも触り)  
イオランタ:   お礼を言わせてね。
  ああ、なぜ私を愛してくれるの?
  ああ、どのようにお礼をすれば、、
ブリギッタ:   あなたの愛を、、それで充分。
イオランタ:   どこ?ばあや
マルタ:   ここよ、可愛い子
イオランタ:   ねえ、来てよ
  子どものころのように頭をお前の肩に、、
  そして歌って。
  わかる?ねえ、大好きな、、
マルタ:   あの歌を、、
(ブリギッタとラウラに)  
  一緒に歌いましょう、
イオランタ:   いえ、二人には退屈よ
ブリ・ラウラ:   まあなに、どうしたの?やめて?
  眠りを守る天使はどこ?
  優しい羽は夢を運び、、
  ねんね、ねんねんよ、ねんね、ねんねんよ
  眠れよ愛し子、夢は何?
  良い子が祈れば、神様は
  この地上に、平和と幸せくれるでしょう
  この地上に、平和と幸せくれるでしょう
  やさしい夢の中で、お休み私の天使よ
  (繰り返し)
 
父王語り2:   N / 見つけたぞ!
  N / イオランタの目を、直してくれる医者を!
  N / 世界中を探しまわって、
  N / とうとう見つかったのだ。
  N / アラビア人の、エブン・ハキアという男だ。
 
  N / 娘は今、眠っている。
  N / エブン・ハキアは、そっと診察している。
  N / ああ、神よ!
  N / わしはどうしても、娘に光を見せてやりたいのです。
 
 
No.6 王のアリア  
 
父王:   主よ、この私の罪だというのですか
  きよらな瞳の、光が消えたのは
  もし、今喜びの知らせを下されば
  もう何もいりません、冠もこの国も
  幸せも、安らぎも全部投げ出して
  主を讃えましょう
  大地にひれ伏して、全てをささげて
  だがあの娘を、暗闇の世界から救わせたまえ
  全てをささげて願う、ああ、神よ、
  我が神よ、聞けよこの祈りを
 
No.7 医師ハキアのアリア  
 
父王:   N / 医者の顔は冷たく無表情だ。やつの科学のように
  N / ああ、読み取れない、どんな答えが出せたのか?
ハキア:   お任せ下さい、アラーは偉大なり。
  N / まことアラーは偉大なり
 
  では、結論を申しましょう。
  確かに直るかもしれません。
  ただし、条件が
父王:   N / 言ってくれ、いくら欲しいんだ
  N / この国全部をやっても良いぞ。
  N / 姫に光を見せてくれるなら。
ハキア:   条件は、姫が全てを知ることです。
父王:   N / 目の見えないことをか
  N / 必ず直せると?
ハキア:   神様だけが知っておられます。
  誓いは出来ません。
父王:   この私があの子に真実を話すのか、
  惨い、現実の全てを。直るとも言えずに、、
  ああ、ひどい奴め。お前に父親の苦しみが分かるのか。
  わしの期待は裏切られた。
  もう、だれも頼みはせぬ。さがれ!
ハキア:   あなたは何でもお出来になる。
  でも、まず私の話を聞いて下さい。私の忠告を。
 
  この世には二つの大切なものが。
  精神と肉体の、二つの世界が、
  互いに結びつき、全てを司る。
  ものが見えるためにも、精神の力が、
  姫の死んでしまった目を開くために
  肉体だけではだめです。
  姫が、心から見えるようになりたいと、強く望むなら、、
  そう、それで直るのです。
  そう、強く望むことが、光を呼び戻す。
 
 
父王:   N / 神よ、私は間違っていたのでしょうか?
  N / 娘に真実をしらせなかったことが、
  N / 私の罪なのでしょうか?
ハキア:   N / 決心なさいませ。
  N / イオランタ様が、ご自分が目が見えないと言うことを知り、
  N / 直ることを強く望まないうちは、
  N / 私にはどうすることもできません。
  N / 夜まで待ちましょう。
  N / あなたの決断を
(ハキア退場)  
父王:   N / わが娘よ、
  N / 可愛いイオランタよ、
  N / いいや、そんなことは出来ない。
  N / 姫に秘密をあかすものは、命が代償‥‥
  N / そう決めたのだ。
  N / 医者も父親には勝てないのだ。
  N / マルタ、誰もいれてはならぬ。
  N / 立て札をしっかり立てておけ!
 
