【映画】シャンタル・アケルマン『ジャンヌ・ディエルマン ブリュッセル1080、コメルス河畔通り23番地』(1975)
1 平凡な家事を淡々と長回しで撮る。そんな200分。ベルギー、ブリュッセルのアパートメント。教師のように身なりのきちんとした、40代の女性がキッチンにいる。鍋を火にかけたり、ゆでた野菜の水を切ったり、料理中のようだ。旧式のガスコンロは、点火のたびにマッチを擦る必要がある。そんな生活の所作のひとつひとつを、固定カメラがノーカットでじっと追う。
毎日繰り返されたルーティーンなのだろう。ジャンヌの動作にはいささかも迷いがなく、片時も家事を休まない。けれども、観ていると冗長さにあくび