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眠れぬ夜には回復体位をとれ!
朝に目を覚ますと毛布の内側の親近感ある暖かい橙色と頬の鋭い爪で撫でられているかのような冷たい銀色を感ずる。
冬だ。
この季節は起き抜けの目覚め具合が一段とシャッキリする。
しかしながら毎夜のことながら冷え込む空気に寒い寒いと思いながら毛布にくるまって、いや包まれて、横になったはいいもののなかなかどうして寝付けぬと思っていたはずがあっという間に朝を迎えてしまっているものだ。
眠っている間の自我などは誰しもはっきりとした輪郭を持たぬのであるから、毎度昏睡状態に陥っている可能性すら否定できぬ。
そう思えばこそ冬とは動物にとっては死の季節であるのだと身をもって理解できる。
さて、寒さから夜寝付けぬと悩んでいる時はこのように別段問題視するほどの事態に直面しないのだが昔の恥事を思い起こした時や、その日の発言を深読みしている時なんかは眠れることなど到底不可能になるので大いに問題だ。
こういった相談は人選を間違えれば何を言っているのかわからないとしか返されず、同族に話せば僕も私もと共感の嵐しか得られぬので全く解決の糸口が掴めぬままに放置されてしまっている。
一昔前はスーパーヒーローになった自分なんかを妄想して気を紛らわせていると眠り込んでしまったものだが歳をとりすぎたせいかその方法を使いすぎたせいか、最近はスーパーヒーローになった自分を簡単に思い描けるせいで妄想世界の形成に力を注いでしまいやけに精細になった妄想世界にすぐ直下の悩み事と並立するかの物事が現れてしまい全く効果がなくなってしまった。
しかしながら昔これで眠れていたのは今思えばおかしな話であったので悲しくはない。
放ってしまった一言二言で眠れぬ自分が世界救済、人命救助なんてのを考えるだけで教師の戯言を聞く時よろしく眠りこけていたのはやはり全くをもっておかしな話だったのだ。
まともになりつつあるということだろう。
であれば次の方法をはたと思いついてもいいはずなのだがまだそこまでは成長できていないようである。
まるで英国ロウヤーミドルクラスのような停滞具合だ。
調べ物で見て試してみた深呼吸は脳みそを活性化させて悩みへのアプローチの手数を増やした為に悪手であった。
困難な点はここにある。
悩んでいる事柄を忘れてしまうのは決まりが悪く、考えすぎては寝れないというジレンマ。
それこそロウヤーミドルクラスのような、思考と放念との絶妙な中間点に自分を留めおかねばならぬのだ。
元来の知性が乏しくあれば宇宙や真理やらの形而上学的な事を考えればおのずとその位置にとどまれるわけであるが残念ながら賢すぎた。
止まることを知らぬ天性の知性が備わっていたのならばすぐに答えを見つけスッキリ眠りこけれるのであるがこれまた残念ながら愚かすぎた。
まったくをもって悩ましい。
世界の真理を見つけるのが先か謝罪の方法を思いつくのが先か少しばかりの興味はあるが自分ごと故にそうして放置するわけにもいかぬ。
悩んでも答えのでぬ問いには形から入るのが吉だという知見をやっとこさ得た僕であるからして一先ず回復体位をとってみるところから始めてみようかと思うこの頃である。
少なくともこれに効果があるか否かで睡眠時の自分が昏睡状態か否から判別できうるのではなかろうか。