No.8 間奏曲  
 
(二人の男たちの登場)  
 
ヴォデモン:   やっと道が開けた。
  ああ、ここは天国か
ロベルト:   見ろよ、立て札だ。
  N / 「恐れを知るものは引き返すべし、
  N /  立ち入るものは死刑に処する」
ヴォデモン:   ロベルト、なんだそれは?
ロベルト:   さっぱり分からぬ
ヴォデモン:   戻ろう
ロベルト:   いや、御免被る。
  ようやくたどり着いたここを出て、
  また道に迷い、へとへとになる。
  いだだね、御免だよ。
 
ヴォデモン:   N / でも、イオランタ姫に会うのが遅くなっても良いのかい?
  N / 君の婚約者の姫に。
ロベルト:   N / やめてくれ、婚約者だなんて
  N / ずっと昔、小さい頃、顔も知らずにかわした約束なんて!
  N / レネ王に、絶対取り消してもらうのだ!
ヴォデモン:   N / そうか、
  N / でも、彼女がもし魅力的だったらどうする?
ロベルト:   N / ばかな!
  N / スペインの修道院にいるんだぞ!
  N / 尼さんだぞ!
  N / アーメンとか、祝福を、とか唱えていれば良いさ!
ヴォデモン:   N / そこまで言うなら、この婚約は無理だな。
ロベルト:   N / それに、僕には好きな人がいるんだ。
ヴォデモン:   N / 君に?
  N / 名前はなんと言うのだ?
ロベルト:   N / マチルダさ!
 
No.9 ロベルトのアリア  
 
ロベルト:   わが恋人、マルチダよ
  黒く輝く瞳は、夜空に輝く星か
  熱い情熱満ちた、甘い酒の様なその愛の仕草
  見つめられて燃える血潮、稲妻の激しさよ
  また、微笑み歌いかけて、口づける幸せよ。
 
  可愛い魔女の誘惑、情熱の時よ来よ
 
No.10 ヴォデモンのロマンス  
 
ヴォデモン:   いや、魔女の誘いなど、心は動かぬ
  悩ましい目つきも、熱いため息も、
  そう、静けさに包まれ、眠る天使よ
  それこそ夢に見たきよらな恋人
  美しい女神、気高き姿
  まなざしは優しい心を伝え
  春の雪よりも、ま白く光り
  森のスズランか、野原のユリか
  ああ、やさし香り
  ああ、恋人、早く来てよ
  心の糸をかき鳴らせ、
  空の果て、雲の彼方より、来れよ早く
  来れ、輝く幻、来れ、ああ、ただ君を待つ。
  ああ、早く来れわが手に、ああ、早く、ああ早く
  輝ける天使、来れ、さあ。
 
No.11 寝姿発見  
 
ロベルト:   ヴォデモン、見ろよ、小さな足あとが、、
ヴォデモン:   扉が開いた
ロベルト:   何か見えるか?
ヴォデモン:   ああ、ロベルト、凄い。
  あれは何だ?天使だ、それとも女神なのか?
ロベルト:   俺も見るぞ、、
  娘が一人。。
ヴォデモン:   それだけか?素っ気ないな。見たまえ!
 
(間奏)  
 
  ああ、ロベルト、目を覚ました!来るぞこっちへ。
 
ロベルト:   怪しいぞ、危ないぞ、早く逃げよう。
ヴォデモン:   いや、僕は残る。
 
イオランタ:   だれ?
ヴォデモン:   ブルゴーニュの騎士。名前は、ヴォデモン。
イオランタ:   どこにいるの? 初めての方ね?
 
No.12 二重唱  
 
ヴォデモン:   ここです、あなたを目覚めさせたのは、この私です。
  天使の清らかな幻の様に、 -1
  あなたは現れ、私の目の前に
  呼び声に目覚め、大空の天使は地上に降りてきた
  もう、幻ではない、あなたは生きて、愛し愛され、、
イオランタ:   何んのお話なの? -2
  分からない、でも不思議。
  聞いていると、心地よく、頭がしびれて、、
  ああ、このむねの喜び。
  また恐れるのです、あなたの言葉はなぜ、なぜ、
  この私を褒めて下さるのか
ヴォデモン:   あなたの望みこそ、私の掟です。 -3
  情熱秘めておきましょう。でも、これが、ああ、
  決して夢ではないこと、あたなたの思い出に、
  赤いバラを下さい。
 
(イオランタ、白いバラをヴォデモンに手渡す)  
 
