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【書籍レビュー】#19 「ピエタ」 大島 真寿美 著

 18世紀、ヴェネツィア。

 ピエタ慈善院には孤児たちを集め、音楽、合唱に秀でた女性たちで構成された「娘たち」という集団が作られていた。

 彼女たちを指導していたのは、作曲家ヴィヴァルディ。
 彼の感性と知識を存分に浴びて成長していく「娘たち」はヴェネツィアでも有名になっていく。

 時は流れ、「娘たち」の運営を任されていた、かつての「娘たち」での一人であったエミーリアの元に、ヴィヴァルディの訃報が届く。
 
 「娘たち」の講演は少しずつ下火になり、運営も難しくなる中、恩師の訃報にエミーリアは悩み、苦しむ。

 ピエタの再建には、多大な融資を受ける必要がある。
 恩師ヴィヴァルディの残した楽譜を手に入れることで多額の援助を受けられると知ったエミーリアは、恩師ヴィヴァルディの過去を遡っていく。


 音楽を美しい描写で表現する一方、人間のドロドロとした欲望を艶めかしく描く筆致に読む手が止まらない。

 18世紀イタリアのセピア色だが、彩あふれる世界にあなたも酔いしれてはどうだろうか? 


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