半導体産業について #11 EDAベンダー #1
株式会社リュディアです。今回も引き続き半導体産業についてまとめてみます。
前回までの 半導体産業についてのまとめ へのリンクは以下を参考にしてください。
前回までに半導体の前工程製造会社と設計会社についてまとめを行いました。半導体が製造と設計で分離できるようになった理由の1つは半導体設計用のソフトウェアが発達したことにあります。特にデジタル回路は30年ほど前にハードウェア記述言語(Hardware Description Language : HDL)と論理合成ソフトウェアが普及したことにより、人間が扱える回路規模が急激に大きくなりました。前工程における製造技術の微細化も重要だったのですが、人間が扱える回路の規模が大きくなったことも重要です。
今回は半導体の設計援用ソフトウェアであるEDAと呼ばれる分野についてまとめてみます。電気系の設計援用ソフトウェアであればCAD(キャド:Computer Aided Design)と呼ぶこともあるのですが、半導体の世界では EDA(Electronics Design Automation)と呼ぶことが多いです。このまとめでも設計で使うソフトウェアをEDA、EDAを開発、提供している企業のことをEDAベンダーと記載することにします。
EDAの起源はSPICE(スパイス)と呼ばれるトランジスタを扱うシミュレータであると言われています。カリフォルニア大学バークリー校で研究、開発されました。今もSPICEの派生品がいろいろなEDAベンダーから発売されています。
もともとカリフォルニア大学バークリー校がSPICEプロジェクトをスタートしたことと、半導体企業やスタートアップがシリコンバレーに多かったこともあり、EDAベンダーもシリコンバレーに起源をもつものが多いです。当初は新陳代謝の激しい業界だったのですが、今は 1980年代に始まった 3つの会社が支配する業界になりました。Cadence(ケイデンス)、Synopsys(シノプシス)、Mentor Graphics(メンターグラフィックス)の3社です。実際、有効な技術を持つスタートアップが誕生しても上記3社に買収されることが多く、EDA業界は上記3社の支配体制から抜け出せない状態になっています。
また Mentor Graphics社についてはあえて Mentor Graphics と記載しましたが2017年の4月にドイツのシーメンスに買収されてしまいました。2021年1月に統合が完了しシーメンス内での組織の名称がシーメンスEDA となりました。
これがEDA業界のビッグ3です。次回はEDAベンダーの簡単な歴史をまとめたいと思います。
半導体産業について に関するまとめの続きは以下からどうぞ。
では、ごきげんよう。