  赤いのが欲しいと、、、 -4
イオランタ:   え?どんなの?分からない、、、
ヴォデモン:   赤いバラを一つ、、
イオランタ:   え、どんなの? 分からない、、、
  では、それを(返して)下さい。
  そして、別のバラを、、
ヴォデモン:   いや、白く輝くあなたの思い出。
  この花に添えて、赤いのを下さい。
  二つを胸に戦い、また散りはてましょう。
イオランタ:   別のバラを、さあ、上げましょう
(また白いバラをとる)  
 
ヴォデモン:   なぜ、また、白いバラを、、、
(イオランタ、さらに白いバラをとる)  
  赤いのを下さいと、、
イオランタ:   赤いって何のこと?
ヴォデモン:   これは一体、、、?
(バラを何本か手折り)  
  答えて、これは何本?
イオランタ:   簡単よ。さあ、下さい、、、
  どこ?、、、ふざけているの?
  すぐ当てるわ、
ヴォデモン:   いや、触らずに
イオランタ:   触らずに? それは無理よ
ヴォデモン:   ああ、目が見えない!
  可哀想に!
 
イオランタ:   ね、どうしたの?早く花を、、
  あ、騎士様はどこ?どこなの?
  なぜ黙っているの? -5
  私の言葉が、あなたを怒らせたの?
  教えて、ああ、どうぞ
  知らないことばかり、
  出会いが無いので至らないこの私
  教えて下されば、、
  黙っているのね、ああ、嫌なのね
  ええ、かまいません。
  あなたの望みこそ私の掟です
  悲しみは秘めておきましょう
  でも、これがああ、けして夢ではないこと、
  あなたの思い出に、、
ヴォデモン:   ああ、どうか、泣かないで
イオランタ:   居てくれたの
ヴォデモン:   哀れな、、
  聞かせて。
  本当に一度でも考えはしなかったのですか?
  運命の悪戯が、大切なものを奪ったことを
  あなたの死んだ瞳が、何のために輝くのか? -6
  何のために、、、
イオランタ:   泣くためでしょうか、、、
ヴォデモン:   闇の中で泣くためとは、、、
イオランタ:   知らないのね?涙は悲しみをすぐ消してくれる。
  夏の日も夕立でさわやかになる。同じよ。
ヴォデモン:   望みは無いのですか?
  輝く宇宙を見てみたいとは、
イオランタ:   「見る」って何?
ヴォデモン:   神の光を知ること
イオランタ:   「光」、ああ、それはなに?
 
ヴォデモン:   神が作られた素晴らしいもの。 -7
  世界の初めの神の恵みよ
  空や太陽や星の輝き
  妙なる光、この世は満たされ、
  ああ、もしも光を知らずに居たなら
  神様のことを愛せるでしょうか?
  美しい乙女、まさにあなたも
  神が作られた素晴らしいもの。
  そう、世界の初めの、神の恵みよ
イオランタ:   嬉しい言葉、ああ、なぜなの? -8
  幸せをくれる言葉だけど。
  間違いがある! ええ、そう!
  神を讃えるのに、光はいらない -9
  恵みは果てなく広く溢れて、
  香る夏の日に、水の響きに、
  胸の中にも見えない神様
  鳥のさえずりが、見えるでしょうか?
  川のせせらぎが見えるでしょうか?
ヴォデモン:   ああ、その通り。
  神の恵みは果てしなく広く溢れていて、
  確かに、そう、確かに
イオランタ:   雷のとどろく音が見えるでしょうか?
  あなたのその声、あたなのその言葉が?
  神を讃えるのに、光はいらない。
 
ヴォデモン:   真実の光で輝くあなた -10
  この世の光を超えてきらめく
イオランタ:   あなたと同じに、太陽が見たい
  神が作られた素晴らしいもの
  世界の初めの素晴らしいもの
ヴォデモン:   讃えるために光はいらない、
  恵みは果てなく広く溢れて
二人   神の恵みよ
 
 
(舞台裏から)  
父王:   N / 立て札が倒れているぞ!
  N / 誰か来たのか?
  N / マルタ!
 
