見出し画像

【エッセイ】#02 戦略なのか流行りなのか、よくわからないけど。

 ここのところ出版をする人が多くなっているので、気になる書籍が多くなるのも必然だ。
 先日、移動時間を使って気になっていた本を5冊ほど読んでみる。なんとも不思議な感覚に襲われたのだが、これが戦略なのか、流行りなのかわからないまま、やきもきしている。

 最近の本は、文字数にして6万字~8万字、多いモノでは10万字を超える作品も少なくない。挿絵や扉絵なども入れるとページ数にして、300ページから500ページに上るモノも少なくない。

 人のことは言えず、私の作品も文字数、ページ数がかなり多いモノもあり、ペーパーバック化するとなるとかなりの印刷コストが必要になる。
 
 ページ数が多いことはKindle Unlimitedに加入している人にとっては、アドバンテージになる。Amazon上でKindle本を出版する場合、その印税は、2種類の受け取りが可能になる。

 設定した価格で本が売れた場合、その70%が印税として手に入る。また、Kindle Unlimitedに加入していた場合、読者は無料で読めるが著者に対しては既読ページ数(KENPという)に比例して、印税が支払われるのだ。2024年9月現在、既読1ページにつき、0.44円が支払われる仕組みとなっている。

さらにAmazon上でのランキングは購入数、KENP、レビュー数、コメント付きレビュー数によってその上下が判定される。

つまり、ページ数が多ければ、印税もランキング上がるという仕組みなのだ。

 
 ここまで私が活動してきた2年間の間にも、作家たちによりKENPを上げるためのさまざまな涙ぐましい取り組みが行われてきた。
例えば、
・文字のポイント数を上げる
・すべてのページをCanvaなどの画像ソフトを使い、画像として本を作成する(固定レイアウト)
・一行ごとに改行をおこなう
・句読点ごとに改行をおこなう
・(横書きで)ページ半分下を空白にする
・図や挿絵を圧倒的に多くする
 これらの手法も「図鑑をつくる」「漫画をつくる」「写真集をつくる」「デザイン集をつくる」という明確な目的があって使用されるのであれば問題はない。

ただ、これをどのような本にも適用したことが問題だったのだ。
この状況があまりにもひどくなったため、KDP(Kindle Direct Publishing)側でも問題になったらしく、修正依頼があったり、ひどい場合には出版停止されたりなど対応がなされてきた。
私が知る限り、2024年9月現在では、ここまでに紹介した方法で作成された本はほとんど見ることはなくなった。


 今回、私が驚いたのは、「冗長な文章の頻発」「少し表現を変え、何度も繰り返す」方法だ。同じ内容を繰り返すことで、読者に印象付けるということは古くから使われてきたが、それがあまりにも頻回に行われるのだ。

 それにより読者はまるで前のページを読み返してしまっている感覚に陥ることも少なくない。実際に私もこの状態に陥り、何度もページを戻るということをした。

 そうして生まれるのが同じ内容が何度も繰り返されるだけの本だ。さらに確認するとこういった作品の多くは、きちんと出版サポートが入っていたり、事前モニターを受けていたりと、第3者の目が入っているのだ。
 
 戦略なのか、流行なのか、それとも文章を読ませるための印象操作なのか、いまだに私は判断出来ていない。だが、冗長な表現や何度も繰り返す文章をあまり読みたいとは私は思わない。

まあ、いろいろとお話をしてきたけど、イロイロなことをみんな試している。
だけど、それが読者に迷惑をかけることはやめた方がイイよね。

そして、自分自身の信頼を落とさないようにしたいよね。

いいなと思ったら応援しよう!