登録日本語教員試験対策 / 日本語教育の参照枠 #2
リュディアです。日本語教育の参照枠を見ていきます。最初に「日本語教育の参照枠」における言語教育観の3つの柱を見てみます。
1 日本語学習者を社会的存在として捉える学習者は、単に「言語を学ぶ者」ではなく、「新たに学んだ言語を用いて社会に参加し、より良い人生を歩もうとする社会的存在」である。言語の習得は、それ自体が目的ではなく、より深く社会に参加し、より多くの場面で自分らしさを発揮できるようになるための手段である。
2 言語を使って「できること」に注目する社会の中で日本語学習者が自身の言語能力をより生かしていくために、言語知識を持っていることよりも、その知識を使って何ができるかに注目する。
3 多様な日本語使用を尊重する各人にとって必要な言語活動が何か、その活動をどの程度遂行できることが必要か等、目標設定を個別に行うことを重視する。母語話者が使用する日本語の在り方を必ずしも学ぶべき規範、最終的なゴールとはしない。
これが原文そのままなのですが、もう少し簡単にした表現と CEFRの何に対応するか、も書かれています。
学習者を社会的存在として捉える。社会的存在(social agents)
言語を使って「できること」に注目する。部分的能力(partial competences)
多様な日本語使用を尊重する。複言語主義(plurilingualism)
次にレベルを全体的な尺度と言語活動別の熟達度という2つの方向から分類します。全体的な尺度は CEFR と同じくA1, A2, B1, B2, C1, C2 の6段階に分類し、各レベルで日本語を使って何ができるのかについての概要を言語能力記述文で示しています。
C1, C2 : 「熟達した言語使用者」
B1, B2 : 「自立した言語使用者」
A1, A2 : 「基礎段階の言語使用者」
次に全体的な尺度を「聞くこと」、「読むこと」、「話すこと(やり取り)」、「話すこと(発表)」、「書くこと」の五つに分けて、それぞれの言語活動とレベルにおいて、どのようなことができるのかを示した指標が5つの言語活動別の熟達度です。
これら全体的な尺度や熟達度の定義の中にあった母語話者は熟達した日本語話者に変更されています。言語教育観の柱として「母語話者が使用する日本語の在り方を必ずしも学ぶべき規範、最終的なゴールとはしない」としているためです。これは注意すべき項目です。
では、ごきげんよう。
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