【自己作品紹介】#10 「令和浪漫譚」
席亭、わりぃ! 着物を借りるぜ! 今日はこれで出る!
物書きになったからには、一度は書いてみたかった。
なに、って・・・?
落語に決まっているじゃあないか。
新宿末廣亭。
それはじいちゃんとの思い出の場所でもあった。
お茶とお弁当を膝の上に乗せ、朝から晩までさまざまな芸を楽しみ一日を過ごした。
色とりどりの着物の噺家さんが次から次へと噺を語っていく。その語り口は、柔らかく、ときにいなせで、ときに艶っぽい。たった一人で何人も表現するさまは、当時の私を夢中にさせた。噺を聞いているだけなのに、まるでアタマの中にはドラマが流れているような不思議な感覚に襲われる。その世界はじいちゃんと私の秘密の場所だった。
数十年ぐるっと回って、再度、その世界に触れる。やはり面白い。むしろこの業界に足を踏み入れたからこそわかる作品の構成、緻密さ、伏線。だからこそ、物書きとして挑戦をしたかった。
そのままやっても面白くない。
だったら、スパイス効かせて面白おかしく作るのが作品に対しての礼儀だろう。だからこそ、この手法で作品作りをした。
作品の分解→プロットの抽出→プロットの入れ替え→プロットの再配置→現代風へ
分解、内容理解、再生と、通常とは逆のプロセスを行ったあと、通常通りのプロセスをたどる。
そうして、自分でもニヤニヤしてしまうほどの作品が完成した。
私だけでこの楽しみを独占するのはよくないと、先輩たちや相方を巻き込み大立ち回り。これまでになかったジャンルの作品が出来上がったように思う。
「笑い」は時代を越えても「笑い」なのである。それは長い時間をかけ、私たち日本人の心の奥底にじっくりと染め上げられたものであるように私は思う。
私はあなたに笑ってもらいたい。人生はとっても面白いものだと。
私はあなたに挑戦してもらいたい。こんなにも簡単に創作ができるんだって。
さまざまな困難があることはわかっているだけど、笑っちまえばいいんだ。
そんなのは、どうにかなるんだ。
っと、おあとがよろしいようで。
Kindle Unlimitedに加入されていれば、無料で読めますので手に取ってくださいな。