No.13   
 
舞台裏   イオランタ!イオランタ!イオランタ!
イオランタ:   みんなが呼ぶわ、
  ばあやも、
  私を捜しているわ
父王:   娘よ!
イオランタ:   お父様の声、
裏   どこ?
イオランタ:   ここ!
父王:   イオランタ!
イオランタ:   ご紹介を
(女たち登場)  
女たち   まあ、だれなの?
父王:   ああ、どこだ?
(父王登場)  
イオランタ:   お父様
父王:   ああ、娘よ!
  男が!
  なぜ、どうしてここに?
  お前はだれだ?!
ヴォデモン:   道に迷い、立ち寄ったのです
  ブルゴーニュの騎士です。
父王:   N / 娘になにも話さなかっただろうな?
イオランタ:   お父様、
  話してくれました。
  初めて知ることばかり
  楽しそうに、その声は「光」のことを語り
 
  可哀想だと、目が見えなくて
城の皆   主よ!
父王:   ひどい!これは!
  ああ、神よ、どうしてこんな罰を!
ハキア:   罰どころか、救いの主だ
 
(以下コンチェルタート)  
★ハキア:   過ちの心で事実を隠したけれど
  伏せるのは無理だ
  間違いを認め、私を信じて
  今娘は目覚め、全ては明らかに
  望めば光は戻る、望めば光は戻る
★イオランタ:   晴れた空の輝き、きらめくその様子
  哀れみとともに本当のことを
  語らいは楽しく、優しいその言葉
  心の目を開けてくれたの
  この心の目を
★マルタ:   秘密をあかしたの? ひどい人
  この悲しさ、この罪の償い、お前の命で
  神様助けて、どうぞ
  神よ、我らを守れよ
★ラウラ:   秘密をあかしたの? ひどい人
  この悲しさ、ああひどい人
  ああ、なんて悲しいこと ひどい人
  神様、お護りを!
★ブリギッタ:   秘密を明かした
  この悲しさ、ああひどい
  ああ、なんて悲しいこと ひどい人
  神様、お護りを!
★ヴォデモン:   ああ、あの熱い言葉が招いたこの悲しさ
  美しい人が辛い目に
  なんということ、ああどうぞお許しを
  神様、彼女を守りたまえ
(以上、コンチェルタート)  
 
父王:   娘よ聞け
  ここに医者を連れてきた
  光を取り戻すために。
  どうだ、光が見たいか?
イオランタ:   わらかないことです。
  強くは望めない
  ご命令があれば、従いはしますが、、
ハキア:   これはとても直せない。
  あなたのせいです。
  強い望みが無い。光を見たいという。
 
No.14 一計を案じる  
 
父王:   N / お前が正しいことが分かった。
  N / だがまだ救う望みがあるぞ。
  N / 良い考えが浮かんだのだ
 
  始めてくれ、医者よ。治療を頼むぞ。
  主よ助けたまえ。
(ヴォデモンに)  
  この無礼者!
  お前、立て札を読まなかったのか?
 
ヴォデモン:   N / いえ読みました。
父王:   それなのにここへ入った。
ヴォデモン:   N / その通りです。
父王:   それじゃ覚えているだろう、、
ヴォデモン:   N / 覚えています。
父王:   N / こういうことだ。イオランタの治療が失敗したら、
  N / お前は死刑だ!
 
全員:   ああ、惨い定めよ!
ハキア:   何を言うのか!
イオランタ:   待って!お父様!
  分かりません、死ぬなんて
  ああ、なぜ?
父王:   N / 決まっている。死刑だ。
イオランタ:   いいえ、違う。信じません。
  お父様はお優しい方、こんなひどい
父王:   N / やつは死ぬのだ。お前の目が直らなければ。
 
マルタ:   お気の毒に、辛いでしょう。
  ああ、娘にどうぞ哀れみを、どうぞ
ラウラ:   可愛いイオランタ、お辛いでしょう。
  清らな天使。哀れみをどうぞ、どうぞ
ブリギッタ:   可愛いイオランタ、つらいこと、
  哀れみを、娘にどうぞ
 
ハキア:   分かりました
  直る望みが出てきた
 
父王:   N / 何を言っても無駄だ。やつは死刑だ。
イオランタ:   医者よ、どこ? 教えて!
  我慢するのは何?
  痛み?それとも‥‥
ハキア:   いえ、ただ光を見たいと強く願うのです。
 
イオランタ:   ああ、苦しみも痛みも、
  ああ、この方のためなら何でもします。
  大事な方よ、
  教えてくれた、神様の光
  私は信じます、それは、
  そう、神様が作られた素晴らしいもの。
  世界の初めの神の恵みよ。
 
ヴォデモン:   気高い天使よ。
  たとえあなたが見えないままでも、
  この愛は永遠に!
  名誉にかけて、ああ、ここに誓おう。
  そう、あなたのために死にましょう、きっと‥‥
イオランタ:   いいえ、いけません。
  さあ、生きるのです。そうです生きて下さい。
  私の目はなおる。きっと!
  手を、そして顔を触らせて、、、
  ‥‥良いわ
  さあ、お医者様。始めて下さい。
  ああ、お父様抱いて。
  希望を持って、私の目は直り、彼も生きる
 
全員:   神様を信じて!
 
