半導体産業について #16 後工程製メーカー
株式会社リュディアです。今回も引き続き半導体産業についてまとめてみます。
前回までの 半導体産業についてのまとめ へのリンクは以下を参考にしてください。
今回は後工程(あとこうてい)製造メーカーについてまとめてみます。以前に前工程(まえこうてい)製造メーカーについてまとめました。前工程は半導体ウェハー上に回路を作りこむ工程でした。シリコンファンドリーとも言われる業種です。メディアでもよく目にするようになった TSMC はこの前工程製造メーカーの世界トップです。その前工程の処理が完了した状態から製造を引き継ぐ後工程製造メーカーについてまとめてみます。
前工程でウェハー上に回路が作りこまれます。後工程は回路が作りこまれたウェハーを最終的な製品に作りこむ工程と考えてください。OSAT(Out-sourced Semiconductor Assembly and Test)とも呼ばれます。Assembly というのがウェハーを切断してパッケージングすることで、Test はウェハーで行うテストとパッケージングが終わってから行うテストの2種類があります。さらに細かく言えばパッケージング無しでバンプを装着する COGや COF タイプのチップもあるのですがここでは詳細には触れません。
では以下のリンクを見てください。OSATの 2021年第三四半期の売上ランキングが掲載されています。キャプチャ画像もつけておきます。
まず1位は圧倒的な規模で台湾 ASE です。さらに台湾 ASE は 4位の台湾 SPIL も買収しましたので両社合わせると売上で 35%超とさらに圧倒的です。実際、大手のファブレス設計会社の製品は ASE/SPIL 連合で OSAT の処理をしていることが多いです。
最近になって前工程で圧倒的 No.1 の TSMC が後工程に力をいれていることが報道されることが多くなりました。日本にも TSMC が後工程の研究開発拠点を作るというニュースが流れました。
TSMC は以前から 3次元的な設計の基礎研究を進めていると言われていましたが、最近になってそれらのニュースを目にすることが増えてきました。いよいよ成果が見えてきたのかもしれません。ASE/SPIL 連合と TSMC が後工程の分野でどのように棲み分けるのか興味深いですね。
2位は米 Amkor です。Amkor 自体は米国の会社なのですが韓国の亜南(アナム)産業の後工程製造部門を起源とするため韓国に最大規模の工場を持ちます。
3位は中国の JCET です。中国での半導体作業の隆盛とともに急成長しています。中国では最先端分野の後工程処理はほぼ JCET で行われるようです。
4位の SPIL までで全世界の 70% の規模を占めています。また5位以降の企業も台湾、中国が続きます。
PTI(台湾)、TFME(中国)、HuaTian(中国)、KYEC(台湾)、ChipMos(台湾)、ChipBond(台湾)はいずれも台湾、中国の企業です。米国でも半導体関連の製造工場回帰の動きがありますから、今後どうなるかはわからないですが注意が必要ですね。
これで半導体が出荷されるところまで到達しました。長かったですが、どのような工程でどのような企業が関係しているのか理解いただけましたら幸いでございます。
では、ごきげんよう。