【いろは歌】のレシピ〜その3~
◎文字の山を単語に変えていく
七文字と五文字をひとつのユニットとする考え方をご説明しところで、次はそのユニットを形成するための単語を作っていこうと思います。方法は前項までのとおり、【メインワード】やモチーフに沿った言葉を、文字の山に残ったものから単語として抜き出していくだけです。
だけ、とは言ったものの、おそらくこれも【いろは歌】を作るための大きな障壁なのだと思います。どの文字を使えばいいのかわからない。どの単語を選べばいいのかわからない。どう組み合わせればいいのかわからない。そういう方が大勢を占めているものだと思います。しかし、この作業を楽しめないという方は【いろは歌】を作るのに向いていないとも言えます。【いろは歌】は一種の思考遊戯です。かなり高度な言語感覚を必要とします。自分の知識を総動員させてひとつの作品を作る。該当する言葉を知らなければ、適当な表現なのかわからなければ調べてみる。それしか手段はありません。ですから、知識と経験と辞書と検索サイトをフル活用したあかつきに、あなただけの輝ける【いろは歌】が待っていると思います。諦めずに最後まで挑んでいただけることを願うばかりです。
◎扱いにくい文字を使い切る
さて、本題に戻ります。
これまでにも説明したとおり、まずは扱いづらい文字から先に消費していきましょう。文字の山に残っているうち、筆者が苦手とする文字は「ぬ」「ゆ」「ろ」「わ」「ん」「っ」ですので、まずはこれらを文字の山から抜き出してみますね。
『恋』に繋がりそうな『落(お)ちぬ』『夢(ゆめ)』『永久(とわ)』
『僕』から見た『君』の魅力『妖艶(ようえん)』『誘(さそ)って』
そんな二人に待っている『末路(まつろ)』
いかがでしょうか。こうやって単語を並べてみると、一気に雰囲気が出てきたと思いませんか。筆者も段階がとても好きです。何もない原っぱに秘密基地を作るような気分で、とてもワクワクするのです。
◎扱いやすい文字を残す
次は今の作業の逆です。扱いにくい文字を使い切ったあとは、扱いやすい文字を最後の微調整のために取っておこうと思います。
扱いやすい文字というのは、いわゆる【助詞】と呼ばれるものです。【助詞】とは何かを説明すると時間がかかって仕方がないので、当コラムでは単語と単語を繋ぐ時に便利な文字と定義いたします。
これに該当する文字群は「か」 「と」「に」「の」「は」「へ」「も」「や」「を」です。これらは【助詞】としても普通の単語を形成するのにも使える便利な存在です。
文字の山に残っているうち【助詞】として使えるのは「に」「の」「へ」「も」「や」「を」ですので、これを除いた6文字を使って単語を作ります。
『永久』の『恋』に対応しそうな『消(け)せず(す)』
『夢』に対応しそうな『眠(ねむ)る』
上手い言葉を作り出すことができました。
あとは残りの【助詞】を文字の山から抜き出してきます。
するとどうでしょう。文字の山が空っぽになりましたね。単語も揃ってきましたので、ますます完成に近づいたと言えるのではないでしょうか。
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