父王:   N / わしは信じている。
  N / お前は見えるようになる。わしの天使よ。
 
  N / 苦しみに向かって歩く姿は、神の子羊のようだ。
  うた)ああ、神よ!
 
(イオランタ、医者、マルタたち退場)  
父王:  
(ヴォデモンに)  
  N / 済まなかった
  N / 死刑というのは、娘を決意させるための嘘だ。
  N / 君は自由の身だ。
ヴォデモン:   N / 改めてお願いします。
  N / イオランタと結婚させて下さい。
父王:   N / 否、あなたの真心はよく分かる。
  N / しかし、娘は子供のころ許嫁を決めてあるのだ。
(ロベルト登場)  
ロベルト:   N / 王様、レネ王!
  N / お願いがあって来ました。
  N / 私はイオランタ姫と、婚約しましたが、
  N / 別の女性を愛してしまいました。
  N / どうか、婚約の約束を取り消して下さい。
  N / 私の運命は、あなたの手の中に有ります。
父王:   N / 騎士ヴォデモン。
  N / 神様は、あなたをイオランタの夫と定めた
  N / 娘はあなたのものだ。
 
 
No.15 フィナーレ  
 
(マルタ登場)  
マルタ:   N / 王様!
父王:   N / マルタ!
  N / イオランタの治療は!?
マルタ:   N / 終わったところです
父王:   N / イオランタの目は!?
 
マルタ:   分かりません、とても最後まで見られはしない
  涙で石も溶ける
  羊の様におとなしく、岩の様に揺るがずに
  小さな声でつぶやいて「ああ、騎士様、生きていて」
王、Vo、Rb   主を哀れみたまえ
 
合唱   見えたわ、見えたわ、見えたわ、
  目が見えたわ
全員:   ああ、なんて嬉しい幸せでしょう
 
父王:   静かに、娘が救世主の医者とやって来る
全員:   しずかに
父王:   神よ、この命を捧げます
 
イオランタ:   ここは?
  医者よ、どこに行くの?
  ああ、もう一度みせて、あの素晴らしい光を
(ハキアが目隠しをとる)  
  これよ、また見える、見える、目が痛い、、
  これは?
ハキア:   あたなの庭、あなたの木です、あなたの花、、
イオランタ:   いえ、ちがう。知らないものよ。
  ここは初めてよ、怖いわ、医者よ
  どこ?ああ、周りのものが押し寄せる
  ほら倒れるわ、崩れて来るわ
  全てが死んでしまう、ああ、助けて!
ハキア:   上を見てご覧
  空は脅さない
イオランタ:   ああ、なんて明るい、神様かしら
  これは何?
ハキア:   光と、空
イオランタ:   ああ、これが、これが空。神様のいる。
  主を御前に、、
  あなたは暗闇で守ってくれた
  ああ、導きたまえや、光の国でも
 
ハキア:   さて、周りを
イオランタ:   これは、、分からない
ハキア:   みんなが?
イオランタ:   ええ、それは、、?
ハキア:   皆、知っている方です
イオランタ:   知らないわ
 
父王:   N / 娘よ、わしじゃよ
イオランタ:   ああ、神よ、ああ、これは
(王の顔を触る)  
  お父様、お顔に触れて分かった
  これからも私を守って
父王:   N / 天使よ、わしも歳を取り、力も弱ってきた
(ヴォデモンを導き)  
  N / これからは彼がお前を守る。
ヴォデモン:   一生守ります。
イオランタ:   ああ、友よ、あなたはくれた、
  光と愛を
ヴォデモン:   愛の光は永遠に輝き
 
No.16 神への讃歌  
 
全員:   たたえよ恵みの神、讃えよ
 
  Magnificat anima mea Dominum 私の魂は主をあがめ
  Et exultavit spiritus meus 私の霊は
  in Deo Salutari meo. 救い主である神を喜び讃えます。
  Quia respexit 主は、この賤しい主の卑女にも
  humilitatem suae 目を留めて下さったからです。
 
  Hosanna in excelsis Deo いと高き所の神にホサナ!
 
  Magnificat、Magnificat

└────────────────────以上

#オペラ #イオランタ #チャイコフスキー #札幌室内歌劇場 #札幌


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