クリエイティブ組織の成長支援 「スキルマトリクス」の取り組み〜設計編〜
こんにちは!クリエイティブ部OPSチームの下川です。
今回は、OPSチームとして初めての記事を執筆します!
クリエイティブ組織における「スキルマトリクス」の設計、導入、運用そして今後の展望について、全3回でお伝えする予定です。
★OPSチームとは??
クリエイティブ部には、「デザイン・イラスト・ソリューション」の3つのチームが存在します。
OPSチームはこれら全てのチームと繋がり、コラボレーションを促進する役割を持つ4つ目のチームとして、10月に正式発足しました。
メンバーは4人(内1名兼務)、各チームの出身者で構成された出来立てほやほやのチームです。今後ともよろしくお願いします!
私たちOPSチームは、クリエイティブの力を最大化させることを目指し、クリエイターが制作に集中できる環境と仕組みの整備に日々勤しんでいます。 その一環として取り組んでいるのが、「スキルマトリクス」という成長支援の取り組みです。
抱えている課題
クリエイティブ部では、大きく2つの課題を抱えていました。
土地的課題感
LINEヤフーコミニュケーションズは福岡を拠点としています。
リモートワークの広がりや、福岡を拠点とするゲーム会社の存在感もあり、福岡にはフリーランスやゲーム会社に所属するクリエイターは多くいます。それに比べてweb・コンテンツ制作業の人材が少ないことを、採用活動を行う中で感じていました。
また、Web系の人材育成を行っている専門学校などの教育機関も、首都圏と比べると決して多くはありません。
育成の課題感
そういった背景のなか、当初はミドルクラス以上の人材の採用に重点を置いていましたが、育成することを前提としたジュニアクラスの採用に戦略を切り替えました。
クリエイターとして光るものを持った人材を採用していくことで、ミドル・ジュニア層の厚みは増してきました。
しかし、組織内にモデルケースとなる先輩クリエイターの数も少なく、またここ数年の社会におけるクリエイターの業務領域の広がりに対して、メンバーへの成長支援やキャリアパスの設計が追いついていない状況でした。
そのため、メンバーが成長し、高度な業務を担当する機会が増えてきたタイミングで
・自身のキャリアを描きづらい
・自組織内でのキャリアアップ・キャリアチェンジの道筋が見えない
・そのため、スキルアップの方向性も分かりづらい
…という問題が浮上していました。
これらを解消するため、メンバーの成熟や成長に合わせたキャリア設計の支援が必要だと考えました。
目標は、それぞれが強みを活かしてキャリアを描けるような支援
具体的に動き出す前に、どのような状態になりたいのか明確にする必要がありました。
そんなとき、目指したい方向のイメージとして、上司がこちらを共有してくれました。
それぞれが自身の持つ武器(強み)を最大限に活かし、一人あたりの面積を大きく広げてもらう。逆に、全員の能力を平均化して、面積を小さくしてしまっては、面白いアイディアや画期的なアイディアは生まれない…
その考えをもとに、各メンバーが自身の強みを生かしてキャリアを築けるよう支援することを、私たちの目指す方向性としました。
ではそもそも、自分の「強み」って何なのか?どこに向かって歩いていけば良いのか??
その疑問を解消するため、強みを可視化し、成長計画の道標とすることを目的に、スキルマトリクスの取り組みを始めました。
先人の知恵を借り、情報収集
私たちは人材育成のプロフェッショナルではないので、先人の知恵を借りるべく、まずは情報収集から始めました。
その中から特に
・それぞれが個性を伸ばし、キャリアパスを描くための取り組み
・スキルマトリクスの全体像
・必要な要素や事前準備
の部分で参考にさせて頂いた記事をいくつかご紹介します。
特にコンセントさんが事例を詳しく公開してくださっており、非常に多くの部分を参考にさせていただきました。
その他にも情報収集を行い、様々な事例を参考にスキルマトリクスのベースを作っていきました。
私たちのスキルマトリクスの設計
ここからは、私たちが組織の問題を解決するため工夫した点をご紹介させてください。
職種も業務もさまざまな組織でのスキル設定
私たちが所属するクリエイティブ部には、冒頭でご紹介した通り3つのチームがあり、様々な職種・業務に対応できるスキル項目の設定が必要でした。
その際に参考としたのが、「カッツモデル」です。
これは役職ごとに求められるスキルの割合を示したモデル図で、必要なスキルを「テクニカルスキル」「ヒューマンスキル」「コンセプチュアルスキル」の3つに分類したものです。
本来マネジメント層を対象としたものですが、その他の職種にも当てはめて考えることができます。
ヒューマンスキル・コンセプチュアルスキルは社会人に必要なスキルと考え全体で共通の項目としました。
そしてテクニカルスキルはチームごとに適したものを検討し、設定しました。
また、私たちのスキルマトリクスはカッツモデルを「個々がより高いレベルの仕事をするための階層」として捉えています。
成長計画を描くための”共通言語”をつくる
スキルマトリクスは、上司とメンバーが成長計画を擦り合わせる際の「共通の言語」としても機能します。 スキルが明確に定義され、強みが可視化されることで、自分がどの位置にいるのかをより理解しやすくなり、カッツモデルを用いることで、成長計画のステップをイメージしやすくすることができます。
例えばジュニアメンバーのキャリアパスを考える際、
①まずテクニカルスキルを磨いて業務プロセスを学び
②その後仕事に必要なヒューマンスキルを伸ばす
というステップが考えられます。
その際、上司はメンバーの「強み」「期待する役割」をフィードバックし、メンバーは自身の「スキルアップしたい領域」や「キャリアの方向性」を考え、伝えます。
スキルマトリクスを共通言語として使用することで、スキルアップに関するコミュニケーションをよりスムーズにすることができます。
成長ステップの考え方で、参考とさせていただきました。
スキルマトリクスは成長のためのツール
スキルマトリクスは、現在は人事評価において直接の参考情報とはしていません。
評価は「成果」に伴って行うものであり、スキルレベルのみで判断するものではありませんし、スキルの価値変動も起こり得ます。
それに合わせて評価を変動させる制度では、のびのびと成長し合える文化の形成はできないと私たちは考えました。
スキルマトリクスは、成長のための参考情報として日々のマネジメントや目標設定に活用してもらうことを目的としています。
まとめ
今回は私たちクリエイティブ部のスキルマトリクスの「設計」についてお伝えしました。
メンバーは自己認知を高め、成長の道筋を考える助けに
マネージャーはそれに基づきメンバーの行動を促す
そのための共通言語として活用してもらいたいと考えています。
また、今回の取り組みでは他社様が公開してくださっている事例を多く参考にさせていただきました。
私たちの発信もまた誰かの取り組みの一助となれば幸いです!
次回は「導入編」として、実際にどのようにスキルを定義したのか、メンバーに展開する際の工夫や運用フローについてなど…近日公開予定です。